飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

成功体験を積ませる  考える力

2024年07月27日 05時01分21秒 | 教育論
ある塾では、次のようなことをするという。
勉強がとても嫌いな小学5年生が入塾してきたとする。
この子に学習習慣をつけさせるにはどうしたらよいか。
優秀な塾の先生はどうするか?
まずは、4年生や3年生のテストをやらせる。
もちろん、学年が書いてある部部は事前に消しておく。
すると、たいていの子は100点かそれに近い点数がとれる。
それでも満点近い点数が取れない子についてはさらに下学年の問題をやらせる。
こうして100点がとれるレベルが判明したら、同レベルの問題を繰り返し解かせて、100点をとるという成功体験をどんどん積ませる。
するとどうなるか。

達成感はもちろんやればできるという自信がめばえるようになる。
そうすると自分からテスト勉強をするようになる。
これは子ども教育の鉄則である。

これは大人でも一緒である。
仕事がわかっていない人、教えてもできない人を引き上げるには、確実にできる課題をあたえて、100点をとらせること。
人材養成の大きな目的は「わからないことが、わかるようになること」、「できないことができるようになること」である。
でも、その前にもう一つとても重要なことがある。
それは、できることを、いつでも出来るようにすること。
技術は理解可能だが、その技術を使いこなすには技能が必要になる。
武道の技は、体現化する必要がある。
自分の体が自然に動けるレベルまでひきあげられてはじめて身についたといえる。

多くの指導者はこれを逆にとられてしまっている。
部下のできること・えきないことを上司が明確に見極め、「できること」の中でも、「確実にできること」があるので、それをやらせて100点をとらせる。
そして100点とれたという事実をしっかり認めてあげる。
このことにより上下の関係もよくなり、さらに「できることが、いつでもできる」という精度が上がっていく。
これでようやくできないことに挑戦するための土台ができたことになる。

それからもう一つ教育の世界で注意が必要なことがある。
基本的なことが十分にできていない段階で「自分で考えなさい」という言い放つ指導は絶対にさけるということだ。
これは、まだ四則演算も出来ない子どもに、連立方程式をを解けと言っているようなものだ。
「見て盗め」的な指導は現代ではしてもいけないのである。

考える力を引き出したいなら、考えるという過程をひとつひとつの行動に細かく分析し、その手順を見せたり、説明したりしなければならない。
だから伝えたい技術があるとき、それが出来ることは前提だが、その行為を分析し、分かち伝えられる技能が必要になる。
逆上がりの指導をするとき、「こうやるんだよ」と何回見せても効果は薄い。
そうではなく分析と細分化、説明が必要になる。
ここで腕をまげる、足を蹴り上げるタイミングはここ、角度は何度、視線はここ等細化した行動を解説しながらお手本を見せるのである。

まずは、基本的な学習で実績を積ませること。
それによって自分で考えるための自信や土台ができていく。
考える力はそれから育てるでいいと思う。

saitani

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