オセンタルカの太陽帝国

私的設定では遠州地方はだらハッパ文化圏
信州がドラゴンパスで
柏崎辺りが聖ファラオの国と思ってます

風雲児たち8。

2007年09月25日 01時57分07秒 |   風雲児たちindex.

風雲児たち8 【蘭学黎明編4】☆ (1984年12月25日刊)

   ~さらば源内

表紙絵;幻灯を回す源内(風雲児たち名場面集のフィルム)
◆裏表紙絵;
風雲児たち名場面集のフィルム

第一章 初登場!? 司馬江漢  (24ページ)
トビラ;
アイヌのフクロウの儀式
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、長崎奉行柘植長門守、司馬江漢、オランダ商館長ヘイト、スウェーデンの植物学者ツンベリー、中川淳庵、桂川甫州、前野良沢
エピソード◎長崎奉行にアイヌの風習を教える林子平/◎子平の琉球旅行計画(三国図譜の構想)/◎司馬江漢、林子平に会いに行く/◎銅版画/◎子平琉球へ、一月後帰還/◎参府していたオランダ人たちの長崎帰還、ツンベリーと子平の出会い/◎日本に来たい他国人/◎中川淳庵、ツンベリーに会ってオランダ語の会話が通じる事に感激/◎前野良沢のツンベリーへの手紙/◎ヘイトの子平への決闘申込み

第二章 対決!! ヘイトvs子平 (24ページ)
トビラ;欧州の馬上騎士試合
時期;
安永5年(1776)
登場人物;商館長ヘイト、林子平、植物学者ツンベリー、平賀源内、細工職人弥七、お奉行様
エピソード◎ヘイトの馬術/◎日本の西洋馬術/◎長崎出島の中の植物園/◎江戸でツンベリーと平賀源内が出会わなかった不思議/◎エレキテルの贋物出現/◎エレキテル贋物裁判「浅草の見せ物は裁けぬ」/◎源内の憤慨

第三章 奥州の蘭学者 (24ページ)
トビラ;佐竹曙山画
『湖山風景画』
時期;安永7年(1778)
登場人物;
杉田玄白、陸中の医師建部清庵、その子亮策、若き大槻玄沢、前野良沢、峰子ちゃん、平賀源内、弥七
エピソード;
◎杉田玄白の手術光景/◎麻酔はまだ無い/◎江戸の玄白と奥州の建部清庵の文通(和蘭医事問答)/◎前野良沢の引きこもり生活/◎大槻玄沢、前野良沢に弟子入り/◎ニセモノ細工職人弥七、身を持ち崩して逮捕。源内に呪詛を吐く/◎納沙布岬にロシア船来航

第四章 ロシア船出現 (30ページ)
トビラ;平賀源内のカブキ姿
時期;
安永7年(1778)~安永8年(1779)新春
登場人物;ロシア人たち、蝦夷地の役人新井田大八&工藤八百右衛門、故ベニョヴスキー、伊能忠敬、その妻通、平賀源内、小田野武助、司馬江漢、長崎通詞荒井庄十郎、肥前屋、福助、杉田玄白、大槻玄沢、桂川甫州、田沼意知、田沼意次
エピソード;◎ロシア人、初めて北海道に上陸/◎アイヌ人たちの驚き/◎ロシア船の千島列島南下(ラッコを追いかけて、ベニョヴスキーの予言実現)/◎通商条約の要求/◎アイヌ人通訳を介した史上初の日露会談/◎1年後の再会談を約束/◎新年も忙しい源内/◎インチキ職人弥七の獄死/◎金儲けの手段を教える源内/◎新台本(『霊験宮戸川』『実生源氏金王桜』)を次々と書く源内/◎金に困る源内/◎血を吐く小田野武助/◎荒井庄十郎を杉田玄白に紹介する源内/◎田沼邸の新年の訪問客/◎源内に便宜を図る田沼/◎世界初の気球計画/◎源内と田沼の関係に目を光らせる松平定信

第五章 凶宅 (28ページ)
トビラ;
吉原の女郎屋
時期;安永8年(1779)
登場人物;平賀源内、ロシア人たち、蝦夷役人新井田大八&工藤八百右衛門、ロシア人通訳フョードル、福助、大江戸不動産、死んだ高利貸し神山検校、小田野武助、司馬江漢
エピソード;◎ありがたい牛/◎源内の奇行が始まる(「源内大明神」「生き神様」)/◎陸中仙人山で亜鉛鉱脈発見/◎1年後、ロシア船再訪→松前藩士間に合わず/◎厚岸で会談、通称の拒否/◎ロシア人は日本語を話せる=70年前にペテルブルクに日本語学校/◎松前藩は会見内容を秘匿/◎その後の密貿易/◎平賀源内、新宅を購入(橋本町の幽霊屋敷)

第六章 殺人  (28ページ)
トビラ;
源内の発明品の数々
時期;安永8年(1779)11月20日
登場人物;
平賀源内、大江戸不動産、ご家老、大工の秋田屋久五郎、工事役人松本十郎兵衛、福助
エピソード;◎東北の不作/◎源内の新発明「日本一安い費用で立つ建築」/◎神田の大名の別荘の建築会社入札「他が9万両ならうちは3万両でお釣りを出してみせましょう」/◎源内に秘密を聞きに行く久五郎/◎源内の天才に感嘆する久五郎「建築の革命だ!」/◎夜中に錯乱する源内/◎秋田屋久五郎を殺害

 ●第七章 懺悔  (30ページ)
トビラ;
香川県志度町にある平賀源内銅像
時期;安永8年(1779)12月18日
登場人物;
杉田玄白、中川淳庵、松本十郎兵衛、奥医師千賀道有、田沼意次、肥前屋、ご家老、前野良沢、林子平、司馬江漢、佐竹義敦、小田野武助、田沼意知、松平定信、
エピソード;◎源内の殺人事件江戸の大ニュースに/◎各方面での救刑活動/◎源内の狂気説(小便をありがたがる絵)/◎源内の追善興行の稽古/◎伝馬町牢屋敷について/◎松平定信、源内の原型活動を邪魔する/◎蘭学に対する非難高まる/◎田沼の絶望/◎入牢28日目に牢内で源内衰弱死

