名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(136); 四間飛車に65歩位取り

2016-04-26 | 大山将棋研究
昭和48年12月、米長先生と第23期王将戦です。


大山先生の四間飛車に米長先生は36歩がかなり早くて、急戦と思ったら66歩と止めました。

石田流を拒否して位を取って左美濃、という欲張った作戦のようです。

大山先生は銀を繰り出して

もう一回戻って千日手のような手順の後(現代将棋なら千日手にしますね)角を覗きます。

米長先生は57銀66銀の繰り返し。一人千日手と呼ばれます。

3回目の66からの銀移動です。

大山先生は65の歩を取って飛車交換を挑みます。54銀~43銀まで指してぶつければ無難だったのですが。

飛車交換になり

大山先生が先に桂馬を拾いました。米長先生は桂馬を跳ねるのは微妙な手です。大山先生なら74銀とするものだと思ったのですが。

54に引いたので端に手を付けられて

端を取り込ませるのもあったと思うのですが(謝って32金を52まで寄せていく)応接したので桂馬を使われてしまいました。これでは玉の堅さに差があり、米長先生がよくなりました。

飛車を下されて

この歩が痛いです。71飛成が生じそうで怖いですが、62同金しかなかったか。

手抜いて攻め合いは勢いですが、61の金を取るのは大きいです。

香車を取って

桂馬を取り返せば詰めろ。

84歩にも角を取れば詰めろで、65香は形つくりです。桂馬を打って

83玉に92角でぴったり詰みます。

米長先生の序盤がまずく、手損ばかりです。大山先生も合わせて手損しているところがあるので3手得くらいです。楽観して軽い気持ちで飛車交換を迫ったのかもしれませんが、金が離れていくので形勢は難しいです。77桂には74銀だと思いますし、端の応接も強気すぎました。金銀が玉から離れていくのは大山先生らしくない不出来な将棋だと思います。気の合わない米長先生相手でいつもと違う感じです。この将棋はさっと見ておけばいいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長棋聖
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 3六歩(37)
10 4二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 8二玉(72)
19 6六歩(67)
20 1四歩(13)
21 5八金(49)
22 3二飛(42)
23 3八飛(28)
24 7二銀(71)
25 7七角(88)
26 5二金(41)
27 6五歩(66)
28 5四銀(43)
29 6六銀(57)
30 4五銀(54)
31 5七銀(66)
32 5四銀(45)
33 6六銀(57)
34 1三角(22)
35 5七銀(66)
36 4三金(52)
37 6六銀(57)
38 3五歩(34)
39 同 歩(36)
40 同 角(13)
41 4六歩(47)
42 4二金(43)
43 5七銀(66)
44 6五銀(54)
45 6七金(58)
46 2四角(35)
47 3二飛成(38)
48 同 金(42)
49 4四角(77)
50 2八飛打
51 6八金(69)
52 2九飛成(28)
53 7七桂(89)
54 5四銀(65)
55 1一角成(44)
56 3三桂(21)
57 9五歩(96)
58 同 歩(94)
59 9三歩打
60 同 香(91)
61 8五桂(77)
62 6五桂打
63 6六銀(57)
64 4六角(24)
65 4一飛打
66 4九龍(29)
67 5七香打
68 4四歩打
69 6二歩打
70 4五桂(33)
71 6一歩成(62)
72 5七桂成(45)
73 同 金(67)
74 同 桂成(65)
75 9三桂成(85)
76 同 玉(82)
77 8五桂打
78 8二玉(93)
79 5七銀(66)
80 8四歩(83)
81 4六銀(57)
82 6五香打
83 9四桂打
84 8三玉(82)
85 9二角打
86 9四玉(83)
87 9五香(99)
88 投了
まで87手で先手の勝ち

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20160426今日の一手<その316>; 先手角換わりなら攻めたい

2016-04-26 | 今日の一手

20160426今日の一手

3月19日の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。
玉の堅さは後手のほうが少し堅いです。(金の位置の違いですが少し差があります。)
先手の攻め駒は64角1枚。
後手の攻め駒は62飛84角で2枚。73桂や54銀も加えてもよいくらいです。

