作・演出:野田秀樹
出演:妻夫木聡、蒼井優、渡辺いっけい、高田聖子、チョウソンハ、藤木孝、銀粉蝶、野田秀樹 他
NODA・MAPで観劇を再開。今の事態を予測したわけではないだろうけど、設定が実にタイムリー。舞台は火山観測所で、山が爆発するかしないかで大騒ぎになっている。地震も頻発する。記憶をなくした青年の中で、かつての大噴火が蘇る。
でも作品自体は災害がテーマではなく天皇制みたいだった。不確かなもの、虚構なものに、時代は流されていく。偽の情報に踊らされ、洗脳されて染まっていく。なんか、戦前の日本軍国主義が天皇を神とあがめて動き出すのとマグマがリンクしているように感じられた。決してあらがえない力。自然の力と同じくらい思想の力も恐いのだ。最近の野田さんはテーマが大きい。世相や事件を取り上げながら、さらりと皮肉り、人類の課題みたいなのを突きつける。恐い作品だった。
妻夫木くんは、なんか堤真一さんを彷彿させる。癖のない演技でナイーブな青年を演じる。映画も舞台も変わりなく自然体なのだ。蒼井優ちゃんは元気でパワフルな女の子キャラがハマッている。松たかこさんのピュアさと宮沢りえさんの強さを両方兼ね備えている感じがする。このコンビ、ばっちり野田さん好みだろうなあって思う。最近の野田作品にはこういうコンビがハマるのかもしれないね。私の一押し、渡辺いっけいさん、今回もすごい。チョウソンハさんの躍進ぶりもまばゆい。春琴で認められたから俄然、クローズアップされて強い役柄だった。
義援金のご協力と、家路を急ぐ人のためにカーテンコールはこれにて失礼させていただくと、最後に野田さんからご挨拶があった。各劇場、公演中止になるなか、「劇場の灯を消すな」と演じ続ける強い意思は、十分すぎるほど観客に伝わったと思う。はい、そのお言葉通り、わずかだけど、募金をして家路についた。
お・ま・け
観劇前、品川駅のコーヒーショップで「モロッコライス」を食べた~
真ん中に、ジャガイモと人参がど~~ん!ボリューム満点でおいしかったよ。