●第八章 さらば源内  (22ページ)
トビラ;
台東区橋場総泉寺跡にある源内の墓
時期;安永9年(1780)春~初夏
登場人物;
杉田玄白、中川淳庵、奥医師千賀道有、田沼意次、前野良沢、林子平、司馬江漢、佐竹義敦、小田野武助
エピソード;
◎源内の死に愕然とする一同/◎福助の死/◎遺骸の無い葬式/◎玄白による源内の墓碑/◎罪人の碑の建立は許されず(昭和5年に建造)/◎小さな福助の墓/◎小田野武助の死去/◎佐竹公の絵への情熱失われる(秋田蘭画の終焉)/◎死してなお慕われる源内/◎平賀源内生存説/◎司馬江漢の決意/◎源内の発明した竹とんぼ/◎フランス人ラウノウ・ピアンヴニュがプロペラ発明(1780)/◎モンゴルフィエ兄弟の気球(1783)

●エピローグ (4ページ)
登場人物;中津藩主
奥平昌鹿、前野良沢、頼春水、その妻静子、頼山陽
エピソード;◎奥平公死去/◎良沢の回想/◎頼山陽生誕

……とうとう「蘭学黎明編」が終了です。平賀源内も死んでしまいました。淋しいなぁ。
この巻で再び平賀源内の偉大さの数々が語られます。ほんとすごい人でした。
残念なのは、源内が発明したという「建築の革命」が、源内の殺人によって実現しなかったことで・・・・ どうやろうとしたんだろう? 見当違いかも知れませんが、一年前に姉歯建築士による耐震偽装問題のニュースを盛んに聞いていたとき、私が思い浮かべていたのは源内のこの巻のことでした。源内だったらもっとうまく出来ていたんでしょうねぇ。ともかく平賀源内は、好きじゃない人がいない歴史人物だと思いました。

杉田玄白による墓碑銘は、原語で全文が載っているんですが、読むのが面倒なので意訳して書き写しておきます。 処士鳩渓墓碑銘 …ここに眠る平賀君、いみなは国倫、あざなは子彜、鳩渓と号し、風来山人と称す。信州の平賀源心の子である。難を避け信州から讃岐国志度に移り住んだ。君子のような人であった。小さい頃から才弁があった。気を尚び剛傲としていた。書を読むとき細かな章句にこだわらなかった。高松公が彼を採り上げ役人とした。嘆いていわく、生活のために生きていても国家の為にはならない。郷里で黙っていても駄目だ。何をしたらいいだろうか。そして彼は職を辞して四方を旅した。各地の産物を知る事を極め、山河を知り尽くし、各種技術に詳しくなった。諸侯に会っては国の利益になる事を説いた。人に対しては各人の利益になる事を説いた。ゆえに世間に愚かな人がいなくなった。世の人はみな平賀源内の名を知った。諸侯は彼を欲しがったが、彼はそれを皆断った。彼が言うには、人生とは求められる所に行くべきである。どうして五斗の米の為に腰を折らねばならんのか。人は彼に妻を娶ることを薦めた。彼は言った。今私の家は四方に広がっている。これ以上の何を求めるのか。彼は常に客を好んだ。客が来るといつも彼は酒を振る舞い、昼から夜まで語り合い、倦むことがなかった。彼には定まった収入が無くて、しばしば懐がからになった。しかし晏然としていて気にしなかった。彼が世に出した本は物類品隲五巻がある。しかし、それ以上のことを彼は為した。薬物、火浣布などなど。彼が発明した物は百以上ある。一方で小説を書く事を好み、若干の物を出版した。安永の己亥の年、凶病で人を殺し、獄に入った。12月28日獄中で死んだ。51歳。法により彼の遺骸は引き取る事は出来なかった。有志が集まって、彼の衣類履き物を納めて浅草総泉寺に葬った。石碑も建てた。私たちは彼と親しかったから、ここに銘を刻もうと思う。ああ非常の人、非常の事を好み、非常これを行い、なんぞ非常に死するや

・・・意訳しちゃうとアレですけど、いい文章だなあ。 と杉田玄白が自分で言っていた。

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シベリウス作曲 クレルヴォ交響曲。

2007年09月24日 12時59分31秒 | わたしの好きな曲

 

フィンランドの大作曲家ヤン・シベリウスの書く数々の音楽は、「人の気配のまったくしない神秘の音楽」と評され、北の大地が生み出す荒々しい冬の鼓動と、澄み切った空気が一面に満ちているとされます。私みたいな自然の美しさなどを解する心に欠け、「自然を賛美しよう」などと言われても「ケッ」としか思わないような心の貧しい人間でも、彼の音楽を聞くと、ちゃんとフィンランドの雪と吹雪と森と樅と湖と氷が、不思議にも脳裏に浮かぶようにできているので、私はシベリウスの音楽が好きなのです。不思議ですね、フィンランドなんて行った事無いのにその国が懐かしいんですから。

シベリウスの代表作は7つの交響曲なのですが、この7曲以外に、学生(留学)時代にもクレルヴォ交響曲と呼ばれる交響曲を書いております。フィンランドの神話「カレワラ」に材を取った作品です。作品の作曲経緯や物語のすじ等はウィキペディアで詳しいのでそれを見ていただきたいのですが、シベリウス好きなわたくしはこのクッレルヴォという作品にきわめて破格に浮かれ心奪われて悶えながら激しく赤面してしまうほど大好きなのです。

好きな理由としては、「神話によるドラマティックな物語があって」、「音楽は力強く」、「旋律は美しく単純で」、「のちのシベリウスを思わせる音楽的要素が充満していて」、 「目一杯のものが詰め込まれていて」、「合唱というビックリ要素が効果的に使われていて」、「女声の部分が美しく」、「長い」ということなのですが、ポイントは、作曲者27歳の若い時の作品で、作曲者は3回演奏したきりこの作品を封印してしまい、二度と演奏を許さなかった、というところにあります。

