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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

「北斎展」行ってきました! 

2005年11月10日 06時45分35秒 | Weblog
東京に来ています。
アース21という北海道の工務店・住宅ビルダーの勉強会の定例会です。
いつもは北海道内で、地域持ち回りでさまざまな住宅建築を巡るテーマで
研鑽を深める趣旨で、経営向上策から工法の研究と
幅広い建築の探求をしている会です。これは別に報告します。
 
スケジュールが突然、空いたので友人から情報を聞いていた
「北斎展」、行ってきました! 
すごく、感動!
世界に散逸してしまった、日本最高峰の絵画の天才の画業を
一気に見ることができます。
葛飾北斎といっても、教科書程度の知識しかなかったのですが
こうして、里帰りした作品も含めて、その時系列ごとに
わかりやすく見てみると、その天才ぶりがまざまざと実感できます。
「画狂人」というサインをしている時期もあるのですが
とにかく、その構想力・企画力、力強い構図のメッセージパワー
色彩の感覚、など圧倒されまくった次第です。
とくに、やはり「富岳百景」は、かれの代表作ということが
ホントによく理解できました。
これは、って思えた作品は判で押したように
「メトロポリタン美術館所蔵」
とくに、むむむ、と動けなくなった
富岳三十八景・常州牛掘。
復刻画もさっそく買ってきましたが。
原板のすばらしさに触れて、はじめてこころから
理解できる、一種の体験ですね。
アメリカは、日本に勝った、日本は負けたんだという
歴史的事実の重さを知ることにもなりましたがね。

こんな機会は、たぶんもうない、感じがします。
こういう天才を持った、わたしたちの文化の誇らしさを感じました。
言葉はありません、ただ、感動しました!

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ユーモラスな古家

2005年11月09日 05時37分11秒 | Weblog
先日、青森県十和田市での取材のあと、
道ばたで発見した古家。
農家の敷地内にありました。いまは倉庫みたいで
住宅としては使ってはいないでしょうが
むかしは、きっと住んでいた家だと思いました。
柱を見ると、水平も垂直もとれてはいない。
玄関前の軒は、すこし欠けているので、
歯が抜けてきた老人の感じもある。
きっと、床も土間だろうな、土台も曲がっていそう。
でも、草葺きの屋根のてっぺんから
新しく、草も伸びていて
「おれはまだ元気だぞ、若いモンには負けん」
って、まるで語りかけてくるような感じがして
とてもユーモラス。

いつも、立派な新築住宅を見る機会がおおく
かえって、こういう古家は
なごみや、飾らない面白さを感じるようになるものです。
建物への、愛情みたいなものでしょうかね。
こんな古家でも、こうしてなにかに使われていれば
その家族の、その建物とのつきあいを感じさせてくれますね。
みなさん、どう感じられるでしょうかね。
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「百年住宅を目指して」 冊子発行

2005年11月08日 03時36分57秒 | Weblog

このブログで再三ご案内している、新住協。
北海道からスタートした「高断熱高気密」住宅運動の中核的な組織、NPO法人です。
現在の国の住宅性能基準策定などは、
この北海道での始まった高性能に向けた努力が
基本的には、ベーシックな基準になったといえるもの。
「高性能な住宅を安価な価格で」という新住協のひらかれた姿勢は
ユーザー利益に貢献する姿勢を持った運動といえます。
そのなかで、研究開発の基本を支えてきたのが
室蘭工大の鎌田紀彦教授。
今回、教授が一般ユーザー向けに、北海道新聞などで連載した
記事を集めた小冊子が、新住協から発刊されました。
写真の「百年住宅を目指して」です。

連載中、実に多くの真剣な住宅ユーザーから
直接、質問や相談が寄せられるなど、そのわかりやすさ、明快さで
住宅性能についての、一級の読み物といえます。
このブログでも触れるようなテーマは、基本的に
このなかで紹介されているようなスタンダードな立場に沿っています。
ぜひ、真剣に住宅性能についてお考えのみなさんは
ご一読されることをお勧めいたします。
目からウロコ、凡百の住宅本とは一線を画す一冊です。

