弘前市と北海道工業大共同研究へ
(09/04 11:02)
断熱材で雪山を覆って保存し、融雪浸透水との熱交換で冷風をつくり出す研究施設。現在も若干雪が残っており、外気に触れないようシートを空気で膨らませている=北海道工業大グラウンド
スマートシティの実現を目指す弘前市が、10月にも北海道工業大学(札幌市、苫米地司学長)と雪対策に関する協定を結び、調査や技術面で協力を得ることが、同市と同大学への取材で分かった。全国で初めて、学内に積雪寒冷地におけるエネルギー問題に特化した研究所を設置した同大学のノウハウを活用、地熱など再生可能エネルギーを使った融雪技術の導入や利雪方法の確立に向けた共同研究に乗り出す。協定締結で、同市は除排雪が中心だった雪対策からの脱却方法を模索する。
市が年度内に策定する「弘前型スマートシティ構想」には、雪対策が柱の一つとして盛り込まれる。市は前年度、幹線・生活道路の除排雪に約18億7千万円を費やした現状を踏まえ、再生可能エネルギーを導入した雪対策を進めるための助言を同大学に仰ぐことにした。
同大学はこれまで、無線操縦のヘリコプターで上空から住宅地を撮影、住民の除雪行動や吹きだまりが発生しやすい場所などを分析するなどした調査経験を持つ。また、断熱材で雪山を覆って保存し、地中のパイプを融雪浸透水で冷やして冷風を供給する空調システム、地中熱ヒートポンプや壁面設置型の太陽光発電を備える建物など、積雪寒冷地で有効な再生可能エネルギーの研究施設が豊富だ。
4月には、建築設備、雪氷工学など学科横断的に研究者を集めた「寒地環境エネルギーシステム研究所」を学内に設置。積雪寒冷地で持続可能なエネルギーシステムの研究を推進している。雪氷工学の第一人者である苫米地学長(六戸町出身)をはじめ同研究所の教授らが中心となり、技術や研究成果などを同市に提供する考えだ。
市は同大学のこうした技術や人材を活用し、道路事情や住民の除雪行動によってどのような場所に雪が多く積まれているかなどの調査に、早ければ本年度にも乗り出す。その上で、どこに再生可能エネルギーを使った融雪設備を導入するのが有効か、空き地などを利用して新たな雪捨て場を確保できるか-などの検討に着手する。
同構想を担当する弘前市の澤頭潤都市整備部長は「調査手法や導入する設備は、本年度から大学と一緒に研究する。大学が持つ研究成果は市内の企業に伝授してもらい、新たな雪ビジネスにも結び付けたい」と話す。
苫米地学長は「まずは、狭い道が多いなどといった弘前の住宅地が抱える雪の問題をはっきりさせないといけない。行政がバックアップしてくれれば、新たな調査や実験もできる。これまで培った知識を総動員したい」と意欲を示している。
出典: http://www.hokkaido-np.co.jp/news/aomori/401493.html
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