名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(130); 四間飛車穴熊に急戦

2016-04-20 | 大山将棋研究
昭和48年12月、桐山先生と第3回早指し選手権です。


大山先生は四間飛車穴熊です。

桐山先生は急戦ではあるのですが、1筋の位を取ったのでこれでいいのか?という感じがあります。

64銀とは出ないで、65歩を狙います。

9筋の端の位も取って、47金を待って仕掛けます。

角を合わせればさらに67角から角を合わせて金銀が上ずります、59角と受けるほうが手堅いようですが

7筋の歩を交換すれば66歩が残るという狙いです。

その66歩を金を上がって受けたのですが、それでも66歩がありますね。66同銀は76飛で困り、66同金も同角同銀76飛で困っていると思うのですが。

早指しなので踏み込めなかったか。55歩66金で大山先生は安心です。

普通は53銀なのですが、歩切れでも我慢するのは桐山先生らしいです。

戦いは中央から右側に移ります。

と金を作るから攻めてきなさいという手ですが、穴熊相手なのでこれではかなり遅いです。34銀から35歩でした。

ダンスの歩に類似した手筋です。飛車先を重くさせて

55金と使うのが味が良いです。桐山先生は角を封じてまだこれから。

左の銀桂も使って大山先生が好調です。

金を交換した後で焦点の歩。22角の利きを止める好手です。

大山先生は手厚く金を打って飛角を封じようとすれば桐山先生は金を打ち込む一手。

飛金総交換、角をさばけば桐山先生も相当に見えますが

両取りを中合いで防ぐのは手筋ではありますが、敗因の失着です。64歩と突いて桂取りにすべきです。64同飛に54歩なら81の桂馬を取られません。

金打には千日手含みで金銀を打って粘ればまだわかりません。

それを回避して33金と引いて35角と出させたのは桐山先生のミスです。

34桂に43金打と頑張るのですが

露骨に53から打ち込みます。4枚の攻めですから切れません。

33銀と使わせて、62金と潜るとは肩透かしです。51香は守れない、と思ったら52香がありますね。それならまだ粘れそう。これを逃したのが桐山先生の敗着でしょうか。

穴熊で端を突かれて手抜くのはかなり珍しいのですが、穴熊の堅さにこだわらない大山先生らしい、ともいえます。52香に気が付いて、すかさず取ってしまったのでしょう。

大山先生は手順に香を2本入手。桐山先生としては16歩と打ちたいのですが、17には角も利いているので足りません。桂馬は怪しい勝負手です。

これも怪しい手ですね。秒読みでこんな手を指されるとわからなくなりそうです。

大山先生は銀を逃げたのでうっちゃりを食らいそうになります。この2手すきは受けにくそうです。

でもさすがに後手玉には詰めろがかかります。投了図。

桐山先生のかなり変わった仕掛けでした。両端の位を取って軽い仕掛けです。65歩には68飛が正しいのでしょう。取って悪くないように見えますが、後で66歩を食らったらつぶれている気がします。
中盤ではやや大山先生が有利だとは思うのですが、桐山先生の粘り強い指し手がたくさんありました。終盤も怪しい手が出てきますし、大山先生の将棋を勉強する(左の銀桂を使うあたり)というよりは、桐山ワールドを楽しんだ、という将棋です。
短い時間の将棋を並べると、時々あれ?という手が出てきます。それを自分なりに見つける、あら探しみたいなものもたまにはやっておくのもいいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:桐山清澄7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 6七銀(78)
14 5三銀(62)
15 2八玉(38)
16 5二金(61)
17 5八金(69)
18 7四歩(73)
19 1八香(19)
20 4二銀(31)
21 1九玉(28)
22 1四歩(13)
23 2八銀(39)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 1五歩(14)
27 4六歩(47)
28 7二飛(82)
29 7八飛(68)
30 6四歩(63)
31 3六歩(37)
32 8二飛(72)
33 8八飛(78)
34 9四歩(93)
35 3九金(49)
36 9五歩(94)
37 4七金(58)
38 6五歩(64)
39 同 歩(66)
40 7七角成(22)
41 同 桂(89)
42 9六歩(95)
43 同 歩(97)
44 4四角打
45 5九角打
46 7二飛(82)
