A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

【ご案内】ABEND vol.2 暮色の家

2013-10-16 23:34:25 | お知らせ
 企画協力・アドバイザーとして参加いたしました展示交流イベント「ABEND vol.2 暮色の家」が今週末開催されます。楽しいイベントの多い秋ですが、お時間ございましたらご高覧頂けると幸いです。
以下、概要と補足です。

【展覧会名】ABEND vol.2 暮色の家
【出品作家】ABEND:田中加織 寺脇扶美 眞鍋沙智 藤田薫
      ゲスト作家:加藤浩史 家原恵太
【期間】2013年11月2日(水)~11月4日(月・祝)
【料金】1500円(ABENDオリジナルサブレ付き※数に限りあり。先着順。)
    町家スタジオ会場の展覧会及びアートツアーと第2会場のイベントの3日間フリーパス券
【展示会場】京都リサーチパーク町家スタジオ
      10:00~17:00
      http://www.krp.co.jp/machiya/
      京都市上京区福大明神町128
【イベント会場】堀川会議室「堀川common」
        18:00~21:00
        https://www.facebook.com/horikawa.common
        京都市上京区西堀川通下長者町下ル
【企画】ABEND実行委員会
【企画協力 アドバイザー】平田剛志
【協賛】ARATA、画箋堂、後素堂、株式会社中里、gallery kunst arzt、gallery near、ギャラリー知、地域文化れんけい機構、つくるビル、フジタ精米人(五十音順)
【協力】Curry shop LUE、HAPS(五十音順)

【ホームページ】http://abendproject.com
【facebookページ】https://www.facebook.com/ABEND  

【概要】
ABEND(ドイツ語で夕方、晩餐の意)とは、作家と鑑賞者、及びアートと社会との相互理解を目指した、新しいかたちの展示交流イベントです。数名の作家たちによる自主企画運営で進められているプロジェクトで、昨年に続き今回が二度目の開催となります。

「アートはよくわからない」「自分には縁遠い」「アーティストは変わり者」そのような声を耳にすることは少なくありません。また作家からは「社会との接点がない」「自分のやっていることをどう生かすか」などの声を聞くことがあります。これらの現状は、アート業界が閉じられた世界であるからかもしれません。

ABENDvol.2では、業界独自の限られた領域から一歩外に出て、作品展示とともに作家と鑑賞者が交流することのできる場をつくります。そこでの対話を通し、アートの魅力を感じてもらうことはもちろん、社会での役割、有用性、可能性を互いに考察するきっかけになればと願っています。

ABEND vol.2 の3つの特徴

1. 町家を会場とする展覧会 『暮色の家』
 築100年以上の町家の1階を展示スペースに主に手作業で制作している作家たちの作品を展示します。
 この展覧会では、通常のキュレーターが作家を選ぶという構造ではなく、作家から共に展示をつくりあげていくパートナーを選出するというかたちをとり、コンセプトメイキングを平田剛志氏(キュレーター)にお願いしました。

展示コンセプト
 暮色とは「夕方の薄暗い色。夕方の景色」を意味します。 夕暮れの光は、世界を薄暗く染めていくと同時に、昼から夜へと色彩の濃淡が移行していきます。その光のうつろいは、多くの芸術家を魅了してきました。それは、暮色のなかに時間や季節、色彩や陰影、風土や風景の記憶を伴うからなのかもしれません。
 展示作家達は主に手仕事による技法、感覚性を大切にしています。若手アーティストの感性によって生れた作品は、町家の空間をどのように設えるのでしょうか。作品を巡りながらアーティストとの対話や交流を通じて、町家/美術が生み出す「暮色」に触れてください。

2. 町家でのガイドツアーや飲食ブースを通しての交流
 町家を歴史的文化財および伝統的建造物といった建築的側面のみだけでなく、「町家」を「家」と捉え、「家」が有する交流機能である対話や食を展覧会に組み込みます。

