飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

権威を成り立たせる条件

2006年03月21日 23時22分52秒 | 授業論
先週の公式戦で、指導しているミニバスの今年度の日程はすべて終了した。
6年生には最後の大会となったこのリーグ戦も全勝で、有終の美を飾ることができた。
決勝リーグでは、チームのみならず、保護者も一丸となって試合に臨み、最高の結果を残すことができた。
昨年の春、チームを任されて以来、ずっと子どもたちのこと、チームのことを考えてきた。
考えてみれば当たり前のことだが、最初に気がついたのは、自分ができることとそれを人に教えることとはまったく別の次元のことであるということだった。
バスケットにおける技術的なことは一応自分ではできるし、説明もできる。
しかし、それを出来ない子に教えるとなるとどのようなスモールステップで、どのような指示を出せばいいのか。
また、テクニカルポイントは何で、どのような練習設定をすれば、進歩するのか、毎日考えていた。
コーチとしては、一から勉強し直した。

バスケットの指導は、学級における指導よりも容易にできる部分がある。
それは目的意識が一元化されており、物事に対する価値判断にゆれが生じない点である。
リーダーが、きちんとした指導技術をもち、将来のチーム戦略に関する明確なビジョンをもってさえいれば、比較的スケジュール通りに、練習は進んでいく。
ただし、子どもたちの進歩は計画通りにはいかないが。

予想以上に、ワンサイドゲームとなった最終戦。
子どもたちものびのびと自分のプレーをして、満足していた。
そして、この1年間、黙々とチームを支えてきてくれた保護者のみなさんも満足のいく試合結果だった。
プレー中も試合後も笑顔で一杯の子どもたちだった。
保護者の中には、涙を流している方もいらっしゃた。
「これはすべてコーチのおかげ。」
と保護者は言ってくれた。
子どもたちも、深々と頭をさげ、感謝の言葉を言ってくれた。
しかし、すべては子どもたちの頑張りの結果である。

負けても悔しい表情ひとつせず、反省もしなかった子どもたち。
負けることが当たり前だった。
それが自分たちのチームにプライドをもてるようになり、プレイを自主的に反省するようにもなった。

チームプレイを大切にして、仲間同士支え合い、助け合ってきた。
ある保護者が試合を見ていて、
「うちのチームの試合をみているとサッカーの試合をみているようです。
 うちのチームは、組織的に統率がとれているヨーロッパのチーム。
 相手チームは、エースがドリブル突破していくような、ブラジルサッカーのようです。」
一人一人の身体能力では他チームに及ばない点はあるが、組織力では秀でていると私も思う。

私の指導は、厳しかったと思う。
それは、子どもたちに負けてはいけないと考えていたからだ。
選手に負けるということは、指導者の権威がくずれるからである。
指導者の権威がくずれることが敗因の重要な要因となる。

権威を成り立たせる条件には、四つの条件がある。
一つめは、能力。
判断力、指導力、組織力等優れた能力が必要である。
二つめは、信頼。
正直さ、誠実さ、謙虚さを持った人間が信頼を勝ちえることができる。
三つ目は、知恵。
豊富な知識と知恵をもとに選手に助言し、成長させる指導者は信頼され、その言葉は権威をもつようになる。
四つめは、優しさ。
厳しさの中にある、優しさが必要である。
選手に迎合したり、甘やかすこととは次元が異なる。

これらすべて信念に基づく、日々の積み重ねの中から育まれるものである。
たとえ恐れられようとも、好かれなくとも、信頼だけは得たい、そう考えてこの1年間指導をしてきた。
今、自分の技量のつたなさを感じると共に、リーダーの力量以上には組織は伸びないと言うことを改めて実感している。
まだまだ、勉強がたりないと反省した1年だった。

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