A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

Recording Words 096 世知辛い

2011-08-13 23:54:07 | ことば
 世の中全体がせちがらくなってきました。人を育てるのも大量生産で、なにしろ早くですわ。それとそんなに丁寧にものを造ってもらわんでいい、適当な大量生産の安いものでいいというんですからな。そうすると、せっかく長い時間をかけて育てても活躍の場所がなくなってしまうんですな。職人の仕事のよさは一つ一つ違う材料のよさを引き出してものを造ることやけど、そんなもん、いらんというんですからな。
 日本の文化はそうやって、自然の持つ素材のよさを生かして、自然のなかに置いて調和の取れるものを作っていくなかで生まれ、育ってきたんですけどな。

(西岡常一「木のいのち木のこころ〈天〉」、西岡常一・小川三夫・塩野米松『木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)』新潮社、2005年、p.81)

 ゆっくり丁寧に生きる

未読日記539 「イェッペ・ハイン 360°」

2011-08-12 23:12:21 | 書物
タイトル:イェッペ・ハイン 360°
編集:米田晴子、鷲田めるろ
翻訳:パメラ三木、ブライアン・アムスタッツ、レネ・ローリッツェン、米田晴子
デザイン:下田理恵
撮影:木奥惠三(p.43を除く)
印刷:ヨシダ印刷株式会社
発行:金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団
発行日:2011年8月6日
定価:2600円
内容:
展覧会カタログ
イェッペ・ハイン 360°
会期:2011年4月29日(金)~8月31日(水)
会場:金沢21世紀美術館
200 x 200 mm 日/英併記 総120頁(カラー48頁)

ごあいさつ
Foreword
図版
Plates
対談 イェッペ・ハイン―妹島和世+西沢立衛/SANAA
Interview Jeppe Hein―Kazuyo Sejima + Ryue Nishizawa / SANAA
「スイング」ピーター・キアクコフ・エリクセン
Peter Krikhoff Eriksen, "SVING"
「役割のあいだを人がまわること」鷲田めるろ
Meruro Washida, "People and roles go round and round"
作家略歴
Biography
出品作品リスト
List of Works
(目次より)

購入日:2011年8月11日
購入店:金沢21世紀美術館
購入理由:
 イェッペ・ハインは1974年生まれのデンマークの若手作家。場所や環境に働きかけるサイト・スペシフィックな作品を手がけ、日本ではSCAI THE BATHHOUSEで個展、森美術館のグループ展などで展示をしている。
 今展は、展覧会や空間に対する批評性とユーモアが見事に結実したすばらしい展覧会だった(今年度ベスト1かも)。金沢21世紀美は、オラファー・エリアソンやレアンドロ・エルリッヒなど、観客参加ないしは観客が空間にいることで成立する作品の設置および展覧会を行ってきたが、イェッペ・ハインもその系譜に続く作家だろう。今展でも、観客(=私)がいることで空間やものの見方、認識が変化するような作品群だった。
 作品を見ている観客へ眼を向けると、みな笑顔で楽しそうなのが印象的だった。美術館はとかく堅苦しい場所だと思われがちだが、楽しんでいいんだとあらためて気づかされた。震災後、どうにも現実や人生に対して、硬く深刻に考えてしまいがちで、それはそれで仕方ないのだが、それだけでもない気がしていた。もっと柔らかく、しなやかに考えられないだろうか。そんななか、この展覧会にたくさんの人が訪れ、それぞれが楽しんでいる。そして、その賑わいがうるさく感じられないというのは、すごいことだと思う。一体感ではなくて、バラバラに楽しんでいる感じ。人が楽しんでいるさまを見るのは楽しい。こういう自然と生まれる賑わい、ユーモアが私には小気味よかった。





散歩のとき何か食べたくなったのだ44 Bakery Cafe HIRO

2011-08-11 23:54:38 | たべもの
購入日:2011年8月6日
品名:黒糖サーターアンダーギー
購入店:Bakery Cafe HIRO
 名古屋・車道にあるギャラリーfeel art zeroに行った際、帰りに立ち寄った1店。
 昔ながらのベーカリーといった趣の店舗。カフェスペースもあるが、持ち帰りであんぱんと安かったのでサーターアンダーギーのプレーンと黒糖を購入。おやつっぽい味で懐かしい甘さ。イスに座りたかったが、がまんして歩き続きける。



