飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

読書メモ(重力レンズで探す地球外惑星)

2007-04-20 09:26:21 | 佐鳥新の教授&社長日記
書 名: 『パリティ2006年10月号』 pp.41-44
執筆名: Bertram Schwarzschild (佐藤文衛 訳)
出版社: 丸善

1.従来の系外惑星発見の方法

従来は惑星の引力が中心星をゆり動かすことによって引き起こされる、中心星のドップラー偏移をとらえることによって惑星の存在を明らかにしていた。この方法で1995年以来、約200個の系外惑星の存在が明らかになっている。

一報、これとは全く異なる手法----重力マイクロレンズ-----による発見が可能となった。この手法はとりわけ地球のような惑星の発見に有利である。


2.重力レンズによる惑星発見の原理

観測者と明るい背景星を結ぶ視線のそばを手前の恒星が通過するときに重力レンズ現象が起こり、それによって背景星の像がゆがむ。もし、レンズ現象の特徴的なパラメータであるアインシュタイン半径RE(図1の真ん中の図に示されている)が分解できないほど小さい場合は、レンズ星の通過に伴って背景星の増光、減光が観測される。レンズ星から距離RE程度に付随する惑星は、光曲線上の短いバンプとして検出される。


図1 マイクロレンズで惑星をみつける


3.観測例

2005年8月10日、天の川銀河のバジル内でマイクロレンズによって増光していた明るい恒星が、増光のピークを過ぎて徐々に減光していく途中、その光度曲線上に短いバンプが観測され、暗いレンズ星に付随する惑星の存在が明らかになった。7月下旬にこの恒星が増光を始めたときは、すでにOGLEチームはこの星を4年間にわたって切れ目なくモニターしていたところだった。OGLEは、MOAと国際的なネットワークであるPLANETと協力し、この星の光度曲線とそこに現れるかもしれない惑星によるバンプを詳細に観測した。このバンプによるモデルフィッティングから、惑星の質量は5.5地球質量、軌道半径は地球の2.6倍と求めた。


図2 2005年8月10日に観測された光度曲線上のバンプ



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