佐渡の翼

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大間港(佐渡市相川)    投稿者:佐渡の翼

2023年08月22日 06時00分53秒 | 佐渡金銀山世界遺産候補関連史跡

昨今の、日本政府が推薦する世界遺産登録候補地の決定過程を見ていると、登録勧告をするイコモスは、「登録内容に近代遺産群が含まれる」点を重視する傾向があるように思える。これは、今までの世界遺産が、主として欧州の教会や城に偏っていた事に対する反省からと見られている。従って、大間港、北沢浮遊選鉱場、大立堅坑、上相川古道内の火薬庫跡などの多くの近代遺産群を保持する佐渡金山は世界遺産登録レースに於いてはかなりのアドバンテージを握っていると言えよう。

大間港は、相川の市街地を流れる濁川河口と水金川河口の中間付近に位置する埋め立てられた人工港湾である。製鉱所の敷地を造成する際に切り出された土砂を運搬し、それで湾を埋め立てたとされており、金銀の搬出やそれの生産に必要な物資、特に溶鉱炉の燃料等に用いる石炭の搬入用として築かれた。 大間港の敷地内に入ると、南東から北西方向に架けられた鉄骨造のトラス橋が見えて来る。ここにトロッコを乗りつけてトラス橋の下に停泊させた船に鉱石を落下させて積載した。海側の防波堤近くに見えるのはローダー橋脚である。これは、大間港へ搬入・搬出される貨物(石炭・鉱石)を陸揚・船積・運搬するための橋(軌道)を支える構造物で、昭和13年頃に建設された。現存するローダー橋脚は、南西(海)側の2基を円錐台形の柱による構造物とし、北東(陸)側の1基を矩形の柱による構造物としている。ローダー橋脚の手前には、貨物の荷揚げに用いたクレーン台座がある。北側に2基、南西部に1基が現存する。北側の2基は円錐台形の構造物で、下部は石積、上部は鉄筋コンクリート造。2基は約24mの間隔を置いて配置されている。北東部の台座は船渠壁面と一体化した構造で、北西部の台座は停泊場上に独立して立地している。南西部の台座は鉄筋コンクリート造である。文献中に記載されたこれらの構造の描写内容についてはデジブックの写真を見れば容易に理解できよう。筆者は子供でも分かるようにと、大間港の細部に至るまで写真撮影を繰り返しておいた。それにしても学者と言う者は、何故にかくも分かりにくくかつ面白くない書き方で文献を書くのだろうか?

大間港の護岸形状は、波の影響を受けやすい西面護岸や防波堤は勾配を緩くして緩衝作用を持たせ、波の影響を受け難い北面・南面護岸は勾配が急で直壁に近い形状にした。大間港の建設は、招聘した人造石工法の開発者である服部長七が主導し、明治23年から明治24年にかけて始まり、明治25年に完成した。築港以後、部分的な補修・改修は行われたが、現状の護岸・副堤等は、築港当初の埋め立て範囲とほぼ一致するもので、築港当初の骨格を良好に保っているそうだ。煉瓦倉庫は、大間港の南東部に立地しており、煉瓦造2階建の瀟洒な建物である。外壁は煉瓦化粧積とイギリス積で構成され、要所に自然石を用いてアクセントにすると言うこだわりようだ。

参考引用文献:にいがた土木構造物巡り

鉄橋

錆びたトロッコ

鉄橋部分

クレーン台座

クレーン台座とトロッコの線路

ローダー橋脚

巨大なコンクリート製の球形の構造物。当時のままに保存されているところが凄い!

休憩用の椅子とテーブル、世界遺産に認定されたらここは立錐の余地がなくなるくらい混雑するだろう

http://www.digibook.net/d/a9c5c55790de2039e8cd3d02d821764a/?viewerMode=fullWindow



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