エレンディラ
作:ガルシア・マルケス
脚本:坂手洋二
演出:蜷川幸雄
出演:中川晃教、美波、嵯川哲朗ほか
さいたま芸術劇場
4時間を越える大作。もう壮大な一言。オープニング、赤い人面魚がふわふわと浮かんでいく様子はダリの絵のようだ。火事を出してしまったせいで、祖母に借りが出来、娼婦となる可愛そうな少女エレンディラと、ダイヤ入りオレンジを密輸する少年ウリセスとの純愛を軸に物語は幻想的に描かれる。
美波さんが、純粋無垢な薄幸の少女を熱演している。彼女は確か、野田マップの「罪と罰」でコミカルでテンションが高い妹役をやって子だよなあ。あの時は一瞬、濱田マリさんかと思ったが、今回は別人のようで存在自体が透き通っていた。けなげで、時に激しくて切なくなる。何かと話題の全裸シーンもまるで自然で違和感がない。まさに芸術だった。彼女にとっても転機となる作品になるだろう。
主演の中川君は劇団新幹線の「SHIROH」で観たことがあるが、抜群に歌が上手い。蜷川演出、およびストレート初挑戦だというが、ミュージカルで鍛えられてるからエネルギッシュだ。途中、美しい歌声も聞かせてくれた。中川くんも藤原君、小栗君たちと確か同世代だよね。それが17歳の天使のような少年になってる。これは、来年、藤原くんも身毒丸、十分いけるよ~って余計なことまで思ってしまったよ。
一番印象に残るのは、嵯川さんのおばあちゃん。だって、かつて隠密同心(ふるっ)、ロミジュリの神父さま、俊徳のパパ、オレステスのおじい様といつも偉い役ばっかの嵯川さんが、孫娘を餌に娼婦館の業突張りババアになっちゃうんだよ。それも肉襦袢なんぞ着ちゃって。毒もられても、刺されてもなかなか死なない。その上、歌も歌っちゃう。何気に嵯川さん、はじけまくってませんか?確か、この作品が延期になる前は白石加代子さんがこの役をやる予定じゃなかったっけ。白石さんだったら、また全然違うものになっていただろうけど、嵯川さんしかできないような怪演ぶりに思わず鳥肌がたった。
私は、70年代に南米文学がブームになったなんて全然知らなかった。こういう世界もあるのね。色彩豊かで乾いていて、広大で。広い会場にこれでもかというくらい蜷川ワールドが炸裂している。
カーテンひらひら~、羽がひらひら~ → あわれ彼女は娼婦、タンゴ冬の終わりに
雨がザーザー → オレステス
娼婦小屋、異形の人々 → 身毒丸
らくだや車が走り、モダンダンサーや大道芸人が時にスローモーションで動く。もうてんこもりでお腹いっぱい。でも、なんか、パッチワークのようで、つながりがない気もした。南米の海なのに、なんで日本調なのさ。あれは歌舞伎かな?イメージがどんどん膨らんで収集つかなくなっちゃったなのかしら???
そんな中、流れるナイマンの音楽がとても良い。この作品のために書き下ろしたそうで、劇の盛り上がりとともに、心にずんときた。是非、CD化して欲しいなあ。
さてさて、新たに知った南米ワールド、原作を読んでみようっと。
作:ガルシア・マルケス
脚本:坂手洋二
演出:蜷川幸雄
出演:中川晃教、美波、嵯川哲朗ほか
さいたま芸術劇場
4時間を越える大作。もう壮大な一言。オープニング、赤い人面魚がふわふわと浮かんでいく様子はダリの絵のようだ。火事を出してしまったせいで、祖母に借りが出来、娼婦となる可愛そうな少女エレンディラと、ダイヤ入りオレンジを密輸する少年ウリセスとの純愛を軸に物語は幻想的に描かれる。
美波さんが、純粋無垢な薄幸の少女を熱演している。彼女は確か、野田マップの「罪と罰」でコミカルでテンションが高い妹役をやって子だよなあ。あの時は一瞬、濱田マリさんかと思ったが、今回は別人のようで存在自体が透き通っていた。けなげで、時に激しくて切なくなる。何かと話題の全裸シーンもまるで自然で違和感がない。まさに芸術だった。彼女にとっても転機となる作品になるだろう。
主演の中川君は劇団新幹線の「SHIROH」で観たことがあるが、抜群に歌が上手い。蜷川演出、およびストレート初挑戦だというが、ミュージカルで鍛えられてるからエネルギッシュだ。途中、美しい歌声も聞かせてくれた。中川くんも藤原君、小栗君たちと確か同世代だよね。それが17歳の天使のような少年になってる。これは、来年、藤原くんも身毒丸、十分いけるよ~って余計なことまで思ってしまったよ。
一番印象に残るのは、嵯川さんのおばあちゃん。だって、かつて隠密同心(ふるっ)、ロミジュリの神父さま、俊徳のパパ、オレステスのおじい様といつも偉い役ばっかの嵯川さんが、孫娘を餌に娼婦館の業突張りババアになっちゃうんだよ。それも肉襦袢なんぞ着ちゃって。毒もられても、刺されてもなかなか死なない。その上、歌も歌っちゃう。何気に嵯川さん、はじけまくってませんか?確か、この作品が延期になる前は白石加代子さんがこの役をやる予定じゃなかったっけ。白石さんだったら、また全然違うものになっていただろうけど、嵯川さんしかできないような怪演ぶりに思わず鳥肌がたった。
私は、70年代に南米文学がブームになったなんて全然知らなかった。こういう世界もあるのね。色彩豊かで乾いていて、広大で。広い会場にこれでもかというくらい蜷川ワールドが炸裂している。
カーテンひらひら~、羽がひらひら~ → あわれ彼女は娼婦、タンゴ冬の終わりに
雨がザーザー → オレステス
娼婦小屋、異形の人々 → 身毒丸
らくだや車が走り、モダンダンサーや大道芸人が時にスローモーションで動く。もうてんこもりでお腹いっぱい。でも、なんか、パッチワークのようで、つながりがない気もした。南米の海なのに、なんで日本調なのさ。あれは歌舞伎かな?イメージがどんどん膨らんで収集つかなくなっちゃったなのかしら???
そんな中、流れるナイマンの音楽がとても良い。この作品のために書き下ろしたそうで、劇の盛り上がりとともに、心にずんときた。是非、CD化して欲しいなあ。
さてさて、新たに知った南米ワールド、原作を読んでみようっと。
エレンディラ (ちくま文庫)ガブリエル ガルシア・マルケス,鼓 直,木村 栄一,G. ガルシア・マルケス筑摩書房このアイテムの詳細を見る |