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「奇跡」というのは、めったにない稀有な出来事というのとはちがうと思う。それは、存在していないものでさえじつはすべて存在しているのだという感じ方をうながすような、心の動きの端緒、いとぐちとなるもののことだと、わたしには思える。
日々にごくありふれた、むしろささやかな光景のなかに、わたし(たち)にとっての、取り換えようのない人生の本質はひそんでいる。それが、物言わぬものらの声が、わたしにおしえてくれた「奇跡」の定義だ。
たとえば、小さな微笑みは「奇跡」である。小さな微笑みが失われれば、世界はあたたかみを失うからだ。世界というものは、おそらくそのような仕方で、いつのときも一人一人にとって存在してきたし、存在しているし、存在してゆくだろうということを考える。
長田弘「奇跡―ミラクル―」あとがき『長田弘全詩集
』みすず書房、2015年、652頁。
小さな微笑みは失わず、毎日の奇跡を感じたい。
日々にごくありふれた、むしろささやかな光景のなかに、わたし(たち)にとっての、取り換えようのない人生の本質はひそんでいる。それが、物言わぬものらの声が、わたしにおしえてくれた「奇跡」の定義だ。
たとえば、小さな微笑みは「奇跡」である。小さな微笑みが失われれば、世界はあたたかみを失うからだ。世界というものは、おそらくそのような仕方で、いつのときも一人一人にとって存在してきたし、存在しているし、存在してゆくだろうということを考える。
長田弘「奇跡―ミラクル―」あとがき『長田弘全詩集
小さな微笑みは失わず、毎日の奇跡を感じたい。
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