飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

読書メモ(固体内核反応研究)

2008-07-02 08:27:33 | 佐鳥新の教授&社長日記
1989年に常温核融合が湯他大学の研究者らによって発表された。この画期的な発見に世界中の学者が追試を試み、マスコミの報道も過熱気味だった。ところが、多くの追試にもかかわらず、その現象は確認されなかった。そして多くの研究者はその研究から手を引き、マスコミも常温核融合を疑似科学扱いしだした。

このような劣悪の環境にもかかわらず、研究を続けた研究者たちが日本にいて、ついに常温核融合がミクロの現象であることを突き止めることに成功した。

つまり、この現象は単純な水素の核融合などではなく、金属固体が核反応装置となって、核融合や核分裂などのか「核変換」を行っていたのだ。

この現象は比較的少ない外部エネルギーで起き、多様な元素や同位体を生じると共に、大量の熱を発生する。また、現象を起こす金属も、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウム、白金、金など多様であることがわかってきた。

この事実は、当初言われたような機構で発生するものでないにせよ、非常に多くの応用を期待させるものである。

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書 名: 固体内核反応研究
執筆者: 高橋亮人 沼田博雄 山田弘 岩村康弘 大森唯義 水野忠彦 秋本正
出版社: 工学社


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第1章 固体内核反応(常温核融合、CF)研究の始まり
1.1 河畔無公害核エネルギー源の夢
1.2 P-Fの発表以後のCF研究
1.3 まとめとこれから

第2章 固体内核融合理論入門
2.1 基礎理論
2.2 コヒーレント多体核融合のモデル

第3章 核反応粒子の検出
3.1 はじめに
3.2 中性子検出
3.3 X線の検出
3.4 荷電粒子検出
3.5 まとめとあとがき

第4章 重水素吸蔵と、断層・ボイドの出現
4.1 はじめに
4.2 実験方法
4.3 結果および考察
4.4 結論

第5章 ガスグロー放電による元素生成
5.1 まえがき
5.2 高気圧ガスグロー法
5.3 低気圧ガスグロー法
5.4 真空法
5.5 グロー放電法および真空法の結果から推測される反応モデル

第6章 多層構造電極上での電解実験
6.1 はじめに
6.2 実験方法
6.3 結果と考察

第7章 金属軽水電解系での核変換反応
7.1 はじめに
7.2 過剰熱の生成
7.3 反応生成物
7.4 X線およびγ線の放射
7.5 電解後の電極の表面構造
7.6 予想される核変換反応
7.7 W/H2O電解系によるグロー放電現象と強度の過剰熱の発生

第8章 重水の電解による核変換
8.1 はじめに
8.2 実験
8.3 結果
8.4 考察
8.5 結論

第9章 液中放電電解による熱と生成物
9.1 概要
9.2 はじめに
9.3 実験方法
9.4 結果
9.5 考察

第10章 中性子計測技術
10.1 はじめに
10.2 計測システムの構成
10.3 中性子計測の概要
10.4 常温核融合実験における中性子計測
10.5 むすび
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図のように核子(陽子や中性子)の中のパイ中間子が複数の核子間で同時に起こるという仮説を“多体核融合仮説”と呼んでいる。



“多体核融合仮説”のもとに反応断面積を計算すると、通常の2核子間の反応に比べて、3核子間の場合で1万倍以上、4核子間の場合で1千万倍以上に増大することが予想される。
これが、常温という極めてエネルギー状態の低い状況下でも核融合反応が起こる原理ではないかと著者らは考えている。



放電電解実験の構成図: フリー・カロリー方式

【実験方法】
①タングステン板(1cm×5mm)の電極と0.2モルのK2CO3の軽水溶液150gを放電電解溶液として用意した。

②電解に要した電圧は、はじめ100ボルトに設定し、2000秒後に120ボルトに上昇させた。このとき、電流は電解初期には5アンペアまで上昇し、その後、時間経過と共に減少し、500秒後には2アンペア前後となった。

③電圧を120ボルトに増やすと、放電現象が肉眼でも認められるようになり、電流は1-1.5アンペアの間で周期的な変動をするようになった。

④冷却水量を徐々に落としていくと、セル内の溶液の温度は66―77℃の間で少し変化している。冷却水の温度差は当然、水量によって変化し、水量を落とすと大きく上昇した。このときの入力と出力のワット数は、両者共に変動して入るものの、常に出力の方が入力を上回っていた。

⑤その比率は、時間と共に増大していき、一時210%まで達した。初めの1000秒間の割合は122%であったが、4000秒以後の平均は160%にまでなっていた。

⑥全体を平均すると、入出力比は133%となる。このとき、入力として要した電力は962kJ(キロ・ジュール)であり、総発熱量は1274kJとなる。すなわち、過剰な発熱としては312kJと計算される。これを測定時間5000秒で割ると、62.5ワットという過剰熱の平均発生量が得られる。



白熱状態下のタングステン電極



放電電解前(a)と後(b)の白金電極のSEM観察(電子顕微鏡観察)



放電電解前後の白金電極のEDX分析結果(成分分析結果)

核変換生成物として、Al, Si, Cl, K, Ca, Ti, Cr, Mn, Fe, Cu, Znなどの元素の存在がEDX測定から分かる。
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