A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記462 「ドローイングとは何か」

2011-02-11 23:01:28 | 書物
タイトル:第2回 ドローイングとは何か――第1回公募入選展
編集:深井美子
デザイン:渡邉雄大
協力:ギャルリー志門
印刷:株式会社グラフィック
翻訳:ローラ・シャーノフ
発行:「ドローイングとは何か」展実行委員会
発行日:2011年1月24日
定価:1000円
内容:
東京・ギャルリー志門にて開催された「第2回 ドローイングとは何か――第1回公募入選展」(2011年1月24日~1月29日)のカタログ。
A4判、カラー、30ページ

「ドローイングとは何か」金澤毅(美術評論家)
入賞・入選作品
最優秀賞・池田俊彦
優秀賞・三塩佳晴
優秀賞・吉野章
小田隆、北藪和夫、近藤平八郎、高島進、高橋瑠美子、土田瞬、朴寶正、嶺崎茂子
第2回「ドローイングとは何か」展 入賞・入選リスト
審査員
「第2回 ドローイングとは何か」展審査風景
第1回「ドローイングとは何か」展

頂いた日:2011年2月2日
 ギャラリーより郵送で頂いた1冊。どうもありがとうございます。残念ながら展覧会は見ることができなかったが、本書で概要を知ることができた。
 現代美術において「ドローイング」というと、2008年に東京と京都の国立近代美術館において開催された「エモーショナル・ドローイング」展が思い出される。そこではドローイングという技法や概念が拡張された現在の状況が反映され、理性より感性の表現としての「ドローイング」を見ることができた。
 対して、本展は企画者である金澤氏の関心や傾向も反映してか、銅版画を思わせるような写実的・細密なドローイングが中心となっている。自由に筆やペンを動かすというより、鉛筆やペンなどの描画材を用いて緻密な絵画空間を作り上げる作品を「ドローイング」と捉えているようだ。どの作品も甲乙つけがたいレベルの高い作品である。しかし、写実性の高いドローイングを公募するというのは、「ドローイング」の一面を捉えているだけともいえ、ドローイングが孕む現代性を見落としていることにはならないだろうか。