飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

着語1

2006年03月10日 23時49分48秒 | 国語科
国語の時間、教師は範読をする。
この範読をしない教師はいないはずである。
ただ、範読をどのタイミングで、何の目的をもってするかと問われればそれは人それぞれだろう。
いや、目的もなく、ただ読んでいる教師もいるかもしれない。

この範読の際に、読みながら短い教師の感想や注意点を付け加えることがしばしばある。
これは着語と言われているものである。
そしてこれを最初に理論づけたのは、芦田恵之助である。

芦田恵之助は、有名は教式「七変化」を確立した。
1時間の授業展開にあったて、次の七過程をとった。

1 よむ 2 とく 3 よむ 4 かく
5 よむ 6 とく 7 よむ

これを見ると、4の「かく」を中心としてシンメトリーになっていることがわかる。
着語が主に行われるのは、3の「よむ」の場面である。
この「よむ」は、教師の範読にあたる。
この範読は、当然教師の仕事である。
その目的を芦田は次のように言っている。

1 教師自身の修行
2 児童の読み振りの手本
3 教師の豊かな理解を声に移してうかがう

芦田は着語のことを次のように定義づけている。

読んだ直後の感じをごく簡単な言葉で現すのです。

読んだ直後、あるいは読みつつうかんだ感じを、文節のあいだにはさんで、つぶやくともなく、のべるともなく短い言葉で、ぽつりともらす。
例えば、芦田の先行実践、「尋六の源氏物語」の場合、74センテンス中に、50回も付け加えられている。
量的にはおおおく、解説付きの範読といった感じである。

SCENE160(saitani)