封印したということは、作者が駄作と思うようになったということです。しかしウィキペディアによると、作曲の途中の草稿を見たフックスやゴルトマルクに嘲笑をされたことが作曲者の心に熱い火をつけ、意地になって作品にさまざまな工夫を盛り込んだという。そして初演、燃える作品となったこの曲を聴いておおむねの批評は良かったとという。しかしすぐに作曲者の心は冷え、作品の撤回を宣言したという。このあたりにシベリウスという偉人の性格が出ていて、おもしろく思うし、かえってこの作品が愛おしく聞こえてくるのです。熱くいろんなものを詰めたからこそ、完成後、一瞬でそれを恥ずかしく思うようになってしまった。でも聞く側にとってはその込められた熱い部分が一番いとおしいんですよ。また、どうもこの作品が徳川家康にとっての結城秀康のような存在であるように見えるのです。情熱の結晶であっても父として「自分には相容れない」と結果として思ってしまったかのような。
その後のシベリウスの作品は、これとは逆の方向へ純化するように進化していきます。

「シベリウスが好き」と申しましたが、私が愛するシベリウスの交響曲は第1番、3番、6番だけです。“最も人の匂いのしない傑作”と言われる4番は私にはもはや理解不能ですし、“無駄をこそぎ落とされた蒸留水のような作品”とされる最後の第7番も、何が面白いか分からない。(私は未熟な人間なのです)
それらに対して、私がクレルヴォが大好きだと思うのは、この作品がまだ作者が未熟な時に生み出された作品で(←大天才に対して何言ってんだ)、シベリウスの天分であるフィンランドの大自然に加えて、「人の匂い」が感じられるからかも知れません。シベリウスの人気作である『カレワラ組曲』がお好きな人だったら分かるでしょう。あれもまた人のにおいが強く感じられる作品です。でも天才シベリウスはそれを余分な物だと思った。彼はそういう人間味・俗味をこそぎ落としていく事で偉人に育っていった。そして晩年の30年間は作品を生み出せないまでになった。…でも彼はそれで幸せだったのです。彼は神の境地を極めたから。ブログで長文を書く事や、劇的で感覚的な娯楽作品や、小さな物をたくさん蒐集する事や、濃い味付けの料理が大好きなわたしには到底理解できない心境です。でもシベリウスだって最初はハリウッドみたいなものが好きだったのです。このクレルヴォ交響曲は、そういう彼のそういう心情に対する墓碑。劇的な部分が素晴らしすぎて涙が出る。
シベリウスが満を持して交響曲第1番を発表したのがこの7年後(34歳)で、それでもまだ「交響曲第1番は未熟である」と言われるんですから泣けてきます。

シベリウス作曲 独奏者と合唱、管弦楽のための交響詩
「クッレルヴォ」(1892年)

参考盤
パーヴォ・ベルグルント指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管、
エーヴァ=リサ・ナウマネン…(妹-Ms)、ヨルマ・ヒンニネン…(クッレルヴォ-Br)
ソヴィエトロシア国立アカデミー
エストニア男声合唱団&ヘルシンキ大学男声合唱
(’85年)(EMIクラシックス-東芝) 2枚組 ¥2,854

 

リョンリットによる半創作叙事神話「カレワラ」は、岩波文庫と講談社学術文庫で読めますが、岩波文庫の方が訳は乱暴(でもそっちの方が面白い)、かつリョンロットがどういう要素を取り入れつつこの作品を作り上げたか詳細に解説してあって面白いです。一方、講談社の方は訳ががっちりしていて巻末に「カレワラによる音楽」なる小文があって、これも必見。以下は、関係ないですが私がクレルヴォ物語について思った事を少し述べますね。

カレワラという神話が面白い点は、ギリシャ神話やゲルマン神話等に比べて耳慣れない出来事と人名と、肌慣れない独特な感覚が満ちているからだと思う。
この神話にはたくさんの神々が登場しますが、重要なのは全能の(?)賢者ワイナモイネン、ハンサムで乙女にもてる漁師神レミンカイネン、神がかった復讐者クッレルヴォの3人で、それぞれが日本神話のイザナギ神、スサノオ神、ヤマトタケルに対応していると思うのです。しかし物語は不思議な感覚に被われていて、どうもフィンランド人の感興というのが良くわからなくなってきます。フィンランドは風景は美しいのに、そこに暮らす人々の生活は対比して惨めなんですかね。(惨めなのはクッレルヴォの生活だけなのかもしれませんけど)。でも生活は厳しそうなのに、カレワラの人々はどこか考え方が享楽的(なように見える)。寄り道ばかりしています。そういう点が読んでておもしろいと思いました。
クッレルヴォは「美しい復讐者」とされ、敵のウンタモ(=クッレルヴォの叔父です)はクッレルヴォがまだ小さい頃殺してしまおうとするのですが、海に沈めても火に放り込んでも首を絞めてもクッレルヴォは死にません。彼は不死身の英雄児童なのです。でも、劇中ではことさらにクッレルヴォの惨めさだけを強調して荒々しく描いているように思える。若いクッレルヴォはウンタモの屋敷で奴隷として働かされるのですが、子守りをさせても畑仕事をさせても木樵をさせても大工仕事をさせても麦打ちをさせても、彼がそれをうまくやる事はない。呪いの言葉を口にしながら仕事をしているので「わざとか?」とも思うのですが、ウンタモは彼の仕事を見てあきれ果てて、この役立たずを黄金鍛冶師イルマリネンに売ってしまう事にする。イルマリネンは注意深くこの若者の能力を見はからった上で代価として支払ったのが「古びた鍋2つ、鍋を上から吊す鈎3つ、使えない鎌5本、鍬の残骸5つ」です。…どうも、こういう描き方にユーモアが込められているようなんですね、この物語。他の神話には見られない面白い要素です。

