goo blog サービス終了のお知らせ 

名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(120); 中飛車に57金戦法

2016-04-10 | 大山将棋研究
昭和48年11月、中原先生と第12期十段戦第2局です。


大山先生の中飛車で、中原先生は57金戦法、金立ち戦法とも呼ばれます。

中原先生が早く作戦を示したのに、大山先生は玉頭方面に手をかけます。お得意の袖飛車で対抗するのかと思ったのですが

中原先生の35歩に32金ではなく32飛。この組み合わせが問題です。55金と出られて、この金は下がれないのですから決戦は必至です。

42飛の一手に24歩から22歩。54歩なら44金同飛21歩成か、44金同角同角同飛53角62角44角成同角77銀22角24飛23金か、そのほうがよかった気がします。

22同角24飛の後54歩でした。34飛55歩か、22飛成同飛44金29飛成34金か、という読みだったのでしょう。

この歩で決まってしまいました。32同金は22飛成から53角~44金です。

32同飛44金に35銀でまだまだにも見えますが

飛車を切って両取り

両方を守れば香車を取られて

桂香を拾われてしまいました。28飛は唯一の反撃ですが

飛車を取るのが速くて、受け一方です。

後は寄せのセオリー通りに小さな駒で金をはがします。

48飛成は形づくりに近いのですが

58銀から銀を捨てて角を打つのは、あわよくば、という手です。素人なら慌てますね。

ここで後手玉は詰まないのでしょうか?中原先生は安全策で88の角を取って

先手玉は詰みませんから、手駒に角が増えて

61銀から51桂成の詰み筋です。

ここまで進めば私でもわかります。


大山先生は金立ちを見てから対策を取れたのですから、袖飛車をやめたのは作戦変更です。そのため55金からの攻めが生じました。中原先生は金を出た時には32歩に気が付いていた(読んでいた)のだと思いますが、大山先生は無警戒だったのでしょう、32歩で決まってしまいました。
大山先生は中原先生相手だと無理をしてしまうのが不思議です。中原先生は自然な手の組み合わせで、しっかり読んで勝ってしまうのです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠十段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 6八玉(59)
8 5二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5八金(49)
16 7一玉(62)
17 3六歩(37)
18 4三銀(42)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 5七金(58)
22 7四歩(73)
23 6八銀(79)
24 6四歩(63)
25 4六金(57)
26 6三銀(72)
27 3五歩(36)
28 3二飛(52)
29 3四歩(35)
30 同 銀(43)
31 5五金(46)
32 4二飛(32)
33 2四歩(25)
34 同 歩(23)
35 2二歩打
36 同 角(33)
37 2四飛(28)
38 5四歩(53)
39 3二歩打
40 同 飛(42)
41 4四金(55)
42 3五銀(34)
43 2二飛成(24)
44 同 飛(32)
45 5四金(44)
46 6二飛(22)
47 6三金(54)
48 同 飛(62)
49 1一角成(88)
50 5二金(41)
51 2一馬(11)
52 2八飛打
53 5四馬(21)
54 5三金打
55 6三馬(54)
56 同 金(53)
57 3一飛打
58 5一歩打
59 5五香打
60 4八飛成(28)
61 5二香成(55)
62 同 金(61)
63 5五桂打
64 5八銀打
65 7九金(69)
66 6七銀成(58)
67 同 玉(78)
68 8八角打
69 6三桂(55)
70 7二玉(71)
71 8八金(79)
72 6六香打
73 7七玉(67)
74 6八龍(48)
75 8六玉(77)
76 8八龍(68)
77 6一銀打
78 同 玉(72)
79 5一桂成(63)
80 同 金(52)
81 6二歩打
82 同 玉(61)
83 7一角打
84 投了
まで83手で先手の勝ち

20160410今日の一手<その308>; 形勢がやや悪い時に考える

2016-04-10 | 今日の一手
20160410今日の一手

2月28日の名南将棋大会から、OさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが、後手も持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は26飛1枚。
後手の攻め駒は84飛33角で2枚。