・アーティストによるアートツアー
 作家自らがガイド役となり、作品の解説ツアーを行います。会期中毎日15:00より開催。

ガイド作家日程
11月2日(土) 田中加織、寺脇扶美 
11月3日(日) 眞鍋沙智、藤田薫
11月4日(月・祝) 加藤浩史、家原恵太

・飲食ブースの設置
 飲食をしながら、気軽に作家や鑑賞者が交流を持てる場をつくります。
  ※食事提供 Curry shop LUE(カレーショップ ルー) 

3. トークイベントの開催
会期中の18時以降は、堀川commonにてゲストを招いてのトークイベントを開催します。
トークイベント終了後はアフターパーティーも行います。
開催予定内容
「アートを伝える -SNIFF OUT 2013の記録から-」
日時:11月2日(土) 18:00開場 18:30開始
コーディネート:田中加織、寺脇扶美
ゲスト:杉本裕一(SNIFF OUT実行委員会事務局長)
登壇者:田中加織、寺脇扶美

「地域とアートの関わり -アートの社会性をめぐって-」
日時:11月3日(日) 18:00開場 18:30開始
コーディネート:田中加織、寺脇扶美
ゲスト:原智治(京都市文化芸術企画課)
登壇者:田中加織、田中裕也(京都リサーチパーク町家スタジオ館長)

クロージング・ミーティング「つくることと見せること」
日時:11月4日(月・祝) 18:00開場 18:30開始
企画:ABENDvol.2実行委員
ゲスト:平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員)
登壇者:ABENDvol.2参加作家 田中加織、寺脇扶美、眞鍋沙智、藤田薫、家原恵太、加藤浩史

[補足]入場料について
 本イベントでは、大変恐縮ですがご来場時に1500円というやや高めの入場料が必要となっています。その理由は、アーティスト支援と入場料制アートイベントの普及・提案があります。
 映画や演劇、ライブやコンサートには有名無名問わずにお金を払うのに対して、アートイベントにお金を支払うことに抵抗はないでしょうか。美術館ならともかくギャラリーやアートプロジェクトは入場無料が中心なため、入場料が必要と知るとお金を取るのかと思うことがあります。
 本イベントは、このような通念に対しての提案およびアーティスト支援のため入場料が必要となっております。通常であれば、作品販売で入場料を賄うのでしょうが、作品はそうそう動きません。また、大学や行政が主催であれば入場無料が一般的ですが、そのような公的機関の支援を本イベントは受けておりません。これらの点をご理解いただき、皆さまのご協力・ご支援をお願い申し上げます。
 なお、1500円という価格設定については、主催者による決定事項のため、私は関わっておりません。あしからずご了承ください。
 本イベントのクロージング・ミーティングでは、このような企画について、および入場料制の問題点などについても皆さまと議論できればと考えております。

[補足2]企画について
 本イベントの企画はABENDというアーティストグループが作家や会場の選定、運営等を行っており、私はこれらの点には関わっておりません。通常、キュレーターといえば、作家や会場の選定を含めて行うのですが、今回は通常とは異なるかたちでの参加となります。音楽に例えるとプロデューサー? スポーツに例えるとコーチ? 映画に例えるとプロデューサーから脚本や出演者が決定済みの映画の監督依頼を打診されたような感じでしょうか。とはいえ、それが不満かというと、そんなことはありません。どのようなボールが来ても、打つのがバッターです。仕事であれば、どのようなアーティストや会場であろうと、その魅力を引き出すのがキュレーターではないかと考えるからです。約1年の準備期間はあたかも劇団のように紆余曲折、悲喜こもごもな出来事がありました。それでも辞めなかったのは、複数の人々と協働することで生れるものがあると信じていたからかもしれません。その結果は、皆さんの目でお確かめください。
 それでは、短い会期、遠方の会場ではございますが、ごゆっくりお楽しみください。運がよければ、会場でお会いしましょう。