飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

北海道衛星の講演会より(ITC 2005)

2005-04-28 23:00:33 | 佐鳥新の教授&社長日記
いつものように大学へ出勤する前に1時間ほど自宅のオフィス(私が経営者として仕事をするためのオフィス。いわゆるSOHO)で、メルマガの情報収集と今日の講演配布資料のチェック及びプレゼン用Power Point の見直し、講演会場に持っていく機材のセットアップをした。

大学には10時に着いた。本日秘書の山崎和代さんにやって頂く仕事の内容と期限、そして責任の範囲について説明した。
昨日の設計会議の疑問点を家に帰ってから色々考えてみたが、現在の環境を条件にするならば、北海道で衛星開発を進めるためには、今後もそれなりの試行錯誤(トレーニングと教育)は必要となるようだ。以前から大学院の佐藤君(M2)や三橋先生から要望があった通り、やはり研究開発の時間を短縮するためには設備投資として基板加工機の導入が不可欠であることが良く分かった。
LPKF社(http://www.lpkf.co.jp/:本社はドイツ)の基板加工機はやや値が張るものの世界的にも高品質との定評があるので、インターネットで最新情報を収集し、直ぐ会社に電話してみた。かなり高価な製品だという先入観があったが、5年前に設立した大学発ベンチャー(有)先端技術研究所(現在は藤沢に移転)で購入した時よりも価格が3分の1程に下がっていたので驚いた。またサービスも良くなっていた。資金繰りを少し工夫しなければならないが、最悪の場合でも、私個人の自己責任の範囲で収められなくもない額なので購入を即決した。
12時40分から札幌コンベンションセンターで1時間ほど北海道衛星の講演を行うことになっていたので11時には大学を出た。


ITC 2005(http://www.jgs.org/event/event_itc2005.html)

講演会場は複数の細かなセッション会場に分かれており、ドアの横の壁に取り付けてある液晶の電光掲示板には各部屋に時間と講演番号と講師名が表示されていた。私の北海道衛星の会場には20-30人の方が聞きに来てくれた。講演では、①北海道衛星の使命、②宇宙産業の立ち上げ方、③北海道衛星の概念設計、④ハイパースペクトルカメラとその応用 について説明した。今回の講演はいずれインターネットテレビで上映されるらしい。
講演の質疑を1件だけ紹介する。

Q: 開発資金の集め方をどうする。(小樽商科大の先生より)
A: 衛星の要素部品の製造には道内の企業に自社の技術開発という位置付けで先行投資して頂くのがベストだと思う。衛星に搭載するハイパースペクトルカメラの開発では既にその形ができている。事業全体の経費はそれとは別に考えなければならないが、新たなファンドを組むことも併行して検討を行っている。



夕方に北海道経済産業局へ5分ほど立ち寄り、日頃からお世話になっているH課長とS課長補佐に最近作った北海道衛星のパンフレットをお渡しした。
移動中に秘書のYさんに電話して午前中依頼した仕事の進捗状況を確認した。留守中に北海道宇宙連合に入りたいという学外の方が来られ、M先生が対応してくださったという連絡を受けた。学外者の受け入れ体制を整備する必要がありそうだ。

次に上野君(M1)に電話して研究の進捗を確認してみると、ヨドバシカメラから実験用機材が納品されていないことが判明。ヨドバシカメラへ督促の電話を一本入れて20時に大学に届けて頂いた。21時に上野君から携帯に電話があり、無事にハイパースペクトルカメラの撮影スタンドのセットアップが完了し予備撮影もうまくいったとの報告があった。10日間のゴールデンウイーク前に間に合い、安堵した。これで明日から実験手順を具体的に構想することができる。ゴールデンウイーク明けが楽しみだ。


※ハイパースペクトルカメラとは
カラー写真の概念を拡張した次世代のカメラで、これを使うと物体の形状と成分(光で分析できるものに限られる)を同時に撮影することができる。人工衛星などに搭載されていた先端技術のひとつ。



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