A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記240 「公共哲学とは何か」

2009-04-01 14:47:57 | 書物
タイトル:公共哲学とは何か
著者:山脇直司
装幀者:間村俊一
発行:筑摩書房/ちくま新書469
発行日:2004年5月10日
内容:
現在の日本をみるにつけ、政治、経済、教育などさまざまな領域で、哲学の不在が実感されます。たしかに、現代思想と称する欧米思想の紹介は頻繁になされていますが、それらは「私的に消費」されるだけで、本書がいう意味での「公共世界の創出」とほとんど結びついていません。

人びとの間に広まるシニシズムや無力感、モラルなき政治家や経済人、やたらと軍事力を行使したがる大国―こうした大小さまざまの事態に直面して、いま「公共性」の回復が切実に希求されている。だがそれは、個人を犠牲にして国家に尽くした滅私奉公の時代に逆戻りすることなく、実現可能なものだろうか?本書は、「個人を活かしつつ公共性を開花させる道筋」を根源から問う<公共哲学>の世界に読者をいざなう試みである。近年とみに注目を集める「知の実践」への入門書決定版。

購入日:2009年3月10日
購入店:BOOK-OFF 自由が丘駅前店
購入理由:
仕事場の上司より聞いた「公共哲学」の話がおもしろく、何か本はないかと調べたところ、手ごろな新書で本書があったので古本屋めぐりをして探していたところ、ついに見つけて購入した。探せばあるものだ。
日本には「公共性」がない。そのことが、芸術、文化にも広まっている。日本の(現代)美術界などシニシズムで蔓延され、作家も批評家も観客でさえなにか絶望感や暗い未来しか描けていないように思える。美術はお手軽な「アート」という言葉に置き換えられ、町おこしや企業主体のイベントに使われるだけの手段にしかすぎないのが現在の日本だ(それが悪いとは全否定はしないが‥)。そもそも現在の日本に芸術、美術に敬意をいだく人などほとんどいないし、このままでは有形無形文化財とか天然記念物になりかねない状況だ。そのような状況のもとを辿ると、「公共性」の欠如を考えざるをえないのだ。表面的、一方的な「公共性」概念を唱え、モラルなき行動、思考が蔓延している。遠回りなのだが、芸術/美術が置かれている状況を考えるために「公共哲学」を通して何かヒントになるものはないか考えてみたい。



最新の画像もっと見る

post a comment