シベリウスの交響曲では敢えて削除されてしまったのですが、叙事詩では「クッレルヴォとイルマリネンの若く美しい妻」の話が続きます。実はこの話が、一番私は好きだったりして。イルマリネンの妻は北の魔女の娘で、イルマリネンはそれはそれは苦労してこの妻を獲得するのですが、若くて美しくて賢くて働き者で家事が好き。魔女の娘なのでまじないもいろいろ知っていて、家畜を野原に連れて行く奴隷クッレルヴォにそれを教える。その、次から次へと長い呪文を丁寧に楽しそうに唱えていく美しい奥さんが、なんか好き。いいね、魔女の奥さま。ところがいたずらでパンに大きな石を入れて焼き、クッレルヴォに食べさせようとしたので、怒ったクッレルヴォに殺されてしまうのです。奥さんもクッレルヴォも理不尽。シベリウスはどうしてこれを音楽にしてくれなかったのかしら。おもしろそうなのに。石の入ったパンはさすがにアレですが、この神話には食事シーンが随所に出てきて、美味しそう。料理そのものよりバターが美味しそう。
で、イルマリネンの家を飛び出したクッレルヴォはさまざまな仕事を経験していく。先程のウンタモの館での仕事ぶりで「クッレルヴォはわざと役立たずを装ったのか?」と思ったのですが、相変わらずクッレルヴォは、どんな仕事もうまくやることができません。「だが彼にはできなかった、人の知性を備えることが。情けを与えられなかったので、幼い頃揺すられたので、養い親が無情だったので。若者は仕事を与えられた。魚釣りに出向いた。櫂を手にして彼は悩んだ。「力の限り引くのかな? 元気一杯漕ぐのかな? それとも事態に合わせて俺は引き、必要に応じて漕ぐのかな?」 一緒に乗っていた船頭が言った。「いくらお前が力一杯無茶してもこの舟は平気だから、思うとおりやってみろ」。クッレルヴォが一生懸命仕事をすると、櫂は砕け舟板は破れ舟は壊れて魚は捕れなかった。船頭は言った。「やっぱお前この仕事無理だわ」」。・・・・おもしろいなぁ。

神話なので、矛盾した要素もいっぱいです。
イルマリネンの家を逃げ出したクッレルヴォが故郷に行くと、母がそこにいました。かつてウンタモがクッレルヴォの父(カレルヴォ)を殺害したとき、一緒に一族を皆殺しにするのですが、カレルヴォの妻だけは若く美しかったのでウンタモは連れていったのです。既にそのとき母はクッレルヴォを孕んでいてまもなく出産するのですが、クッレルヴォが若く美しく育ったとき、美しく若いはずだった母はもう老いているのです。(そんなものか?) さらに、クッレルヴォには2人の妹と1人の弟ができています。

家族と一緒に暮らし始めたクッレルヴォは相変わらずまったく仕事がヘタクソで、呆れた父に(←いつ父が出来たのか!?)「領主に税を払いに行くくらいはできるだろ?」と言われて送り出されます。その帰り道に美しい乙女に出会い、発情してナンパします。最初はいやがる乙女に、持っていた莫大な財宝を見せて(←いつの間に金持ちになったのか?)その気にさせ、無理矢理抱いてしまうのですが、その後に会話をしているとどうやらその娘がクッレルヴォの妹であるらしいと分かります。異父妹かと思いきや、「父はカレルヴォ…」と語っているので同父妹らしい。いつの間に生まれた妹なのか。妹は絶望して、川に身を投げて死んでしまいます。
嘆きながら家に帰ったクッレルヴォ。悲しいけれど彼には使命があります。殺された父の仇を討つこと。彼は家族に別れを告げ、復讐に向かうことにします。しかし母だけは悲しんでくれますが、妹も弟も父も悲しんでくれません。その言い分。父「べつにお前がいなくなってももっとたくさん息子を作るからな」。弟「兄さんよりももっと優れた兄を捜すからいい」。妹「あたし、もっと賢い兄さんがいいな」。なんて家族でしょう。っていうかクッレルヴォがいなくなるとすごい大家族になってしまいそうです。
さらに、ここに登場する父、「母の再婚相手かな?」と思っていたのですが、どうやら違うみたいで、殺されたはずの実の父であるようです。死んでいなかったのです。でもそんな父の復讐に旅立つ彼。「父さんの仇を討ちに行くから」と告げにいく息子。「勝手に行け」という父。シュールだ。

ウンタモの家に行く途中で、「カレルヴォの家が襲撃された」というニュースを聞くクッレルヴォですが、彼は戻りません。(←なぜ?) 見事復讐を成し遂げ、家に帰ったのですが、家は消え失せ、家族は全員死んでいます。ただ飼っていた黒い犬だけが生き残っていた。彼は犬を連れて森へ行き、かつて自分が犯した妹が死んだ場所で自殺します。

こんな物語なのに、シベリウスの音楽は美しくて壮大で英雄的でどこか懐かしいんだもんなあ。

★参考★ 
あらすじ解説のサイトさん
(※クッレルヴォの物語は第31~36話)

コメント (3)
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風雲児たち7。

2007年09月23日 16時58分07秒 |   風雲児たちindex.

