A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記858 『モノグラム美術』

2014-04-01 23:07:35 | 書物
タイトル:モノグラム美術
テキスト:家本真実
英訳:家本真実
発行:京都 : KUNST ARZT
形態:[14]p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
   「モノグラム美術」
   会期・会場: 2014年3月28日-4月6日:KUNST ARZT
   会期・会場: 2014年4月15日-4月27日:Space2*3
   出品作家:ナディア・プレスナー、岡本光博、高須健市、タノタイガ、宮川ひかる
内容:
「「モノグラム」作品と法」家本真実
Nadia Plesner "Simple Living"
岡本光博「バッタもん」
高須健市 "SURFACE"
タノタイガ「LVM42256 ¥102,900(2005)、LVM42228 ¥115,500(2006)、LVM51126 ¥129,150(2006)」
宮川ひかる "lv 150 ans"
作家略歴

頂いた日:2014年3月29日
 KUNST ARZTにて開催された「モノグラム美術」展のトークイベント「Dトーク」にて頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 本展は、ルイ・ヴィトン社の「モノグラム」をモチーフにした国内外の美術作品を展示した企画展。
ともすれば、物議を醸す展覧会と思われそうだが、実は問われているのはアーティストではなく、観者ではないか。作品と法はどこで抵触するのか、美術作品が社会に存在・流通する上での観者の倫理観、価値観を問われていると思えるからである。
 とても刺激的な展覧会なのだが、あらためて目には見えない「法」という存在に気づくことにもなった。

以下推論。近年は著作権などが話題になるが、日本では明治維新になるまで近代的な法律は存在しなかった。法律が一般的に国民に浸透したからこそ、人々は法制度、立憲主義に基づいて物事を裁定、解決できるようになったのではないか。
 日本には、法とは別に世間体などの概念もあるので、法に触れずとも裁かれることもあるようだが、概ね法制度が浸透・信頼されているからこそ、自力で解決せずとも済むようになったのではないか。その反面、法があるからこそ、裁かれる恐れから自制、自助を促す側面もあった。法とは、どんな宗教よりも、人々の行動規範の指針・準拠となってきたのだ。
 だが、近年はあまりに法を過度に恐れたり、意識するあまり、行動・思想に萎縮をもたらしてはいないだろうか。美術・芸術は、その名の下であれば何をしてもよいとは思わないが、何より自由なものだと私は信じている。本展の作品を見て、風刺精神、ジャーナリスティックな視点に芸術の自由さを感じて、清々しかったが、これらの作品が「自由」であり続けることができる時代が続くことを願う。