総合すればやや後手が有利です。

大局観として
私の記憶はあいまいだったのですが、定跡というか、一応はプロの実戦例のある形です。先手としては後手に攻められているので少し失敗しています。後手が45歩と取っているなら互角なのでしょうが、手抜かれて後手だけ攻め駒が多いですね。
代わりに角の働きがよいから、と思っていたのですが、この場合は84角もよく働いています。私は悲観してしまい、ごまかすような手を指して悪くなってしまいました。
どうにか互角の戦いにもっていきたいのですが、後手から65桂や65銀があるので対応できなければいけません。
攻め合いを目指したらどうかと考えるのが第一です。
後手だけ攻め駒が4枚に近いので、受けるのは大変です。飛車の利きは止められそうにないので、84角を活用しにくくすることを考えます。


× 実戦では75歩としました。

これは84角の利きを止めようという手です。後手は65桂もありましたが65銀(これが角取りなのが痛い)同銀同桂

角と銀の両取りですが、57桂成は避けたという意味の75歩でした。感触の悪い73銀くらいしかなく、77桂成同桂73角

73同角成69飛成68金右97銀

銀を捨てる手がありました。これで玉を端に追われてこういう図

次の一手わかりますか?実戦は95銀同歩同竜、とされたので一応勝負の形にできたのですが、93桂がありますね。(対局中に気が付いていたのですが、指されたら投了でしょう)


× 普通の受けは67金右でこれは考えていました。

65桂同銀同銀91角成なら

これはそんなに悪くありません。66歩68金引67銀64香

後手の飛角の働きが悪いです。

65銀のほうが怖くて

65同銀同桂73銀

とやったら、64飛同銀成57桂成

これが自信がなくてやめたのです。後で46角もあるので大分駒損で勝てる感じがしません。


○ では受けはないのかと思ったら、68銀がありました。

こんな手は手筋として記憶にないのですが、65桂の形になるので先に逃げて57の地点を強化しています。66銀と上がれないので、引くのですね。65桂91角成66角98玉

98玉では77香でもよいです。これは駒得で先手有利。

やはり後手は65銀のほうが厳しく、65同銀同桂91角成に69銀

68銀と引くと割打ちが厳しくなります。(だから角換わり腰掛銀ではあまり出現しません。)67歩58銀成同飛47金

18飛57桂成51銀

互いにはがし合って、68成桂同金61飛42銀成同金82馬57金78金打

こんなところで互角です。


攻める手を考えてみます。
△ 24歩は多分挨拶をしてもらえますが、24同歩で

問題先送りでしょう、得かどうかもよくわかりません。
24歩ではなく15歩とか35歩は手抜きで悪いです。


○ 攻めるなら44歩です。

飛車の働きがよくなり、45桂も生じます。65桂は同銀同銀91角成

これがプロの実戦例のようです。これなら63歩から55桂もあるし、先手が指せそうです。

65銀が問題で

65同銀の一手かと思ったらこの場合は55銀とかわすのがあります。63歩97角95歩45桂96歩53角成

角が死なないからこれは先手が有利です。後手の63歩がひどい形です。

63歩ではなく75歩でしょうか。

75同角同角同歩76歩68銀54歩

でもこの銀は死なないです。74歩同銀51角と攻めていけば互角以上です。


☆ まとめ

問題図では悪くした、と悲観していましたが、まだ互角になる手段がありました。64角を打つタイミングを間違った(後手の65歩に同歩73桂の後で打った)のは疑問手ですが、疑問手を重ねなければ悪くならない。という経験則はここでも当てはまります。

角換わり腰掛銀では(特に先手なら)攻めて勝ちたいのです。攻撃のために配置した37桂がマイナスになります。だから24歩は入れるかどうか微妙ですが、44歩と取り込んで勝負すべきでした。銀をぶつけられてかわすというのは、この戦型ではたまに出てきます。

受ける手は間に合っていないようですが、68銀とは気が付きませんでした。

なお、角換わり腰掛銀で4手角の位置に持ち角を打つのはあまり感心しません。84角より46角のラインの方が働いているというのが普通です。遊び駒になりやすいので、気をつけねばなりません。(そういう思い込みで軽視してしまったのですが。)やるなら問題図のように65歩を突き捨てている状態で、遊ばないことを確認して打ちましょう。

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