新住協から、一般ユーザーのみなさんにも
500円で頒布しています。お問い合わせは
電話 022-781-1371 新住協本州事務局まで。
HPは、 http://www.shinjukyo.gr.jp/
また、建築会社向けの一括購入システムもあるということ。
各建設会社でも、ユーザーへの啓蒙にぴったりだと思いますよ。
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2階テラスと木製サッシ

2005年11月07日 05時20分41秒 | Weblog

この家、札幌の古くからの高級住宅街・宮ノ森にあります。
札幌にしては、街割り区画整理が計画的とはいえない地域で、
今は建て込んだ印象の街並み。
まぁ、相続を重ねて土地が狭くなってきたのが実情ですね。
本州地域の住宅街の様相と似通った感じ。
ただ、札幌は歴史も浅く、土地への執着・しがらみも
他と比べると希薄なので、こうなると他に土地を求める人も多い。

でもこの家は、親の敷地の一角に建てたんですね。
ですから、近隣との距離がとりにくい。
そこで、2階に主な居住スペースを持ってくるプランを採用。
こうすると、隣家の庭や植栽など、借景出来るメリットもあります。
しかし、それでもなお視線とか、気を遣うケースも多いもの。
で、写真は食堂・台所に面して取られた2階のテラス。
決め手は正面の格子のウッドフェンスです。

取材に伺ったときは、まだつたのある植栽はしていませんでしたが、
この格子に、緑をめぐらせれば、
街並みとの調和を、かなりうまく計ることが出来ます。
テラスの広さは8畳以上あって、外の居間という感じでたいへんここちよい。
手前食堂には、クッキングストーブも置いてあるので
内と外が一体化した、開放的でステキなホームパーティ空間になります。

こんなテラスが可能になったのは
もうひとつ、床までの大型木製サッシもポイント。
北欧の技術を学びながら成熟してきた北方日本の木製サッシの高性能が
こういうライフデザインを、
あたたかさの条件を犠牲にすることなく、実現できているわけです。
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いい映画を見ました

2005年11月06日 06時07分34秒 | Weblog

わが家はときどき家族そろって映画鑑賞、いきます。
きのうは、なぜか坊主ご推薦の作品を見てきました、が、
いや~、坊主にすっかり泣かされました。
作品は、漫画が原作の 「ALWAYS 三丁目の夕日」。
監督は、山崎 貴さんっていうひとで、1964年生まれっていうから
40代半ば。まぁ話題になっているんで見た人も多いでしょうね。
昭和33年という時間・空間が主なテーマ。
昭和ノスタルジー、というジャンルが
どうもこの作品で完全に見えてきたんじゃないかなぁ。
うまくいくと、漫画原作もしっかりあるので
「寅さんシリーズ」のような長寿命シリーズになるかも知れませんね。

あの時代の空気が、あらゆるシーン、映像の中にたっぷりと詰め込まれていて
わたしたち団塊前後世代の心象風景を、はげしく揺さぶってきます。
あの時代にこどもだったわたしたちは
希有なほどに、幸福な時間のゆりかごの中にいた。
集団就職・三種の神器の普及・戦争の時代からの決別・・・
誰もが、きのうよりも明日がよくなることを信じられた時代。
ラストシーンで、その時空間から
「明日はもっとよくなる、1年後も、50年後もきっと・・・」
というフレーズで、夕日の映像とともに作品は終わっていました。
作品中で展開される人間ドラマも、それぞれに
予定調和的な、人間賛歌に満ちていて、力強い。

そうなんですよ、これなんだなぁ。
団塊の世代が、完全に文化の中心にもう一回復活するんですよ。
この年代をターゲットにしたものが、
これから10年は、すくなくとも主流を形成するのがあきらかなんです。
ただ具体的に、この作品は、方法論も含めて
映画というジャンルで、はじめて明確に
いま、時代が求めているものを表現できたんじゃないでしょうか。

住宅でも、30~40代がマーケットの中心ではなく
やはりこの年代が、あらたな空間の価値観を
住宅投資という形で、まったく新しい需要を作ってくるのだと思います。
たぶん、新築というよりも、ビフォーアフターTVの成功に示されるものが
これからの住宅マーケットのメイン潮流になるのでは、と。

親子連れも多かったけれど、激しくハンカチを動かしていたのは、
こうした世代とおぼしき、みなさんでしたね。
恥ずかしながら、わたしたち夫婦を含めて。
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らせん階段と、色決め

