スタジアムでの悪態

フランスのスタジアムで人種差別事件が相次いでいるという記事を読んで、それがヨーロッパでのサポーターとＪリーグのサポの違いのようなことが書かれていた。オーストラリアでも人種差別とはちょっと違うが、スタジアムでのサポどうしの暴力事件はよく起こる。

Ａリーグが始まる前の国内リーグに加入しているクラブの多くは、エスニック・マイノリテイのクラブが運営していた。これらのクラブはサッカーのみならず立派なクラブハウスを持ち、そこにレストランやパブがあり、一種の社交の場である。

こう書くとヨーロッパの地域に根付いたスポーツクラブのように聞こえるが、それが違う。根本的な違いはそれが人種ごとにクラブが運営されているということである。クロアチア系、スロベニア系、イタリア系、ギリシャ系などなど。

このようなエスニック・クラブが持つサッカークラブは自然とその人種の人々しか応援しないし、ましてや旧ユーゴの各人種は非常に敵対している。そのためクロアチア系とセルビア系の試合では千人も客が入っていないのに、サポどうしが衝突するような事件がよく起こった。

Ａリーグは加入条件として１都市１クラブとしてエスニッククラブを排除した。だからこそこれまでエスニックスポーツとしか見られていなかった国内リーグに、人種間争いを嫌ってサッカーを観戦しなかった普通のサポが集まるようになった。

しかし上述のエスニッククラブは州リーグ（日本でいえば地域リーグと呼べるのだろうか）にとどまっていて、まだサポどうしの暴力事件がおきたりする。

人種差別、民族対立がサッカーに持ち込まれることなど日本ではありえないが、サッカーだろうとなんだろうとこれらの悪態は外国ではどこまでも追っかけてくるということを知っていただきたい。