A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記539 「イェッペ・ハイン 360°」

2011-08-12 23:12:21 | 書物
タイトル:イェッペ・ハイン 360°
編集:米田晴子、鷲田めるろ
翻訳:パメラ三木、ブライアン・アムスタッツ、レネ・ローリッツェン、米田晴子
デザイン:下田理恵
撮影:木奥惠三(p.43を除く)
印刷:ヨシダ印刷株式会社
発行:金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団
発行日:2011年8月6日
定価:2600円
内容:
展覧会カタログ
イェッペ・ハイン 360°
会期:2011年4月29日(金)~8月31日(水)
会場:金沢21世紀美術館
200 x 200 mm 日/英併記 総120頁(カラー48頁)

ごあいさつ
Foreword
図版
Plates
対談 イェッペ・ハイン―妹島和世+西沢立衛/SANAA
Interview Jeppe Hein―Kazuyo Sejima + Ryue Nishizawa / SANAA
「スイング」ピーター・キアクコフ・エリクセン
Peter Krikhoff Eriksen, "SVING"
「役割のあいだを人がまわること」鷲田めるろ
Meruro Washida, "People and roles go round and round"
作家略歴
Biography
出品作品リスト
List of Works
(目次より)

購入日:2011年8月11日
購入店:金沢21世紀美術館
購入理由:
 イェッペ・ハインは1974年生まれのデンマークの若手作家。場所や環境に働きかけるサイト・スペシフィックな作品を手がけ、日本ではSCAI THE BATHHOUSEで個展、森美術館のグループ展などで展示をしている。
 今展は、展覧会や空間に対する批評性とユーモアが見事に結実したすばらしい展覧会だった(今年度ベスト1かも)。金沢21世紀美は、オラファー・エリアソンやレアンドロ・エルリッヒなど、観客参加ないしは観客が空間にいることで成立する作品の設置および展覧会を行ってきたが、イェッペ・ハインもその系譜に続く作家だろう。今展でも、観客(=私)がいることで空間やものの見方、認識が変化するような作品群だった。
 作品を見ている観客へ眼を向けると、みな笑顔で楽しそうなのが印象的だった。美術館はとかく堅苦しい場所だと思われがちだが、楽しんでいいんだとあらためて気づかされた。震災後、どうにも現実や人生に対して、硬く深刻に考えてしまいがちで、それはそれで仕方ないのだが、それだけでもない気がしていた。もっと柔らかく、しなやかに考えられないだろうか。そんななか、この展覧会にたくさんの人が訪れ、それぞれが楽しんでいる。そして、その賑わいがうるさく感じられないというのは、すごいことだと思う。一体感ではなくて、バラバラに楽しんでいる感じ。人が楽しんでいるさまを見るのは楽しい。こういう自然と生まれる賑わい、ユーモアが私には小気味よかった。