A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記454 「ポイケド・ジャナイ」

2010-11-27 23:19:29 | 書物
タイトル:TAMA VIVANT Ⅱ 2010 ポイケド・ジャナイ
デザイン:菅谷夏織、寺澤由樹、堂園翔矢、中川佳帆里
企画・制作:阿久津真葵、石丸郁乃、今井理沙、小野真利江、加藤龍一郎、北澤京、佐々木香織、清水朋代、鈴木諒一、陶山和、武田若水、寺澤知実、平林拓也、藤江里沙子、星野育美、細道航、吉野春佳
海老塚耕一
三田健志、渡邉悠子
印刷:ハシモトコーポレーション
発行:多摩美術大学美術学部芸術学科 構想計画設計 TAMA VIVANT Ⅱ 2010企画室
発行日:2010年9月17日
内容:
A4判、36ページ

下記の展覧会図録
<TAMA VIVANT Ⅱ 2010 ポイケド・ジャナイ>
多摩美術大学展
2010年9月17日(金)~10月1日(金)多摩美術大学八王子キャンパス内絵画東棟ギャラリー、情報デザイン・芸術学棟ギャラリー
パルテノン多摩展
2010年10月26日(火)~10月29日(金)多摩市立複合文化施設パルテノン多摩特別展示室
代官山 Sedona展
2010年11月1日(月)~11月7日(日)ラ・フェンテ代官山1階 Sedona催事場

ごあいさつ
TAMA VIVANT Ⅱ 2010によせて「かれら・かのじょたちのTAMA VIVANT Ⅱ」海老塚耕一

奥村昂子(テキスト/略歴/図版)
「浮遊する糸の集積」加藤龍一郎
フジモトアヤ(テキスト「next party」/略歴/図版)
「笑ったっていいんだよ」石丸郁乃
前田千絵子(テキスト/略歴/図版)
「万華鏡のような世界で」小野真利江
村上郁(テキスト/略歴/図版)
「一つの物が、」寺澤知実
森末由美子(テキスト/略歴/図版)
「愉快な話がしたい」鈴木諒一
柳井信乃(テキスト/略歴/図版)
「思い出話を少し」藤井里沙子
関連講座「あそびじゅつ」
「君と私が見る世界」阿久津真葵
TAMA VIVANTの足跡
出品目録
謝辞

頂いた日:2010年11月2日
場所:ラ・フェンテ代官山1階 Sedona催事場
展覧会場受付で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 「TAMA VIVANT」は1984年から多摩美術大学美術学部芸術学科で開催されている現代美術のアニュアル展。学生が主体となって企画・制作が行われているという点では、最も歴史あるアニュアル展かもしれない。
 通算27回目の今展は「ポイケド・ジャナイ」というサブタイトルが付されている。一見しただけでは何のことかわからないが、「~ぽいけど・~じゃない」と意味だという。わかりやすのは、森末由美子の作品だろうか。森末の作品は「塩ぽいけど、塩じゃない」「歯ブラシぼいけど、歯ブラシじゃない」作品だからだ。類似とその否定。美術作品が持つ世界への参照を示唆すると同時に、再現やイリュージョンに留まらない世界観への省察を促すトリッキーにして、ユーモアのあるタイトルである。
 個人的に気になったのは村上郁の『invisible cities』(2008、ミクストメディア)であった。細い金属棒の上に球状の水で満たされたガラス容器があり、その中に絵はがきが沈められているのである。ちょうど夏に細馬宏通著『浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざし』(青土社、2001年)を読み、高麗美術館では「「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗」展を見たこともあり、絵はがきが気になっていたときであった。まさか絵はがきを使用した現代美術作品があるとは発見であった。しっかりと調べれば絵はがき現代美術史を研究することができたりするかもしれない。
 余談だが(受付の方にも聞いてしまったのだが)、なぜ3会場での開催なのだろうか。しかも巡回先は八王子、多摩、代官山であり、出品作品は3会場とも同じである(なぜ、アキバタマビ21でやらないのだろう?)。それぞれ特色ある(癖のある?)会場のため、異なる展示空間になるのは想像できるが、裏コンセプトのようなものがあったのだろうか。巡回先ごとに少し展示が異なるなど変化があると、3会場回る人もいたりするかもしれない。かといって、来年度は5会場で開催とかになったりすると、作家や学生スタッフは大変そうだ。
 我ままを言えば、ぜひ、今度は京都や関西圏にも巡回してほしい。京都は美大が多く、それぞれの大学が校内外にギャラリーを所有しているので、連携してはいかがだろうか。