 

風雲児たち7 【蘭学黎明編3】☆ (1984年8月1日刊)

   ~強情解体新書

表紙絵;剣を構える林子平
◆裏表紙絵;
すべての登場人物
巻頭;「すべての登場人物大集結」

第一章 その名は買いたい新書  (24ページ)
トビラ;
解体新書表紙(顔を杉田玄白と前野良沢に差し替え)
時期;明和9年(1772)=安永元年12月~安永2年(1773)
登場人物;
前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、司馬江漢、峰子ちゃん、田沼意次、印刷屋、林子平、平賀源内、秋田藩主佐竹義敦、秋田藩士小田野武助
エピソード◎喧嘩する前野良沢と杉田玄白(「完璧な本を出したい」「時機を逸したらどうする」)/◎まず先に図譜を出して世間の反応を見よう/◎安永元年への改元(11月19日)/◎改元を風刺する狂歌/◎題名決定「買いたい新書」/◎先行パンフレット型『解體約圖』発売/◎良沢、題名に関して玄白を褒める/◎解体約図に前野良沢の名前が載っていない。その理由(玄白と淳庵が逮捕されても良沢が無事なら解体新書は出せるから)/◎蝦夷地を旅する林子平/◎秋田藩主と会う平賀源内/◎佐竹の阿仁銅山開発/◎秋田を救ける源内←→源内に感謝しない秋田/◎藩主に絵を教える源内「真上から見たおそなえ餅」/◎秋田蘭画の始まり

第二章 蘭画家入門 (28ページ)
トビラ;小田野直武画「唐子図(部分)
時期;
安永2年(1773)春~12月
登場人物;秋田藩主佐竹義敦、小田野武助、平賀源内、杉田玄白、前野良沢、林子平
エピソード◎蘭画の構造(面で描く/遠近法=凹絵)/◎佐竹公と小田野画伯の君臣を越えた交わり/◎江戸で疫病流行/◎オランダ通詞の解体新書推薦文/◎推薦文を巡って喧嘩する二人/◎杉田玄白の結婚/◎源内、秋田藩のコンサルタントに就任/◎小田野武助江戸へ/◎小田野武助、解体新書の挿絵師に推挙される/◎杉田玄白の子誕生(知能障害の子だった)/◎解体新書出版を巡っての喧嘩「いいかげんな物を出しては後世への笑い者!」→杉田と前野とうとう決裂→「私の名を解体新書に出すのはお断りする!」

第三章 解体新書UP (34ページ)
トビラ;
夜道をとぼとぼ歩く杉田玄白
時期;安永2年(1773)12月~安永3年(1774)8月
登場人物;
峰子ちゃん、前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、小田野武助、司馬江漢、(名前が不明の人)、平賀源内、田沼意次、本屋の主人
エピソード;
◎喧嘩別れした事情を仲間に告げる玄白/◎司馬江漢と平賀源内の会話(源内が江漢を前野良沢に弟子入りさせた理由)/◎解体新書の表紙絵について/◎秩父鉱山廃鉱;愕然とする源内/◎平賀源内の挫折感/◎解体新書、とうとう出版/◎喜び合う3人

第四章 平賀源内モノローグ (26ページ)
トビラ;平賀源内立ち姿
時期;
安永5年(1776)6月
登場人物;平賀源内、杉田玄白、中川淳庵、タモリ、前野良沢、司馬江漢、峰子ちゃん中津藩主奥平昌鹿、佐竹義敦、小野田武助、田沼意次
エピソード;◎その後の解体新書翻訳メンバーの姿/◎解体新書出版の反応(最初は漢方医たちによる非難、徐々に称賛)/◎杉田玄白のこなれた対応/◎杉田玄白の栄光/◎前野良沢の不遇(著者として名前が載らなかったから)/◎中津藩主奥平公だけが良沢を称賛「前野良沢はオランダの化け物」/◎田沼の政治で江戸の町はのびのびとした空気/◎司馬江漢長崎へ旅立つ/◎平賀源内の業績/◎焦る源内/◎エレキテルの完成

第五章 独立宣言 (30ページ)
トビラ;
アメリカ建国宣言のシンボル「自由の鐘」
時期;安永5年(1776)7月
登場人物;山トマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリン、ジョージ・ワシントン、平賀源内、田沼意次、林子平、長崎奉行柘植長門守
エピソード;◎独立宣言/◎エレキテルの完成(フランクリンの電気の発見より早い)/◎エレキテルに対する町の人々の感想/◎エレキテルに対する田沼意次の感想「これは国家の利益の何かの役に立つのであろうな?」/◎エレキテルを見せ物に/◎林子平、長崎奉行所専属医師に就任/◎唐人屋敷で暴動発生/◎林子平、鎮圧を任される

第六章 大暴れ林子平  (30ページ)
トビラ;
剣を構える林子平
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、唐人たち、長崎奉行柘植長門守、司馬江漢、オランダ商館長アーレン・ウェル・ヘイト
エピソード;◎長崎の唐人屋敷について(中華思想と幕府の対応に対する不満)/◎工神堂の攻防戦/◎鎮圧成功、子平の武名上がる/◎オランダ商館長が林子平との会談を希望/◎ヘイト館長、子平を見くびる

 ●第七章 洋刀七本斬り  (23ページ)
トビラ;
出島内部の植物園
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、オランダ商館長ヘイト、長崎奉行柘植長門守、故ベニョヴスキー、
エピソード;◎商館長ヘイトの前で洋刀7本斬り/◎ヘイト、子平を誉め讃える/◎ヘイトと子平の親交/◎蝦夷地について語る/◎ヘイト、子平にベニョヴスキー事件のことを語る/◎子平の決意

●資料文献一覧(第一回)  (5ページ)
トビラ;
小早川秀秋像(京都高台寺蔵)

 

……とうとう解体新書が完成してしまいましたー。
つくづく解体新書って凄いなぁ。また、「ただ本を翻訳する」ってだけなのに、関ヶ原の勇士や幕末の志士たちと同じグループに入れてしまうこの漫画も凄いです。
私にとってこの巻は、何度読み返しても泣いてしまう巻です。大好き。

私の泣けるポイント。
その1.
前野良沢と杉田玄白は、この解体新書の編集方針を巡って繰り返し激しく喧嘩をする。とうとう激高した前野良沢は、玄白に対して絶縁を突きつける。しかしその時点で本はほとんど完成していた為、無事に解体新書刊行。完成した本を持って玄白は良沢の家を訪れるのですが、それを見て良沢は泣き出し、三人ひっしと抱き合う。(それを襖の影から覗き見て、ひとり涙する峰子ちゃん)
この場面を読み返すたびに、なぜか泣いてしまうおばかなわたくし。なんで私まで泣かねばならんのだ。なんでだろう?

