三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【禅デザインに見るニッポン社会の文化受容力】

2018年11月21日 06時32分40秒 | Weblog


最近は「ニッポンブーム」ではないか、というくらいに
アジア諸国以外の欧米圏からの観光客が多いと感じられますね。
安倍政権による観光立国路線で飛躍的に増えてきている。
で、興味分野がいわゆるニッポン的なるものすべてに渡ってきている気がする。
ニッポンは成立の経緯からも「和」の国のようで、
過酷な破壊行為が歴史的にそれほど見られないことから、
古層のアジア圏文化がずっと生き残り続けているのでしょう。
それが生まれ出た国々ではいまはすっかり衰退してしまった文化も
ニッポンではしっかりとリスペクトされつつ続いてきている。
鎌倉期に中国から「輸入」された精神文化としての「禅」の世界感覚も
ニッポンではそのまま、かどうかは不明ながら
さまざまな方言化はされながらも、しかし本質は活かされ存続している。

久しぶりに鎌倉の円覚寺を参観してみて、
さまざまな建築群全体が、ある宗教的空間構成を志向している様を体感した。
木と石などで構成される建築群の随所で
切り取られるグリッド感覚があり、美観の発見があり続ける。
写真はある建築の「門」からその建物の玄関を望むシーン。
門って、いまの住宅建築ではほとんど省略されているけれど
こんなふうに写真で収めてみると、気付かされることが多い。
規格的な額縁として視覚を明瞭に区切って、
その先の建築要素をくっきりとシンボライズさせている。
そういった意図に対して玄関内部でも呼応した空間デザインが志向される。
玄関内部にはこれもきわめてニッポン的なライフデザイン小物である
扇子が意味ありげに配置され、その上部には円形のイレモノに
紅葉が盛り付けられて、対話するかのように対比配置されている。
こういった空間表現があちこちで、まるで「禅問答」のように展開している。
ニッポン人以外の人々も、こういう空間性に気付きはじめているのだろうか?
そういうことも興味深いと思われます。

さてきのうは建築知識ビルダーズさんの「エコハウス大賞」で
i+i 設計事務所・飯塚豊さんと新潟のオーガニックスタジオ・相模稔さんの
コラボ住宅がグランプリを受賞されたと言うこと。
ことしは多忙で参加できませんでしたが、
人柄で人気の相模さんの受賞で盛り上がっているようですね。
まことにおめでとうございます。
日本社会では北海道がスタートアップさせた「断熱気密」ですが、
いまは温暖地域での作り手のみなさんの意欲がすばらしく盛り上がってきている。
やっぱり「和の国」の文化風土、ニッポンの底力を感じています。
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