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「われわれが耐えねばならないのは現在だけである。過去も未来もわれわれを押しつぶすことはできない。なぜなら、過去はもう実在しないし、未来はまだ存在しないのだから」。それはとにかく、ほんとうである。過去と未来が存在するのは、ただわれわれがそれらを考える時だけである。過去も未来も人間の臆見であって、事実ではない。われわれは自分で自分をさんざん苦しめておいて、悔恨や不安をこしらえているのだ。(・・・)
そんな風に、自分を苦しめているすべての人に、ぼくは言いたい。現在のことを考えよ、と。今一刻また一刻と継続している君の生を考えよ、と。この一分の後には必ずつぎの一分がやってくる。したがって、君が現に生きているのだから、今生きているように生きて行くことは可能なのだ。未来のことがこわいだって? 君は自分の知らないことを語っているのだ。出来事というのは、われわれの期待どおりには絶対行かないものだ。君の苦痛については、まさに今苦痛は大変ひどいものであるがゆえに、必ず軽くなるだろうと言うことができるのだ。すべてのことが変わり、すべてのものが過ぎ去る。
アラン『幸福論 (岩波文庫)
』神谷幹夫訳、岩波書店、1998、178-180頁.
「過去はもう実在しないし、未来はまだ存在しない」ことはわかってはいるが、私は現在に押しつぶれされそうだ。「未来のことがこわいだって?」
私は「現在」がこわくて、苦痛なのだ。
そんな風に、自分を苦しめているすべての人に、ぼくは言いたい。現在のことを考えよ、と。今一刻また一刻と継続している君の生を考えよ、と。この一分の後には必ずつぎの一分がやってくる。したがって、君が現に生きているのだから、今生きているように生きて行くことは可能なのだ。未来のことがこわいだって? 君は自分の知らないことを語っているのだ。出来事というのは、われわれの期待どおりには絶対行かないものだ。君の苦痛については、まさに今苦痛は大変ひどいものであるがゆえに、必ず軽くなるだろうと言うことができるのだ。すべてのことが変わり、すべてのものが過ぎ去る。
アラン『幸福論 (岩波文庫)
「過去はもう実在しないし、未来はまだ存在しない」ことはわかってはいるが、私は現在に押しつぶれされそうだ。「未来のことがこわいだって?」
私は「現在」がこわくて、苦痛なのだ。
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