A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記974 『東京駅100年の記憶』

2015-01-02 23:11:26 | 書物
タイトル:東京駅100年の記憶 : 東京駅開業百年記念
並列タイトル:TOKYO STATION : A HUNDRED YEARS OF ITS LEGACY
編集:冨田章、清水広子、田中晴子、柚花文
編集協力:味岡利広、清水奈緒(読売新聞社
編集補助:児矢野あゆみ、福岡仁
制作・デザイン:酒井田成之(酒井田デザイン事務所
新規撮影:遠藤桂、トーキョー・テンダー・テーブル株式会社
発行:東京 : 東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団
発行日:c2014
形態:191p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2014年12月13日-2015年3月1日:東京ステーションギャラリー
    主催: 東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]、読売新聞社
内容:
ごあいさつ
謝辞
目次・凡例
「東京駅危機一髪」冨田章
プロローグ 辰野金吾と東京駅
第一章 丸の内の100年
「東京駅が目撃した建築と都市の100年をめぐって」松隈洋
第二章 東京駅の100年
「辰野金吾と東京駅丸の内駅舎」大内田史郎
「鉄道建築技術者と東京駅丸の内駅舎の戦災復興工事」若村耕平
「使い続ける重要文化財・東京駅丸の内駅舎」田原幸夫
「東京駅丸の内駅舎保存・復原工事を楽しむ」清水正人
第三章 記憶の中の東京駅
「文学の中の東京駅」坪内祐三
「東京駅の百年から見えてくる風景」坪内祐三
「東京駅の視覚的記憶」冨田章
エピローグ これからの東京駅
東京駅関連年表
参考文献
出品リスト

購入日:2015年1月2日
購入店:ミュージアムショップ TRAINIART
購入理由:
 帰省した際に東京駅を経由して今年見た最初の展覧会。東京駅の建築展であると同時に、東京駅をめぐる視覚文化展でもある。
 東京生まれ育ちの私にとって、東京駅に思い出があるかと言われると、実は少しある。1つは、高校生最後の年に東京駅向かいの東京中央郵便局で夜にアルバイトをしていたことである。その時期は、午前に学校に行き、昼に京橋にある東近美フィルムセンターで映画を見て、夕方から夜に東京中央郵便局でバイトをしていた。交通経路は地下鉄だったため、東京駅を使うことはあまりなかったが、ライトアップされた建物はいつも見ていた。その後、大学時代は東京ステーションギャラリーに時々通うだけの機会であった。
 2つ目は、かつて某美術館の看視アルバイトをしていた時に『ゴッホ展』が開催され、東京駅から美術館までマイクロバスが運行されたのである。その時に、バスの乗車案内業務のため、東京駅に会期中何度も行ったのである。仕事で朝から夜まで一日東京駅にいると、それはそれはいろんな風景を見ることができ、不思議とおもしろかった。雑踏に混じる居心地のよさが東京駅にはあった。
 たかが2ヶ月ぐらいの間しか東京駅に通わなかった私でもさまざまな風景を見たのだから、100年となるとさまざまな時代の景色を東京駅は見てきたことになる。そんな100年の歴史を今展は多角的に提示し、興味深い展示であった。個人的には第三章「記憶の中の東京駅」がおもしろかったが、各セクションに挟まれる当時の新聞記事が時代の空気感を伝えて、効果的だった。よく言われるように、東京駅は欧米と異なり終着のターミナル駅ではなく、通過駅にも関わらず歴史建築として残り、さまざまな美術、文学などに表象されているのは、建築・文化財としても珍しいだろう。また、名古屋駅や大阪駅、京都駅でこのような展覧会が成立するかと言えばおそらく無理だろう。東京駅も何度も建て替え案があがったように、建築としての駅を残すのはとても難しいということも実感する展示であった。



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