47 4五歩(46)
48 2二角(44)
49 7八飛(88)
50 7五歩(74)
51 同 歩(76)
52 同 飛(72)
53 7六歩打
54 7四飛(75)
55 5六金(47)
56 8四飛(74)
57 8八飛(78)
58 5五歩(54)
59 6六金(56)
60 5四銀(53)
61 2六角(59)
62 6二歩打
63 8六歩(87)
64 4五銀(54)
65 8五歩(86)
66 5四飛(84)
67 4八飛(88)
68 3六銀(45)
69 6四歩(65)
70 3五歩(34)
71 3七歩打
72 2五銀(36)
73 3五角(26)
74 8六歩打
75 6三歩成(64)
76 同 金(52)
77 4四歩打
78 同 歩(43)
79 6五金(66)
80 5一飛(54)
81 6四歩打
82 5三金(63)
83 5五金(65)
84 3四銀(25)
85 2六角(35)
86 3八歩打
87 同 金(39)
88 3五歩打
89 4五歩打
90 同 歩(44)
91 5六銀(67)
92 4六歩(45)
93 6五桂(77)
94 5四金(53)
95 同 金(55)
96 同 飛(51)
97 4四歩打
98 同 飛(54)
99 5五金打
100 4七金打
101 4四金(55)
102 4八金(47)
103 同 金(38)
104 4四角(22)
105 6三歩成(64)
106 同 歩(62)
107 8四飛打
108 5四歩打
109 8一飛成(84)
110 6八飛打
111 4九歩打
112 9九角成(44)
113 4五金打
114 4三金打
115 3四金(45)
116 同 金(43)
117 4五銀打
118 3三金(34)
119 3五角(26)
120 5一香打
121 3四桂打
122 4三金打
123 4二桂成(34)
124 同 金(43)
125 5三銀打
126 4三金(33)
127 4二銀成(53)
128 同 金(43)
129 5三金打
130 3三銀打
131 6二金(53)
132 1六歩(15)
133 5一金(62)
134 同 金(41)
135 同 龍(81)
136 4一金打
137 9一龍(51)
138 1七歩成(16)
139 同 桂(29)
140 1六桂打
141 4四香打
142 3一歩打
143 3九銀(28)
144 4四銀(33)
145 同 銀(45)
146 3八香打
147 3四香打
148 2二玉(32)
149 4一龍(91)
150 投了
まで149手で先手の勝ち



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20160420今日の一手<その313>; 11角成は大きな手

2016-04-20 | 今日の一手
20160420今日の一手

2月28日の名南将棋大会から、YさんとEさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛と角歩の交換です。後手に持ち歩があるので損得なし(飛車のほうが得かどうか)です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は79飛72飛で2枚。

総合すれば互角です。

定跡講座からやりましょうか。

右46銀(64銀)なのですが、54歩を省略しています。また、8筋の突き捨てが入っているのですが、これは何とも言えません。よく見れば定跡の形は先手後手が逆で54歩47歩なのです。先手三間飛車に73銀から64銀と出たのでこうなりました。
ここで65歩とするのが普通で、振り飛車が悪くありません。というか、居飛車をもって自信がありません。77角成同飛55銀に83角

86歩同歩が入っているので微妙ですが、振り飛車よしということになっている主要変化です。(これが発見されてこの定跡が指せなくなってしまいました。)
突き捨てを生かすなら82飛61角成86飛ですが、87銀で

76歩から飛交換というわけにもいかず、72飛成が先手で入りそうですから振り飛車よし。61馬が大きいです。

また、古い定跡ですが、55銀に67銀77飛成同桂76歩71飛

というのもこの場合はありそうで、居飛車よしとも言えません。

その前に、右46銀(46銀)は、78銀(32銀)の形で待たれるのが厄介です。藤井システムが流行っていたころは67銀(43銀)を早めに指されていたのでこれは回避できたのですが。
ということで、この右46銀(64銀)はとても好きな定跡なのですが、今はほとんど指されません。角道を止めるノーマル四間飛車自体が減っていますからなおさらです。

