A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

A PIECE OF FUTURE 2008.8.6

2008-08-06 23:58:24 | Weblog
楽しみにしていた金沢・名古屋行きを諸事情からあきらめざるをえない状況になり、途方にくれた。だが、じっとしていられない性分の私には暑さなど関係なく、関東近県の美術館めぐりでもやろうかと妄想する。行き帰りの車内だけで本1冊は読めるはずだ。いくつになっても金のない夏だけは変わらない。


○内海聖史:四位置
2008年8月2日(土)-8月24日(日)
芸術倉庫

以前から噂に聞きし栃木県の那須にある芸術倉庫にて開催される内海聖史展とくれば是が非でも行きたいとこだが、車がないとまず行かれない場所なのだ。この灼熱の真夏日が続く日々、歩けるだろうか・・。もう少し行き方を模索してみようと思う。

○渡辺兼人写真展 雨の営み
2008年8月18日(月)-8月23日(土)
巷房 3F/B1F階段下

渡辺兼人の写真を初めて見たのはいつだったろうか。写真専門学校に行っていた兄の話から、怖い人というイメージだけが先入観としてはあった。だが、作品を見るとその濃密な空気感、「奇妙に過充電された光景」(by安部公房)の美しさの方が衝撃的だった。木村伊兵衛賞を受賞しながらも、地味に淡々とクオリティの高い作品を発表し続ける渡辺氏の仕事はもっと日が当たってもいいのではないかと思うが、いまの日本の写真界ではこのような人は取り上げられないのだろう。


○スナップショットの時間 三浦和人&関口正夫展
2008年9月6日(土)-10月19日(日)
三鷹市美術ギャラリー

牛腸成雄と同じく桑沢デザイン研究所でともに学んだ三浦和人、関口正夫の写真からスナップショットのありようを考察する展覧会。2004年度に同館で開催した<牛腸成雄展>に続いて、今度は牛腸成雄の周辺にいた人物から写真展を構成しているが、これは同館の研究蓄積のたまものだろう。牛腸展の時もそうだったが、チラシ裏面の写真を見ているだけで、スナップショットの醍醐味が充満していて涙腺を刺激されてしまう。展覧会としては地味だと思うが、これは秋に三鷹で見るにはいい展覧会だと思う。そして、特筆したいのがチラシ裏面に掲載されているテキストだ。通常のあたりさわりのない展覧会紹介テキストというより、エッセイ・批評のように<私>が出ていて、すばらしい文章なのだ。写真を見ることを追体験などではなく、生き直しであり、「根源的な出会いの場を求めての創造の時間なのです。」と書くとき、私はこの展覧会がただの写真展なのではなく、もっと奥深いものを抱えた展覧会なのだということを感じた。

○村野藤吾-建築とインテリア ひとをつくる空間の美学
2008年8月2日(土)-10月26日(日)
松下電工汐留ミュージアム

近代日本建築界の重鎮・村野藤吾の回顧展。村野藤吾と言えば、思い出がひとつある。学生時代、目黒区に千代田生命本社ビル(現 目黒区総合庁舎)があったとき、わずか数ヶ月アルバイトで働いたことがあるのだ。土日の会社が休みのときの仕事だったため、ほとんどの部署が休みで、廊下も電気がつかないという有様だったが、逆に建築がもつ構造や光の取り入れ方などがよく見えて、いい経験になった。いま思い返してもこんなモダニズム建築の建物で働くとは思いもよらなかったが、食堂などから見える風景が美しく今でもとても印象に残っている。結局会社自体がなくなってしまったので、そのビルで働く仕事もなくなってしまったが、村野建築はディテールまでよく作りこんでいて、私は好感をもっている。そんな村野藤吾の建築展とあれば、あのときの感謝の気持ちもこめて出かけなければと思うのだ。

○巨匠ピカソ 魂のポートレート
○巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡
2008年10月4日(土)-12月14日(日)
サントリー美術館
国立新美術館
「巨匠ピカソ展」公式サイト

フランス国立ピカソ美術館のコレクションを2館で展示する大規模なピカソ展。ピカソに対して格別興味があるわけではないのだが、この展覧会のシンポジウム「ピカソ-今日の展望-」(河本真理×田中正之×林道郎×松浦寿夫)はちょっとすごい。気鋭の研究者が4人も集まり、どのようなピカソ論を展開するのか興味深い。結局私が興味を持つのは「今、ピカソを見ることにはどんな理由、発見があるのか」ということだ。現代の視点をピカソ作品に貫通させたとき、そのとき見えてくるものはどんな作品なのだろうか。


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