その2.
世渡りがうまい杉田玄白の名声がウナギ登りで上がっていくのに対し、社交下手な前野良沢の家は閑古鳥。司馬江漢といっしょに膝をかかえて鼻をほじる父の姿を見て涙する峰子ちゃん。(そうですよね~。私もこの漫画読むまで解体新書の作者は杉田玄白だと思っていました)
しかし、良沢の主君の奥平昌鹿だけは行間に滲み出る良沢の業績を認め、お褒めの言葉を賜るのでした。…いいねぇ。


前野家の居候・司馬江漢

その3.
解体新書チーム3人と対照的な天才として登場する平賀源内。
源内はスーパースターです。前々巻と今巻で、源内の数えきれぬ業績が羅列され、これが凄い。売れっ子劇作家・小説家・コピーライター・洋画家・発明家・博物学者・奇書収集家・鉱山技師・治水工事家・財政コンサルタント等等々。でも、そんな源内は、解体新書を世に放った3人の姿を見て、焦りを覚えるのです。(源内の方がすごい万能人間なのに)
その結果彼が新しく作り出したのがエレキテル!
で、自慢たっぷりにこれを田沼意次に見せに行くのですが、田沼は源内に言う。「で、これはどんな役に立つのじゃ?」 この顔の田沼の表情は、決して源内をうさんくさく思っているわけじゃなくて、源内が天才だと知っているからこそ気さくに「教えて?」という感じなんですが、源内はそんな田沼に対して「電気とは何か」を説明しようとして、でもできなくて、真っ白になってしまう。このコマが好き。漫画ではこの描写が数コマに渡っていて、そのページが凄いと思う。

源内は電気という物がすごいということが分かっていて、それがすごく役に立つという事も分かっていて、テレビや洗濯機や車や電灯が満ち溢れている未来の光景も想像出来ているのに、電気が何が凄いのか言葉で現実的な田沼に説明することができない。どれもがその時代にはまだ無いものだから。それで一瞬源内はポカーンとしてしまうのです。真っ白になってしまうのです。源内が感じていた焦りとは、「無から何かを生み出しそれを世に広める」ことには時間がかかるという焦りで、でも解体新書は地味に時間を掛けてそれを成し遂げてしまった。
で、源内は手っ取り早くそれを江戸に広める為に、エレキテルを見せ物小屋にして、大ヒットしてしまうのです。見せ物として。さすが源内、何をやっても大ヒットさせてしまうです。でも、これが次巻の源内の悲劇に繋がると知っているから、泣ける。

というわけで、解体新書が完成してしまったので、前野良沢の物語は終わりなのでした。以後もちょくちょく出てきますが、もう主役ではなく、脇役なのです。私が残念なのはとても気に入っていたけなげで甲斐甲斐しいお峰ちゃんの出番も終わり、ということで、悔しいので名残にまた峰子ちゃんの絵を描いておきました。(前にも描きましたけどね)

ついでに、今まで読んでてちっとも気にならなかった人物として司馬江漢がいたんですが、今回読み直してみてやたらと気になりました。この人、何の為にこの漫画に出ているんだろう? しかし今巻の平賀源内と彼との対話には、いろいろ考えさせられる事が多かったです。

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頼朝だったら勝てるのか。

2007年09月17日 08時02分37秒 |   源頼朝


<阿野全成(※想像図です)

ゲームの話の続きです。
…というわけで、山木判官で平家の世を覆す計画は、一時棚上げです。
やはりこのゲーム、源頼朝で一度全国制覇をしてみないとね。これだけ(人員的に)恵まれているんだからね。ちょちょいのちょいなハズだ。
何しろ人材が満ち溢れていますので、山木攻めに6人、伊東の牽制に10人、相模方面の同盟軍の援護の為に伊豆大島に武将を12人、隙を見て駿河方面にも手を出せるように精鋭3名、なんて作戦を考えてもお釣りが来ちゃうほど人がいます。ほんとにこれ、頼朝の旗挙げか?
しかし困った事が起こります。あまりに人(兵)が多すぎて、財政の収支が常にマイナスなのです。当たり前です、痩せた伊豆の大地が、3000人もの兵を養えるはずがありません。慌てて収入を増やさないとならないのですが、私が山木でやってたときはあんなに簡単に落ちた城が、私が攻めると陥落に倍のターンがかかるのです。なんで? なにかコツがあるの? ま、山木は武将3名だからいいのですが、伊豆東海岸では伊東祐親と大庭景親と梶原景時らが大軍を率いて行ったり来たりしては、河津を急襲したり大島を包囲したり相模国府の土肥実平らに襲いかかったりしています。幾度か撃退してもキリが無い。タフな奴らです。でも、伊東と富士川と小田原あたりまで確保しなければわれわれも喰う物が無くなるのですから、悠長にしてはいられません。
そして困った事に、治承5年になったあたりから、ぼこぼこと頼朝の元に勢力が結集してくるのです。山木を落とすと源義経が弁慶・佐藤兄弟・義盛・堀らを率いてやってくるのを手始めに、文覚・阿野全成・範頼・義円… あんたら、もっと別の場所で戦えよー。そして急激にわれわれは破滅の道を辿るのでした…

コツはどうやって支出を抑えるか、
各武将の手持ちの兵を少ないままに保っておくか、だと思うのですが、何度やりなおしてもうまくいかない。このゲーム、必勝法ってあるのでしょうか。各ターンの支出は出兵している兵の量が大きく関わっているのですが、相手側の相模兵を見ると、無軌道に大量の兵を投入しているように見える。伊豆で同じ事をすると2年で戦線が崩壊する… 武力の高い将だけに兵力を集中すればいいのかな…
なんせ伊豆にはお気に入り武将が多いので、非常に悩むのです。

 