実戦ではおとなしく88角と引いて、これには65銀が有力です。

この銀は取ると悪いので67銀78飛成同銀66銀67歩77歩

77同桂には87歩がある、87銀に67銀成同金69飛と行って・・・かなり激しい定跡です。

実戦では77歩。

この歩は打ちたくなる人が多いのですが、ほとんどの場合は互角で、居飛車が悪い時もあります。77同飛66角67銀(75歩もある)77角成同角79飛で問題図。


大局観として
一目は79飛は危険です。11の香車を取れるのですし、88角が王手飛車になる筋もありそうです。79飛ではなく22銀と守り、83角から馬を作って・・・というのが普通の手順です。
ですから11角成でよくならないか、と考えるのが普通でしょう。11角成や91角成というのは案外大きな手です。この場合は守りの香を取れるのですからなおさらです。
その変化の派生として、もっとよくするために7筋に歩を打ったらどうか。
また、79の飛は捕獲することもできそうで、これを考えるのは指す人の好みですね。


○ 11角成から考えます。

22銀に同馬同玉76香75歩88角

これで王手飛車です。33角79角99角成

瞬間は銀得です。79の角に働きがないのが難点ですが、61飛から桂馬を取るのが先手で入ります。これは先手優勢です。後手は99角成では71飛と我慢すべきでしょうか。先手も77歩76歩同銀で、ゆっくり指せば駒得ですからだんだん良くなります。

王手飛車を避けるには89飛成ですが

12角33桂26香24桂76歩

一旦は79飛成を消しておいて、99竜に24香同歩34角成という感じで迫ります。先手有利です。


○ 実戦は73歩でした。

73同桂に11角成22銀88角

銀を取って王手飛車なら前の変化よりも香車を手放さないだけさらに得だったのですが。11銀79角65桂88角22銀

66歩87歩65歩88歩成64歩

これでも3枚換えですし、玉が堅いので先手有利です。寄せを間違えてHさんの逆転負けです。

73歩に同飛は

82角89飛成73角成同桂11角成

飛車をさばかせてしまいましたが、12飛の筋も厳しいです。22銀12飛33角36香

この後も難しいのですが、42桂に22馬から駒を打ち換えて99角成を防いで15歩とかでしょうか。先手有利です。


△ 83角から馬を作るのは

77飛行成同桂同飛成61角成

61馬も大きいのですが、桂馬を損していますから微妙で互角に近いです。一例は42金寄82飛73桂62馬

桂馬は取れませんが、63の地点を受けさせて72歩からと金で攻めます。振り飛車のほうが勝ちやすい感じです。

83角に73飛なら

56角成(78銀を見ている)89飛成74歩83飛65歩75銀11角成

これはやや先手有利です。


× 78角と打てば飛車を殺せそうなのですが

77飛成同桂76歩

これは駄目です。


○ 76歩はおとなしいのですが

89飛成11角成22銀12馬82飛26香

これも先手が指しやすいです。99竜には77角もありますし、22馬同玉11角

というのも有名な筋です。11同玉に23香成は受け無しです。と思ったら51金引で受かりますね。指しすぎ。

76歩には22銀が仕方ないでしょう。

9筋の突き合いがなければ98角ですが、この場合は95歩で

これは後手が有利。

戻って78角として65銀68金

76銀同銀同飛88銀78飛成同金

飛を取り返して打ち込めます。これも先手がやや有利です。

☆ まとめ

79飛が危険だということはわかったでしょう。69から打つ方がましなのですが、どちらにしても11角成は大きな手です。居飛車が22銀と上がれる(あるいは打つ)から悪くない、ということはたまにありますが、他でかなり得があるときと、すぐに馬を殺せる時だけです。

77歩の手筋は棒銀やななめ棒銀の変化で出てくることがありますが、他の変化がうまくいかないときだけ仕方なく考える手です。これで有利になる定跡は記憶にありません。飛角交換になっても、振り飛車はあまり困りません。飛を打ち込んでも取られる心配をしなければいけないくらいです。


一部修正しました。20170420
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