三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【浮遊する天井というデザイン再発見】

2019年01月14日 07時44分46秒 | Weblog
先日見学した高野現太さんのお宅ですが、
特徴的だったのが、随所で「天井」のありようがデザインされていたこと。
よく建築の内部空間をあらわすのに、「床壁天井」という言い方をする。
なんですが、床と壁は触感とみた目の大きな要素として考えられるほどには
天井というヤツは、そうは強くイメージされていない。
一般的には壁の仕上げと連関した範囲で構想されているのではないか。
通常は建築材料の寸法規格に沿って、
天井高さというのは自ずと定まるというケースが圧倒的に多い。
大体これくらいが適当とされた寸法高さで室内がそろえられていく。
ふつうに慣れた感覚からすると、天井高さにデザイン要素があるとは思えない。
そういう感覚に不意打ちのように「天井」が反抗してくるかのようです。
そういう一般理解からすると、こちらの写真のように
「浮遊する」感覚の「天井」単体イメージが訴求されると、
明瞭な建築意図というものが見えてくる。
こちらでは構造用合板仕上げでなるべく「軽量化」させた天井板が
ワイヤーで「吊り上げられて」装置されていた。
一目瞭然で、茶室に対して「座った目線」での空間企劃がそこに感じられる。
「これくらいの高さが適当である」という設計意図が伝わってくる。

うっかり失念して、もっと特徴的だった「浮遊天井」として
寝室の天井では水平も保たれず、しかも左右上下とも不均衡だった。
まるで3次元平面のような天井デザイン。
そこでは枕の部分の天井高さは抑えられ、手前の足の向いた側は高くなっていた。
そして廊下側の天井は低くなって、壁側は高くなっていた。
設計者からは「寝る」という体動作に添って
天井が対応するようにデザインしたと説明された。
わたしはあまのじゃくなので、「気が変わって寝る方向を反対にしたら?」
と思わず聞き返したが、「それはそれで(笑)」という返答。
たしかに足下が狭くなっていく空間というのもありかと(笑)。

天井に可変性を与えると言うだけで、
いろいろな気付きが得られるという意味では
オモシロいデザインの試みとは言えるのではないかと思いました。
なお、この住宅はReplan北海道最新号123号で紹介しています。
興味をお持ちの方は、ぜひ誌面をご覧ください。
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