A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1304 『金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか』

2017-05-03 23:04:17 | 書物
タイトル:金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか
タイトル別名:Why are artists poor? : the exceptional economy of the arts
       アーティストはなぜ貧乏なのか? : 芸術という例外的経済
著者:ハンス・アビング
訳者:山本和弘
編集者:黒川典是
ブックデザイン:宗利淳一
発行:東京 : グラムブックス
発行日:2011.11第3刷(2007.1第1刷)
形態:540p ; 22cm
注記:原著 (Amsterdam University Press, 2002) (原題「アーティストはなぜ貧乏なのか? : 芸術という例外的経済」) の全訳
   参考文献: p524-533
内容:
金と名誉を手に入れるひと握りの「勝ち組」アーティストとバイトやパートナーが頼みの綱の膨大な「負け組」アーティスト。
芸術を消費することでステータスを高める「上流社会」と何となくそれを仰ぎ見る「下流社会」。
この差はなんだ!?
芸術を媒介に明かされる格差社会のメカニズム

儲からないとわかっているのに、なぜアーティストになりたがるのか?
芸術界には、なぜ多くの助成金や寄付金が流れ込むのか?
売れる作品は芸術性が低いのか?
助成によって格差を維持し、政府は威信を保っている?
新たなビジネス・チャンスと芸術神話崩壊のシナリオ!

目次
はじめに
第1章 神聖な芸術——誰が芸術を定義する権力を持っているのだろうか?
第2章 経済の否定——マーケットでの収入が見込めないとはいえ、なぜ芸術への贈与は賞賛されるのだろうか?
第3章 「経済的価値」対「美的価値」——質に対する金銭的報酬はあるのだろうか?
第4章 無私で奉仕するアーティスト——アーティストは報酬を志向しているのだろうか?
第5章 アーティストにとってのマネー——アーティストは誤った情報を与えられたギャンブラーにすぎないのだろうか?
第6章 構造的貧困——助成金や寄付は貧困を増大させるのだろうか?
第7章 コスト病——芸術のコストが上昇するために助成が必要なのだろうか?
第8章 与える権力と与える義務——なぜ人は芸術に贈与するのだろうか?
第9章 政府は芸術に奉仕する——芸術への助成は公共の利益に奉仕するのだろうか、あるいは特定の集団の利益に奉仕するのだろうか?
第10章 芸術は政府に奉仕する——芸術と国家の関係はどれほど相互依存的なのだろうか?
第11章 非公式の障壁が芸術を取り巻いている——芸術はどれくらい自由なのだろうか、あるいはどれくらい独占されているのだろうか?
第12章 結論 残酷な経済——芸術という例外的経済はなぜ続いているのだろうか?
エピローグ 芸術の経済の未来——本書が描き出す芸術の経済は時代遅れであろうか?
訳者あとがき
参考文献
インデックス

購入日:2017年5月3日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 山本雄教展のための参考文献として購入。なぜか京都府・市の図書館に所蔵がなく、購入することにした。翻訳書は訳者の文体で当たり外れがあるので、リスクがあるが本書は買って成功だった。すばらしく読みやすい翻訳と刺激的な内容に、久しぶりに知的刺激溢れる読書体験となった。名著。原著は2002年刊行だが、内容はまったく古びておらず、現在も議論として有効である。アート界に生きるアーティストおよびアート関係者は必読である。



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