くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

異質なものの融合

2012年02月26日 | 観劇

2012年 蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:蜷川幸雄
出演:さいたまネクストシアター



異質なものとは、世代の差からくるものなのかな。人間は生きてきた時代背景とか経験とか年月によってこうも醸し出す空気とかまとっているものが違うのかって思う。

“蒼白な少年少女”である若いネクストシアターの役者さんたちによって演じられるハムレットは、一幕終わりまでは普通に淡々と進んでいたが、有名な、「尼寺へ行け!」という場面で、突如、こまどり姉妹が歌いながら登場した。想像するだけでも違和感ありありでしょ?厚化粧で派手な着物を着たおばさんのド演歌に下を向いて笑っている若い子もいた。たぶん、こまどり姉妹を知らない世代なんだろうね。私だって、タイムリーにはよく知らない。かしまし娘とかぶる。双子の歌手といえばザ・ピーナッツの方が馴染みがある。こまどり姉妹はその先駆け的存在なんだよね。戦後の復興から高度成長期、昭和の代表的歌手なのだ。流しからのスタートしてその生きざまもかなり華々しく波乱万丈だ。そんな中身がぎっしりつまった70代のお二方の存在感はものすごく、しばし見入ってしまった。マイクを持つ手が震えていたけど、声量は衰えておらず圧倒された。その間、ハムレットとオフィーリアは床に突っ伏して歌に負けじと号泣し続ける。そして姉妹が去ると何事もなかったかのように芝居は続いていく。気付けばシェイクスピアの世界に普通に引き戻されていた。このなんとも不思議なミスマッチの中にある融合が面白かった。

ハムレット自体は限りなく藤原版に近い。あの場面もあの場面も同じような演出。まさか、最後、フォーティンブラスはしないだろうと注目していたら…、あらら~しっかりやってたわ~。

演劇エリートなネクストの面々はみんな達者である。生まれた時からTVやビデオに囲まれて育ってきた世代にとって演じることはとても自然なんだろうな。下谷万年町の西島くんも器用だなあって思った。だけど、それだけじゃ心は動かせないんだよね。ネクストに比べてゴールドの方がいつも心にずしんとくるものね。

蜷川さんがパンフレットの冒頭で洋ちゃんの意志を継ごうとキティが文ちゃんに言った台詞を述べている。
「転がってくるもの。果てしなく、いつも、こうして、転がってくる・・・・・・・。なりゆきとか、ゆきずりとか、手垢にまみれた、下々の、様々なこれらを、おまえは、これからもずっとつかんで行けんのか?」

若者たちよ「つかんで行け!」と託しているような気がした。愛と激励と叱咤、そんな演劇に対する想い全ての象徴がこまどり姉妹だったのかなって。蒼白なままだとフォーティンプラスに撃たれちゃうものね。なんか印象に残る舞台だったな。下谷万年町と並行して稽古をしていた作品なのかと思うと、蜷川さんの心情も偲ばれる。

久々の与野本町は、お店が少し様変わりしていた。ヴィドフランスが出来ていて軽食も取れるようになっていた。だけど、私は与野フーズのメープルメロンパンの方が好きだ。しかし神奈川からだと遠いなあ。帰りは新宿ラインで爆睡…


シレンとラギ始動

2012年02月18日 | 観劇

大阪公演からスタートする劇団新感線の春公演に藤原竜也君が主演する。大阪で制作発表があって、ちょろっとメディアにも登場している。ミヤネヤを録画しておいたら、ほんの数分の生出演。はい、待ちに待った古田さんとのツーショットが見れた。思ってたより、この二人ふっつう~で馴染んでる。勘太郎さんの襲名パーティーの時にすでに二人でべろんべろんだったらしいから、かなり親しい仲なのかな?小栗くんが取り持ったのかしら~?おっさん(古田さん)とプチおじさん(竜也くん)といった落ち着いたなごやか~な雰囲気だった。

ブログで発表されたビジュアルは最高にかっこいい。シレンとラギなんて名前からして劇画ちっくじゃないの。CGも音楽もギンギンに駆使されたド派手な舞台になるんだろうな~。殺陣、踊り、歌なんかもあるのかなあ。あるよね、きっと。小劇場から叩き上げられた新感線のこゆ~い面々に、是非、カテコの在り方も含めたエンターテイメントについて学んで、人間的にもひとまわり大きくなって30代を迎えて欲しいね。

駄目元で申し込んだら、大阪楽が取れた!もちろん、遠征するよ~。500円玉貯金も再開した。問題は、うま~い具合にお休みが取れるかどうか。にやっ、絶対に休んでやる~。