未読日記538 「童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱」

2011-08-10 23:52:52 | 書物
タイトル:童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱
執筆:喜田早菜江(清須市はるひ美術館)
AD/デザイン:TENPO
印刷:長苗印刷株式会社
発行:清須市はるひ美術館
発行日:2011年7月
定価:300円
内容:
展覧会カタログ
「童画家 武井武雄 創造のおもちゃ箱」
2011年7月9日(土)~9月4日(日)
清須市はるひ美術館
A5判、16p

創造へのあくなき挑戦
童画
版画
刊本作品
余技作品
武井武雄略年譜
主要参考文献

購入日:2011年8月6日
購入店:清須市はるひ美術館
購入理由:
 忘月忘日、アート&デザイン情報図書館の方からおすすめ頂いた展覧会。アートフェアナゴヤに合わせて、岐阜・名古屋に行くことになり、途中駅なので行ってみることにした。美術館は駅から徒歩20分で、暑さで体力消耗・・。
 武井武雄(1894~1983)は大正時代に刊行された絵雑誌『コドモノクニ』の表紙・挿絵や、数多くの童画を手がけた人物。また、挿絵や童画だけでなく、版画、私刊本、トランプやミニアチュールなども制作するなど、幅広い世界を展開している。
 なかでも、139点におよぶ刊本作品は、寄木細工、友禅染め、セロファンなどを造本に用いるなど、意欲的な本を制作している。それらは、武井自らがコーディネートし、芸術性を発揮した作品として、今見ても興味深い本ばかり。小さい美術館だが、充実した企画展である。



展覧会のお知らせ:Art Court Frontier 2011 #9

2011-08-09 23:17:42 | お知らせ
 この度、大阪・アートコートギャラリーにて開催されるアーティスト、キュレーター、ジャーナリストらが推薦者となり、関西在住あるいはゆかりの若手作家を選出する選抜制のアニュアル企画「Art Court Frontier 2011#9」に推薦者の1人として参加させて頂くことになりました。
 関西にお越しの際は、ぜひご高覧頂けますと幸いです。

[展覧会概要]
Art Court Frontier 2011 #9
◎出展作家:浅野孝之、上田バロン、占部史人、川北ゆう、酒井稚恵、西岡桂子、野村在、藤井俊治、森田るい、森本絵利、山下拓也

会期:2011年8月19日(金)~9月17日(土)
会場:Art Court Gallery
   大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F
電 話:06-6354-5444
URL:http://www.artcourtgallery.com/
開廊時間:11:00~19:00(土曜日は ~17:00)
休廊日:日曜日・月曜日

◆レセプション:8月20日[土] 16:00~
◆トークイベント:8月20日[土] / 27日[土] 14:00~16:00
出展作家×推薦者によるフリートーク&ディスカッション
参加費500円(ドリンク付)/ 要予約

プレスリリース
http://www.artcourtgallery.com/images/exhibition/pdf/2011_08_ACF2011_press.pdf
出展作家プロフィール
http://www.artcourtgallery.com/images/exhibition/pdf/2011_08_ACF2011_press_cv_s.pdf

どうぞよろしくお願い致します。

Recording Words 095 技は心と一緒

2011-08-08 23:41:16 | ことば
 親方のいうことにいちいち反対しているうちは、親方のいうことがわかりませんのや。一度、生まれたままの素直な気持ちにならんと、他人のいうことは理解できませんのや。素直で、自然であれば正直に移っていきますな。そのなかから道が見つかるんです。こないなこと言葉で説明してもややこしいだけですが、こんな意味のことを、実際、弟子に話しますのや。
 弟子も始めは何にもわかりません。そのほうがよろしい。何にも知らんということを自分でわからなならん。本を読んで予備知識を持って、こんなもんやろと思ってもろても、そうはいかんのです。頭に記憶はあっても、何にもしてこなかったその子の手には何の記憶もありませんのや。それを身につけにくるのが弟子です。技は技だけで身につくもんやないんです。技は心と一緒に進歩していくんです。一体ですな。

(西岡常一「木のいのち木のこころ〈天〉」、西岡常一・小川三夫・塩野米松『木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)』新潮社、2005年、pp.75-76)

 「技は心と一緒」。いまは、技だけ教えようとしている風潮がないだろうか。そして、素直さは才能ではないかと思う今日この頃である。みな我が強い昨今、素直になるのは難しい気がする(自分含めて)。
 以前、某ギャラリーでギャラリストの方と展示中の作家さんと雑談していたら、ギャラリーの方が、美術というのは、作品だけ進歩するということはなくて、自分も進歩しないと作品はよくならない、という旨のことを仰った。今回の言葉は、その発言に通じるものがある。

