写真は先日取材してきた盛岡市のお宅。
岩手県の民間で行っている「エコハウスコンテストいわて」で
大賞を受賞した住宅です。
熱損失係数はほぼ1を切るレベルで、暖房はヒートポンプを採用。
随所に熱環境性能を追求している高性能住宅です。
ということなのですが、
この家は実は老朽化した住宅を建て替えたもの。
施主さんの要望は、なによりも暖かく快適な住宅性能というものだったので、
その要望を最大限、現状で可能な限り実現させているのです。
一方で、暮らし方とか、ライフスタイルとかの面では、
特段意識しないで、設計者と打ち合わせるウチに、
だんだんと、前の家のプランに行き着くようになったということ。
なので、最終的な間取りプランは前の家と大きな変化がないのだそうです。
まぁ、面白い結果にはなったなぁと、
建て主さんと設計者は笑い会っていたのですが、
こういうの、取材しているとときどき見かける事例です。
間取りって、知らず知らずのうちに生活ぶりに溶け込んでいて、
同じ敷地に建て替える場合、間取りを変えないというのは、
ある意味、合理的で「継続性」の面で理にかなってもいます。
せっかく建て替えるんだから、と思う部分もあるのですが、
その家を使っていくのは建て主さん。
生活の仕方、流儀のようなものって、出来上がっているとすれば、
それをあえて変えなければならない、という理由はない。
あさ、起きたらこの方向に行けばトイレがあり、
そこから新聞を取りに行って、居間で新聞を見ながら、
お茶を沸かす、みたいな「生活習慣」は、そのひとがたどりついたもの。
そういう部分にも変化を求めたい、という希望も理解できるけれど、
たとえば、高齢者の場合には
そうした部分に過度な変化を与えない方が「安心感」を持てる。
まぁ、人によりけり、ということもできますが、
案外、こういう継続性の方がいいというケースも多いんですね。