2005年11月05日 07時34分48秒 | Weblog

新築のときから、わが家のシンボルのらせん階段です。
フィンランドの建築家アルバー・アアルトさんの
デザインをパクって、
最初はすこし薄い茶色を塗って
そのうえから「縄」を巻いたりしていました。
この縄巻きは大変でした。
鉄製の素材に植物系の素材って、難しいんですよ。
なんどやっても、やがてずり落ちてくる。
アアルトさんの作品を確認すると
やっぱ、木材に対して巻いていて
金属素材には、やっていなかったんですね。
まぁ、そこに挑戦もしたかった、とはいえますけど。ちょっと無理。

その後、リフォームになって
縄巻きはやめ、3層吹き抜けもなくしたので
やや暗い室内にもならざるを得ないことから
色を原色に近い「黄色」に塗り上げました。
黄色は、元気を感じるし、風水ではお金が貯まるとも聞いたんですけど・・・
これが、なんの根拠もないことは、正しく証明されました(笑)。
まぁまぁ、しょがない。
写真は、ウチの居間から、もと吹き抜けの方向見返し。
色は、この黄色でやっぱ成功だったって、思っています。
なかなか、色決めって難しいものですけど
わが家の場合は、その時期の自分自身の気分を高めたい
っていうポイントで決めたわけです。
もう8年くらいになりますが、まぁ調和はしている感じです。
色の道は、って別に深い意味はありません(笑)けど、
なかなか、奥の細道。 深く迷い込む道の感じがしますね。

みなさんは、家の色決め、どう思われますか?
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にぎり寿司 挑戦!

2005年11月04日 04時17分58秒 | Weblog

さて、休日に仙台から帰ってきましたので
夕食に、かねて念願のにぎり寿司、やりましたよ。
って、これで4回目くらいかな。
魚はスーパーで売ってるセットものですので、まぁ、素人のど自慢みたいなモンですね。
でも本人・家族ともとっても楽しい。
インターネットで調べたら、ちゃんとやり方は書いてあるんです。
それによるとめしには、昆布と酒少量を入れて炊く、とある。
酢飯の酢は、出汁と酢、さとうの適量ブレンドで、加熱するといいとか。
で、大切なのが酢と飯をあわせるところ。
坊主に手伝わせて、飯を切りながら、うちわで酢を飛ばしてもらうんです。

できた酢飯を、右手で適量握って、左手でネタを用意して
手際よく、握っていく・・・んですが、これ、無理!
しろうとには、あの寿司屋さんのような流れるような手さばきは不可能。
当たり前ですよね、かれらはそれで飯、食ってるんですから。
まぁ、でも家族で和気あいあい、ああだこうだいいながらやると
とっても楽しい。
自分たちでやれば、多少失敗してもそれが味わい。
とか、自分を慰めていますが。

今回で4回目なので、だんだん年期を積んでいけば
友達に振る舞うくらいにはなれるんじゃないでしょうかね。
でも、自慢じゃないけど、類は友を呼ぶ。口悪いのばっかなんで
さてさてどんなこといわれますか?
楽しみでもあります。
きょうは、おとこのヘタ料理篇でした。 ではでは
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GWの外張り断熱

2005年11月03日 04時56分23秒 | Weblog

GWって、書いて「グラスウール」と読むのは
住宅関係者だけのようで、こないだは
「ゴールデンウィークって、なんで住宅と関係あるんですか?」
と聞かれてしまいました(汗、あせ)。
そうですよね、たしかに普通の生活感覚で言えば、
GWはグラスウールより、ゴールデンウィークが正しい。
だれがなんと言おうと、その通りです。
でも、建築の常識もまぁ、ありまして・・・。

で、この建築の常識というやつで、けっこう多いのが
外張り断熱はプラスチック系などのものしか想像しないということ。
メーカー名になるのですが、スタイロフォームなどですね。
写真は、わたしが関与した住宅の付加断熱(通常のGW充填にプラスして、外壁側に板状にした断熱材をプラスすること)の様子です。合板張りになっている部分はパネルになっていて、内部にGWが100mm充填されています。そのうえに板状に加工されたGWを外側から張っています。
こうすることで、厚い断熱層が形成できるのです。
ここでは150mmの厚みが出来ます。
わたしの事務所には、本州地区の多くの建築家や工務店さんがよく見学に来られます。
で、こうした北海道での家づくりの様子を納めた写真を
プロジェクターなどでお見せする機会が多いのですが、
そんなとき、
「あれー、GWでも外断熱できるんだ」
って、驚かれるんですね。けっこう。

