A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記993 『原爆と検閲』

2015-01-23 23:51:09 | 書物
タイトル:原爆と検閲 (中公新書)
著者:繁沢敦子
発行:東京 : 中央公論新社(中公新書, 2060)
発行日:2010.6
形態:iv, 216p ; 18cm
内容:
日本の敗戦直後、連合国側の記者たちは、原爆投下の「結果」を報じるため、広島・長崎をめざした。ある者は個人で、ある者は軍の力を借りて。彼らは新聞・通信社・ラジオなど大手メディアの敏腕記者たちだった。だが、彼らが息を呑んだ被爆地の惨状はそのまま伝えられることはなかった。本書は、記者たちが広島・長崎で何を見、何を記述したのかを明らかにし、その上でなぜ惨劇が伝わらなかったのか、その真相を探る。

目次
はじめに
序章 被爆地へ向かった三人
第1章 航空特派員たちが見た広島
第2章 アメリカでの掲載記事
第3章 長崎ルポと変わる論調
第4章 アメリカの検閲――第二次世界大戦下
第5章 占領下日本の検閲
第6章 航空特派員の“任務”
終章 被爆地を見た記者たちのその後
あとがき
参考文献

購入日:2015年1月20日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 吉田初三郎の広島原爆鳥瞰図研究の参考文献として購入。初三郎が鳥瞰図を描くにあたって、当時の原爆報道はどの程度なされていたのか、プレスコードの実態を知りたいというのが関心であった。
 しかし、本書のテーマはアメリカ(人)における原爆報道なので、私の関心とは離れていたが、それはそれとして本書は興味深い事実を教えてくれた1冊であった。終章の「被爆地を見た記者たちのその後」は、以前に読んだ立花隆著『宇宙からの帰還』の宇宙から帰還した宇宙飛行士たちのその後を思わせるものだった。もちろん被爆と月飛行を安易に重ねるものではないが、想像を絶する体験・目撃をした人はその後どのようにその経験を理解・受容していくのか、倫理観が垣間見えて興味深い。