A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記766 『ユーモアと飛躍』

2013-08-16 23:44:14 | 書物
タイトル:ユーモアと飛躍 : そこにふれる : CONCEPT BOOK
並列書名:Humor and leap of thought: Far beyond our recognizable world : CONCEPT BOOK
編集:千葉真智子
デザイン・装丁:大西正一
印刷:株式会社大伸社
発行:岡崎市美術博物館
発行日:c2013
形態:141p ; 18cm ; 303g
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2013年8月17日-10月20日:岡崎市美術博物館
   出品作家:池田晶紀、泉太郎、小林耕平、D.D.(今村哲+染谷亜里可)、長谷川繁、花岡伸宏、八木良太
   主催: 岡崎市美術博物館、中日新聞社
内容:
ごあいさつ
Essay 1「ユーモアと飛躍」三脇康生
Essay 2「ユーモア―知りえぬ世界についての気づき」千葉真智子
About Work of Kohei Kobayashi
 『ゾ・ン・ビ・タ・ウ・ン』伊藤亜紗
 ・消去
 ・リメイク
 ・再生
 ・うずしお
 ・タイムトラベル
voice01|「ゾ・ン・ビ・タ・ウ・ン/レシピ」小林耕平
About Work of D.D. 今村哲+染谷亜里可
 「48時間滞在マニュアル」D.D.
 Experiences 01「D.D.―3部作の体験―蟲・ナマモノ・社会的動物の力を引き出す可変的構造について」秋庭史典
 Experiences 02「アートの迷路を抜けた先―D.D.を体験することについて」道家洋
voice 02|「D.D.」D.D.
ユーモア語録
voice03|「ユーモアのある生活」池田晶紀
voice04|泉太郎
voice05|長谷川繁
voice06|花岡伸宏
voice07|八木良太
作家略歴

頂いた日:2013年8月16日
場所:岡崎市美術博物館
 内覧会にて頂いた1冊。どうもありがとうございます。本展のカタログはテキストを収めたconcept bookと作品写真を収めたvisual bookの2冊組で、visual bookは9月下旬頃に完成予定とのこと。サイズは異なるようだが、重さは同じなのだという。デザイナーと印刷会社さんは大変だろうなと思う。

 展覧会は「ユーモア」をテーマとした現代美術展である。だが、2007年に森美術館で開催された「笑い展」のようなものではない。ユーモアのもつ「思考を大きく飛躍させ」「世界を押し広げてくれるような豊かな力」に着目したものである。したがって、ユーモア=笑いというよりは、知覚や認識の変化、現実や社会構造への異和感を催させる作用と言ってもいいかもしれない。

 出品作家は、関東・東海・関西で活躍している絵画、写真、映像、彫刻、インスタレーションの作家がバランスよく配され、ユーモアの妙が感じられる。なかでも花岡伸宏の彫刻と長谷川繁の絵画が並ぶ展示室は、すばらしいキャスティングであった。図録の長谷川によるテキストも諧謔的ながら余裕さえ感じる内容で最高である。花岡の彫刻はブリコラージュ度が高まり複雑さを増しているが、それでいて軽さがあり不可思議な「重さ」がある。この重力を超越したような物質感、存在感こそ花岡の魅力なのかもしれない。
 小林耕平の作品も久しぶりに見たが、延々と意味深な会話と行為が続く映像に、なぜこんなものを撮るのか掴めず、初めはよくわからなかった。だが、映像を見つめるうちに、シニカルなコントのように見えてきて笑いを催してしまう。その反応がいいのか悪いのかわからないが、予測しえない展開はじっくり見ると楽しめる。

 岡崎市美術博物館は、駅からのバスが1時間に1本しかない交通不便な場所だが、愛知トリエンナーレ岡崎会場に行く際には、おすすめしたい。何度行ってもロケーションがすごい。