本州地区では、GW対プラスチック系板状断熱材っていう
対立図式の印象を強くもたれているのでしょう。
GWが「内断熱」、プラスチック系が「外断熱」っていう先入観念ですね。
断熱材自体は、一長一短のあるものですから適材適所が本来は基本。
なので、ためにするようなGWへの誹謗・誤解はちょっと・・・と思います。
この写真のようなGW製品も出ていますから、
相対的に安価で外張り断熱もできるんです。
少なくとも、プロのみなさんには正確な商品情報を持っていただきたいと思います。
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学生の匠・授賞式開催

2005年11月02日 06時01分10秒 | Weblog
このブログで取り上げてきた「05学生の匠・リフォームコンクール」
きのう大団円で、授賞式が札幌市内のホテルで開催されました。 学生さんや学校関係者、サポーターになっていただいた多くの企業のみなさんなど多数出席していただきました、あつく感謝。
JRN大賞受賞の学生さんをはじめ、受賞の学生さんたちが集まり、ごらんのように表彰されました。
晴れがましく、また学生さんらしいはにかみが感じられ
喜びが伝わってきました。
実際に施工されたリフォームの様子も写真でご紹介。
ことしのリフォームは、軽量鉄骨造というのが最大のポイント。
図のような、断熱仕様をプロの側でしっかり施工したうえで
学生さんのデザインポイントを活かした空間にできたわけです。
既存の状態では、基礎の上にH鋼土台が外気に露出する形でした。
これが、寒さの基本原因。
少なくとも、10cm×外周(たぶん40m近く)ほどの面積が、コールドブリッジと呼ばれる熱欠損を生じさせていたんですね。しかもそのほか1~2階と2階と屋根の各つなぎ部分の鉄骨も、外壁サイディングで覆われていたとはいえ、熱的には露出されていたと言うこと。こりゃぁ、さぞかし寒かったろうなぁ・・・。 
この鉄骨構造を維持しながら、現実的に可能な断熱の仕様を図右下のように施工。
さらに室内側ではきちんと気密層も連続させられたので、基本的な暖かさは確保できたと思われます。

こういう部分、きっと伝わりにくいな、と考え
図を作成して、授賞式で写真を見せながら説明しました。
建て主さんはじめ、多くのみなさんにもご理解いただけたのではないかと思います。
性能の向上と、気持ちよい暮らしのためのデザイン。
めざすべきリフォームの基本だと思います。
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天空の寝室

2005年11月01日 05時34分35秒 | Weblog


以前紹介した平尾稔幸さん設計の当別町郊外の家の寝室。
まるで列車のような細長い建物ですが、
寝室は、そこから突き出したように独立して建っています。
寸法はたいへん小さめ。立って半畳、寝て一畳、という感覚に近い。
でも、よく考えてみると
大きなスペースというのは、いろいろな使い方が出来るので、かえって目的というのは不明確になる。 いっぽうこういう小ささだと、空間の意図というのが、あいまいな形でなく明瞭に伝わってきます。
昼間に伺ったので、ベッドからは明るい空が見られました、
が、ベッドの目的は夜。
眠りにつくまでの、いっときの時間を考えたとき
この寝室のめざすものは明確になります。

まさに「天空の寝室」
札幌のような大都会とは違って、この土地の最大のメリットは星空。
平尾さんはよく、「ミクロコスモス」という言葉をキーワードに使います。
それが、ホント、端的に伝わってきますね。

まぁ、土砂降りの雨の時はどうするんだよ、
というつっこみもありそうですが、それもまた、「ミクロコスモス」。
いずれにせよ
都会では味わいにくい暮らしぶりを満喫できる設計プランといえるでしょう。
これから、こういう「感性的な暮らし方実現型」、という住宅需要って
きっと高まってくるのではないか、
今後の住宅のメイン需要層にふたたび予想される団塊世代にとって
こうした「ついの住処」はきっと魅力的なのではないか、と思えますが
みなさん、いかが、感じられますか?
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