総合すればやや後手が指しやすいです。

大局観として
後手は玉が堅いので攻めがあれば有利になりやすいです。
先手としては47歩48銀の形から46歩~45歩、47銀と手をかけたのですから、さらに36歩~35歩~34歩それに37桂とか、右側の駒をじっくり前に進めたいところです。後手の攻めを封じつつ横歩取りで取った3筋を攻めたいのです。
ところが6,7筋の歩がなくなって左側が薄いのが不安です。桂馬を交換されると66桂の傷がありますね。それをカバーしなくてはなりません。
横歩取りは苦手なのでほとんど指したことがないのですが、77桂と跳ねたのが危ない手だったといえるでしょう。


× 36歩は指したい手なのですが

この瞬間が危険すぎます。65桂同桂同歩

66桂や88角成同金55角の傷があります。33角成とすれば同桂の後で24飛も嫌味です。


× 実戦は67銀でした。

飛車の横利きを通して悪くはなさそうなのですが、65桂同桂同歩33角成同桂

これでは66桂と55桂の傷が残っています。24飛とぶつけられて飛交換になっても嫌でしょう。
実戦では手順省略で

馬を作りましたが66桂は痛く、66同銀78飛成で終わってしまいました。


○ 75歩と打っておくのも普通の手です。

65桂同桂同歩同銀66歩

これでは6筋の嫌味が消えていません。

65桂には66歩と打って、77桂成同角

これからの将棋です。でも持久戦になれば先手は満足でしょう。


× 6筋の傷を消すことを考えましょう。66歩は

86歩同歩同飛

87金は同飛成同銀86歩と攻められてもちません。87銀しかなく、84飛86歩76歩

とされれば千日手ですし(形勢がよくないのでまあまあ)
76歩ではなく85歩同歩同桂同桂同飛86歩45飛

あとは65歩を狙われます。


△ 67歩と低く受けてみます。

65桂同桂同歩同銀

飛の横利きがあり、どうにかなりそうです。角は先手から換えると24飛で飛交換になりそうなので注意しましょう。77歩
同角同角成同金88角66角

うるさい攻めです。77角成には飛車を取って大丈夫。81飛78金66角成同歩

飛の横利きが止まりました。(55角があるので飛で取りにくい)77歩88金79角89金87飛成

駒得になりますが、こういうのは怖いです。79金78歩成88歩77竜69桂同と78歩

とにかく竜を追い返せればセーフです。途中88歩に同と は76角。
こういう強襲も怖いので、65桂同桂同歩に同銀ではなく77歩と謝ってしまうものかもしれません。

最初に戻って、67歩に74飛75歩の後、36歩を待って86歩も嫌な筋です。

86同歩同飛35歩

ここで88飛成同金55角打ちは34歩で

これは何とかなりそうです。

88飛成ではなく65桂とぶつけられて87歩77桂成同金

これも大丈夫。

36歩を待って65桂は

素直に65同桂ととると、88角成同金55角66歩19角成

これはあまりやりたくありません。

65桂には35歩77桂成同金

86歩同歩同飛にも87歩

これでおさまります。


○ 75銀とするほうが変化が少なく

81飛に64銀

後手は85桂では63歩71銀72歩同銀53銀成が嫌でしょう。63歩75銀85桂同桂同飛76歩

これなら受けやすいです。後手は6筋に歩が利かなくなりました。


自然な手がうまくいかないのは形勢が悪くなっているということです。
早い段階で形勢判断をして、やや悪いと思えばあまり自然に見えない手からも候補を探すべきなのです。この問題図では自然な手が多いので困るのですが、

36歩は右桂を使うという意味、あるいは相手の歩のない筋(傷)をつくという意味で指したい手ですが、飛車の働きが悪くなるのか問題です。ここでは危険な手です。

実戦の67銀は金銀を連結させて働きをよくするので自然な手、あるいは飛車の横利きを通すという意味でも自然な手なのですが、桂馬を交換されると傷が多いです。

75歩は76銀を安定させる手です。そして65桂に66歩で大丈夫だと読めたら正解です。先手には指したい手が多いのですから、持久戦になればだんだんと形勢がよくなります。

66歩は桂交換を避ける手ですが、やはり飛車の横利きが止まるので86歩があって嫌な形になります。

67歩で傷を消すというのも自然な手で、ただし角と桂の総交換は避けにくくなるので、そのあとの受けの力が必要です。正確に指したけれどつぶれていた、としても文句は言えません。

75銀と出てしまうのは怖いようですが、この場合は飛桂の配置がよいので銀を追われません。64の歩を取って63歩と打たせれば成功です。