伊豆に人材が使いこなせぬほど溢れている。
なんと贅沢な悩みでしょう。
で、各武将の能力値についてなんですが、
武力が最も高い武将が源義経なのはしょうがないです。
武力は10段階中の10で、政治力が4、知力が8、野戦統率力は8です。
我らが頼朝様は、武力5、政治9、知力8、野戦8。
頼朝軍の武の要は北条時政と北条宗時で、武力が6。(義時は5)。
岡崎義実も武6ですが、我が軍で最も強いのは佐奈田義忠の武力7なのです。(えええー!?)
噴飯なのは、私のお気に入りの天野遠景・加藤景廉・田代信綱・近藤七国平はみんな武力が5なのです。烏合の衆扱いなのかよ~ あ、佐々木兄弟で一番強いのは三郎盛綱で、武力は6でした。客将の和田義盛が武力8。(高ッ)
これが、義経一党が登場してくると話は変わります。
義経が武力10で知力も高いのはまぁ譲るとして(知力が無いと計略が決まらないですもんね)、武蔵坊弁慶=武力9、佐藤継信=武力8、佐藤忠信=武力7、常陸坊海尊=武力7、鎌田兄弟&伊勢三郎義盛=武力6。もう、義経たちがいないと伊豆の衆はやっていけなくなります。
(※敵は、大庭景親も梶原景時も武力6ですが、持ち兵が異様に多い。伊東祐親は武力3。いやーーん)
ついでに、義経と並ぶ総大将・蒲の冠者範頼は武力6、政治4、知力5、野戦7、荒法師だった阿野全成は武力4、政治2、知力1、野戦1なのです。

しかし、ほんとになかなかおもしろいゲームです。
なお、同じ作者さんの『チンギスハーン』の1180年シナリオの方が(やや)資金を気にせず源平の争いに集中できて、武将数も絞り込まれている分、ゲームの入門用としては最適です。木曽義仲と同盟関係が結ばれてあるので、「どっちが先に京都に到達できるか競争」にちゃんとなるのが面白い。
(さらにシナリオ倉庫には「源平討魔伝シナリオ」(生き返った悪七兵衛景清となって悪の魔王・頼朝を倒す)や「1180年に元寇があったら」シナリオ等もありますよ~)

チンギスハーン版で言えば、上の人と同じぐらい緻密ですごいのが、このお方です。ブログを読むだけで綿密な探査と情報収集、考察をしていることが分かる。シナリオ置き場の場所が分かりにくいのですが、コチラ。(『蒼き狼1189』。なんとデータが5MBもある)。上の人のよりもさらに人物紹介が詳しく、鎌倉幕府の部分だけでも読むのが楽しいです。なんせ武将じゃないのに「牧の方」とか「大姫」とか登場してますから(^_^)。まだ遊んでないけど政略結婚とか出来るのかしら。武将能力値がawakさんのと微妙に異なっているのが、これまた楽しいのですのよねぇ。ただ、残念ながら1189年のシナリオなので平家は滅びていて山木判官はおりませんし、なぜだか加藤次景廉や天野遠景がいない~

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山木判官の野望。

2007年09月17日 05時37分27秒 |   源頼朝

ゲームのお話。
大分前からちまちま遊んでいる無料ゲームで、 『戦国史』という国盗りゲームがありまして、これがスゴいんでございます。ゲームは、かつて信長の野望と人気を二分していたシステムソフトのゲーム『天下統一』に似たような感じなんですが、どんな弱小勢力でも気合いと根性と力技でどうにかなってしまうコーエーのゲームに対し、天下統一は弱小勢力は無い頭を振り絞らなきゃならなくて、それが好きだった。天下統一のIVの廉価版が出るのをずーーーっと待ってたんですが(まだ出ない)、そんな私の前にポンと現れたのがこの『戦国史』でした。戦国史ではより弱小勢力の生き残りが厳しくなっており、「戦争よりも外交の妙に力を入れた」と謳っております。
この戦国史、フリーゲームで標準で装備されているシナリオで遊んでも良いのですが、一番のウリは自分でデータや地図をこしらえて、自由に公開できるということでした。ゲームが配布され始めたのは6、7年前ですが、現在でも愛好者が多くて配布サイトも結構な数が存在します。作れるシナリオは戦国時代や日本だけに限らず、南北朝時代や三國志や魏晋南北朝時代や十二国記や風の谷のナウシカや現代企業ゲームなど、何でもあり。私はとりわけ太平記シナリオや源平時代のが好きだったです。
きのう久し振りに源平時代の作者さんのサイト(『awakの戦国史シナリオ工房』さん)に行って、シナリオをダウンロードしなおしてみたら、うををををおおお~~、かなりバージョンアップされているぅ。そもそも私のパソコンに入っていた源平時代シナリオは2004年の版だった。その時点であまりのカオスさに「こりゃすげえっ」とびっくりしたんですが、この作者さん、あれから数年かけて、手を加え続けてたんですねぇ。凄いです。なんと登場人物1700名!(←えっ!?) 旧版にはなかった「人物列伝」の項も(まだ途中みたいですけど)充実しています。一番の見所は地図マップの改訂。前のに比べて倍ぐらいすばらしいものになっています。(まだまだ変なヵ所もあるけど、そりゃ仕方がないってもんです)

実は私は源平時代が好きになって間もないので、このシナリオはダウンロードしたっきり、ずっとほったらかしにしてあった。まともに遊ぼうと思ったのは1年くらい前からです。とにかく武将数が多いので、その能力値設定が楽しくてね。新版が出てたなんて知らなかったんで、何度も遊びかけてもあまりのこの時代の途方も無さにその都度放り出してしまったのでした。だって、弱小勢力でも自分の地域でちんまりと息を長らえさせていける戦国時代と違って、源平時代はすべての勢力が中央の力関係に連動してるんです。すべての勢力は敵か味方。中立勢力が無い(=外交戦略で乗り切る事が出来ない)
私は伊豆にしか興味がありませんので、当然選ぶのは「山木判官」(←えっ!?)。ところがこのゲーム、山木判官の部下には堤信遠と中原知親の2名しかいないんです。同名勢力として伊東や相模の大庭らがいるのですが、一方で隣接する北条郷や伊豆国府には頼朝配下の武将がうようよと。しかも山木家は「平家の従属国」として設定されていて(そりゃそうだ)、独力で他勢力と交渉する権限が与えられていません。で、ゲーム開始直後に攻め込まれ、近隣の同盟勢力に助力を仰ぐ間もなくゲームは終わり。うをーーーん。