未読日記537 「Internal Skin - Reverse the World Inside Out」

2011-08-07 23:26:27 | 書物
タイトル:Internal Skin - Reverse the World Inside Out
著者:松本尚
発行:松本尚
発行日:2010年
内容:
16×16cm、カラー、31p

“Internal Skin - Reverse the World Inside Out”Nao Matsumoto
「Internal Skin―世界を裏返す」松本尚
図版
Credits

頂いた日:2011年8月2日
場所:アートスペース虹
 京都・アートスペース虹にて開催された「松本尚:SARUTAHIKO & AMENOUZUME」展に行った際、作家の方より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 松本さんの作品は、SCAI×SCAIで開催された個展や東京都現代美術館でのグループ展「MOTアニュアル2010:装飾」展で拝見していたが、今回の展示で、初めて松本ワールドに触れたような気がした。やはり個展はいい。まず圧倒されたのがギャラリー空間を埋め尽す壁紙作品だ。黄色と黒のコントラスト、人の顔のような装飾性のある模様が反復されるパターンがユーモラスで楽しい。展示で使った壁紙の余りがあるという話を聞き、衝動買いしてしまう(無理を言ってすみませんでした)。おかげでいい買い物ができた。

Recording Words 094 命

2011-08-06 23:37:46 | ことば
 まずは自然の命というものに対して、もっと感謝して暮らさななりませんな。今の人は空気があって当たり前、木があって当たり前と思っていますけど、水がなかったら命がありませんのやし、生命も育ちませんな。今の人は自分で生きていると思うていますが、自分が生きているんやなしに天地の間に命をもらっている木や草やほかの動物と同じように生かされているということ、それを深く理解せなあきません。
 自分だけで勝手に生きていると思っていると、ろくなことになりませんな。こんなこと、仕事をしていたら自然と感じることでっせ。本を読んだり、知識を詰め込みすぎるから肝心の自然や自分の命がわからなくなるんですな。知識はあまり植えつけんほうがいいと思いますな。仏の教えのなかには、あらゆる世の中の現象は人間の心のなかに納められている、人間の心もまた自然のなかにある、というてますな。そして私が今まで説教してきたけれど、それをまねたらあかん。自分自身が生きていくんやから自分自身で悟らないかんということでしょうな。そういうふうに自然を悟れということでしょう。

(西岡常一「木のいのち木のこころ〈天〉」、西岡常一・小川三夫・塩野米松『木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)』新潮社、2005年、pp.52-53)

 自然に倣う・習う。

未読日記536 「言語としての河原温」

2011-08-05 23:23:14 | 書物
タイトル:言語としての河原温(via wwalnuts叢書07)
著者:平出隆
図像:加納光於
版行:平出隆
発行日:2011年5月19日第8刷
定価:777円
内容:
via wwalnuts 07
A5判、8p、封筒入り

1.はじめに
2.クロノロジー
3.逃げていく「瞬間」
4.時制と人称
5.類的連続
6.Exileということ

購入日:2011年8月2日
購入店:Amazon.co.jp
 1995年9月14日にケルンで開催された《河原温 出現―消滅》展会場で行われた講演を収録したもの。ドイツで刊行後、日本では初の刊行だという。河原温好きとしては、ぜひ読んでみたく購入。

未読日記535 「門司ン子版 ボール遊びの詩学」

2011-08-04 23:07:18 | 書物
タイトル:門司ン子版 ボール遊びの詩学 (via wwalnuts叢書06)
著者:平出隆
図像:加納光於
版行:平出隆
発行日:2011年4月13日第6刷
定価:777円
内容:
via wwalnuts 06
A5版、16p、封筒入り

購入日:2011年8月2日
購入店:Amazon.co.jp
 本書は、母校を48年ぶりに訪ねて行なわれた45分の授業の記録。冊子は表裏両面印刷されており、観音開きのようにページをめくると、大里柳小学校6年生40名による戸外遊戯の詩と絵が付されている。これがカラフルでとても楽しい。また、1989年に制作された平出隆のコラージュ作品と『ベースボールの詩学』関連の図版も多数掲載され、見て楽しい書籍である。
 この造本がどういう名称なのかわからないが、ページが取れてしまいそうな繊細さが、書物としての強度を主張しているようだ。