寺の話は正直言ってあまり面白いものではない。寺の開基だとかご本尊が何だとか言われても本尊が開帳され、それを見なければ感想もかけまい。住職でも居合わせていて面白い話を聞ければ何とか書く材料は手に入るのだが、それもかなわなければ寺や境内の外観だけを撮影してそれで終わりになる。だから、余程歴史に関係の深い寺でなければそれなりのコンテンツの深みが出てこないのでどうしても通り一辺の描写とならざるを得ない。
さてこの願誓寺は、以前にもこのブログで紹介した、寛永一揆の義民としてその名を馳せた本間七左衛門と緒方弥次右衛門の碑があるお寺として有名だ。本間は伊豆の三宅島へ流され、62歳で死亡。緒方は66歳で死罪となった。彼らは共に村の有力者で幕府の圧政に反旗を翻した名主である。村が生んだヒーローとして立て奉られ、毎年8月27日になると供養際が営まれる。このお寺は椎泊神社の右隣にあり、県道に面しているのですぐに分かる。鐘楼を兼ねた山門が印象的なお寺である。境内や本堂にはさしたる特徴はなく、義民碑の大きさだけがかなり目立つ寺という印象だった。