A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記305 「八代目林家正蔵 弐」

2009-08-09 21:27:59 | 書物
タイトル:隔週刊CDつきマガジン 落語 昭和の名人 決定版⑮ 八代目林家正蔵 弐
編集人:宮本晃
監修:保田武宏
寄席文字:橘左近
CDリマスタリング:草柳俊一
アート・ディレクション:渡辺行雄
デザイン:片岡良子、姥谷英子
編集:小坂眞吾(小学館)、内田清子
制作企画:速水健司
資材:高橋浩子
制作:田中敏隆、南幸代
宣伝:長谷川一、山田卓司
販売:豊栖雅文、竹中敏雄
広告:林祐一
発行:株式会社小学館
発行日:2009年8月4日
金額:1,190円
内容:
真率な語りが人情を醸し出す
八代目林家正蔵【はやしや・しょうぞう】1895~1982 弐

CD(67分)[全席初出し音源]
怪談牡丹燈籠~幸手堤・・・因果は巡る 
笠と赤い風車・・・瞼に浮かぶ母の愛
伽羅の下駄・・・殿様からの贈り物

○落語の可能性に挑戦 怪談も文芸ものも、全身全霊で
○CD鑑賞ガイド 訥々として真に迫る描写
落語をもっと面白くする連載3本立て
田中優子○江戸の幽霊
五街道雲助○寄席のしきたり
山本進○吉本興業の台頭

購入日:2009年8月1 日
購入店:福家書店 橋本店
購入理由:
自分の中で再評価高まる八代目林家正蔵の第2弾。本書収録の写真に自宅の長屋で曾孫を抱く正蔵師匠の写真があるのだが、実にいい表情で和む。しかし、ただのじいさんに見えて、その落語は並々ならぬ至高の芸なのだから恐れ入る。

今回収録の話でもその芸が満喫できるが、平岩弓枝作による「笠と赤い風車」は物語を知ってしまえば、説教くさい親子愛の教訓話だが、正蔵の声によって語られると、人物が生きてくるから不思議だ。極論すれば1人の青年のグローイングアップストーリーだが、正蔵は古典的な風格を漂わせて訥々と丁寧にドラマを立ち上がらせる。ここには「人間」がしっかりと描かれていて感服する。これは、キェシロフスキの映画やドストエフスキーの小説にも類似するヒリヒリとした複雑なる人間の存在や「倫理」についての噺なのである。結局、もっとも本質的で古典的な「物語」とはこのようなものなのだと思う。


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