これが新バージョンではどうなっていたかというと。
人員の配置関係はほとんど変わりがありません。しかし、勢力分布がちょっと変わっているのです。前バージョンで一番の問題だった点は、山木判官は伊豆の支配者であるはずなのに関わらず、3人しか武将がいないという点でした。それに対して源頼朝の布陣が強力すぎるのです。北条館にいる北条時政・宗時・義時・時定・天野遠景・加藤親子・盛長・伊賀朝光(えっ)に加え、修善寺にいる後藤親子(だれ?)、宇佐美祐茂・工藤祐経・比企義員親子(えっ)、さらに加えて伊豆国府にいる佐々木4兄弟に加えて佐々木秀義(えっ?)、大庭景義(えっ?)、岡崎・佐奈田親子(えっ? でも土肥実平はいない)、足利義兼(ががーんっ)、和田義盛(なんで?)ら総勢27名に率いられた兵力3000が、開始のターン(治承4年5月)に山木館に向かって押し寄せてくるのです。勝てるはずがないじゃん。どうなってるんだ頼朝の挙兵。(は、87人だったはず…)
それがですね、新しいバージョンではどうなっているかというと、山木判官は「山木家」という孤立した勢力ではなく、「伊賀平氏」という勢力の一部と変更されているのです。山木館にいるのは3人だけど、本拠地伊賀には父・関信兼(えっ?)やかわいい弟たちら合わせて10名前後の武将が補強された。これをうまく駆使して、最初の頼朝の猛攻を乗り切れということだな? 私はそう考えました。

ところがどっこい。せっかく武将の数が増えたのにかかわらず、いざ武将を伊賀から伊豆に移動しようとすると「道路が繋がっていないので出来ません」と出ます。内政をしようとすると、「当主(父信兼)のいる場所から遠すぎるので出来ません」と出る。おいっ。前より悪いじゃん。しかも伊賀の方も開始直後に山本義経が攻めてくるので伊豆どころじゃなくなる。よっ、義経ぇ~~。だからとりあえず開始直後の頼朝の侵攻を防ごうかと思い、「主家を清和源氏に鞍替え」してみると、伊東と相模平氏が敵となって(当たり前だ)次のターンに伊東祐親と大庭景親が大軍で山木館に攻め込んでくるし、「じゃ、近い場所の官軍に助けて貰おう」と思って駿河の橘家に「主家の鞍替え」を申し出ると「それはできません」と言われるし(当たり前か)、もぉ、お手上げ。
平家はなんで何にもしてくれないのだ。

山木判官で遊ぼうと思うのが間違ってるんですかねぇ。
せめて、あと数ヶ月の猶予があれば…(史実では頼朝は8月まで待ってくれるのに~。このせっかちさんっ)。なんで相模・武蔵のやつらがみんなで伊豆にいるんだっ。せめて、無双の勇士・関屋八郎がいてくれたらっ(データを見るとどこかにいるみたいなんですが)。せめて、頼朝の山木攻めの時に黄瀬川に遊びに行っていた山木判官の部下たちがいてくれたらっ。

このゲームで山木が勝てるようにするにはどうしたらいいんでしょう?
まず山木館の武将数を多くする事は先決だな。関屋八郎は当然として、あと2、3人。(どうせだから架空の人を増やすよりも藤原邦通が逃げ出しそびれて山木館にいるとか(まだ5月だから)、文覚上人が山木で捕縛されているとか、ちょっとおマヌな仁田四郎が(山木攻めには参加していないはずだから)8月以前は山木側にいるとか、改変しちゃってもいいかもしれない)
それから、伊豆国府、これは確実に平家側のはずだろぅ。伊豆国府にいたと思われる源有綱はどこかへ逃げちゃったとしても、伊豆国府がこっち側に確保できているかどうかで大きく変わると思う。平時忠は国司なんだから、息子のひとりかふたり、こっちに送りなさい。それから平家、早く追討軍を送りなさい。伊豆国府にいる相模・武蔵の武士たちはとっとと自分たちのところに帰りなさい。
不確定要素が少なすぎる事も、外交のしようが無い手詰まり感に繋がっていると思う。外交次第でどっちにも転ぶ中立勢力がいくつか欲しいと思う。例えば地図に伊豆山神社(はちょっと厳しいとしても)、箱根の修験者たちとか三島大社の神官軍団を追加するとか、伊豆大島は源為朝の残党たちの島にするとか、牧氏はもうちょっとこっち寄りにするとか。(都に、「池氏平氏」という反平家の大勢力があることに笑いました)。

…などなどと、考えているうちに、「じゃあ自分で作ってしまおう」と思っていろいろとマニュアルを読み始めたんですが、「シナリオエディタ」は有料版にしか付属してないんですってよ。旧版にはマップエディタが付属していたのに、新版ではそれも削除されている。ゲームを遊ぶのは無料だけど、新しいシナリオを作るのは有料(3000円)、ってのは、うまい商売だなと思いました。(だって自分だけのデータのゲームを作りたくなりますもん。作るのすごく楽しそう) ちくしょー、半年前なら趣味の為の3千円なんて惜しくもなかったのに。このゲームの「同盟・寝返り」の設定が緻密に面白く設定出来るとしたら、私が世界一面白いゲームだと思っている『ドラゴンパス』をこれで作ったら、すごく楽しいものが出来あがると思うんですよ。

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