伝説の瓢箪池

2012年02月17日 | 観劇

「下谷万年町物語」千穐楽から、脳みそがぐちゃぐちゃに掻き乱されて一週間が過ぎていった。
“穐”という文字にもお下の使いの亀がいる。そんなどうでもいいようなことまで気になってしまった。

唐ゼミ 下谷万年町物語
父の名をかたることなく

ネットの解説記事を読んでみたら、時代、思想、人、愛、エロス、郷愁…たくさんのことが絡み合っているこの戯曲の深さがますますわからなくなった。

食べるものもなくて尻にサフランの花を咲かすおかまたちは去勢されたものの象徴。警視総監の帽子は権力の象徴。
同じ男性器でも、ペニスとファルスでその意味合いが違ってくる。男根を奉っている神社なんかもあるし、昔からある割礼の儀式なんかもそういった意味合いがあるのかもしれない。

ふ~~っ、難しい。この戯曲、まるまる学問だね。まるで講義、かなり勉強のしがいあるものだね。

ま、そんなことはさておいて、なんか文ちゃんとキティは“大人になんかなりたくない”ピーターパンみたいだなって感じたり、昭和23年はもう二度と戻ってこないと確信したりした。

サフラン座の三人が中心の物語だけど、切なさという点ではお春も十分切ないし、白井にもかなり感情移入しちゃった。兄の恋人、キティを追い続けて願い叶わず、洋一を殺してしまう。金さん、すごかった。アングラの真骨頂、唐組みの生き字引という感じで確かな色彩を放っていた。今、振りかえると金さんはじめ、あのおかま軍団があったからこそサフラン座の面々が生きたんだなってひしひしと思えてくる。絶妙なキャスティング力、蜷川さんの手腕に脱帽だ。

ストーリーテラーの西島くん、過去と現在を見事に繋いでくれた。とても器用な役者というかアーティストでいろんな可能性がありそうだね。竜也くんとの相性もばっちりだから、また共演して欲しいな。やっぱり和物がいいのかな。シェイクスピアとかでも面白そうだけどね。

キティ瓢田は最高に美しくて悲しい女性、本当に美しいりえちゃんが演じることで光り輝いた。人形の家のノラもすごかったけど、さらに激しくて一途ではかなくて似合っていた。アイドル時代のりえちゃんの華々しい芸能人生を知っているから、波風を乗り越えながら女性として母として本当に強くたくましくなったと思う。今のりえちゃんが一番素敵だ。

竜也くんの洋一は本当に難しい役どころだよね。物語のキーパーソンで、洋一が登場すると場面が動く。ぶれない洋一が周囲を勢いよく巻き込んでいった。ムサシ再演あたりから、じわじわと大人の俳優に変わりつつある竜也君に蜷川さんはまた新たな課題を与えたのだろう。こういう役どころが今は必要で、次に何がくるのかが密かに楽しみになった。

カテコは池に落としたり落されたりでみんなはじけまくっていた。竜也君は蜷川さんを落そうとしてこずかれていた。西島くんの涙が初々しかったし、りえちゃんのばんざいに達成感がみなぎっていた。

最後、唐さんが、「サフラン座は終わりません、まだまだこれから続きます」みたいなことをおっしゃった。これは、どういう形かわかないけれど続編の構想があるのかなって思ってしまう。昭和23年から平成24年へ。この物凄い時代の変遷で新たに唐さんが何を書いてくれるのか興味津々だね。

ほら…、池のそこからまたあのベルが聞こえてきそうだ。


今度は小学校

2012年02月05日 | 日常あれこれ

夜、突然自宅の電話がなった。最近は、ほとんど携帯で用をすませているから、自宅には、セールスとか配達のお知らせぐらいしか電話はかかってこない。「あら、また何かのセールス?介護?墓?保険?」なんて思いながら出たら高校の時の友達だった。彼女は昨年の同窓会に来れなかったから、「あら~、久しぶり、元気~?」なんて話を聞いてみると、彼女の仲良しの友達の友達が、私の小学校の同級生で、なんと、今度その小学校の同窓会があるらしく、途中で引っ越した私に連絡を取りたいということだった。旧知の友はさらに旧知の友へと繋がっていた。そんなめぐりあわせにびっくりだった。

早速、ドキドキしながらも、教えてもらった小学校の友達へ電話をしてみたら、すぐにわかってくれた。6年生の時の同窓会で、3組がやったから1組もやろうということになったそうだ。30年ぶりの高校同窓会よりも、さらに遡って、36年ぶりの小学校…、なんかこっちの方がより恐さもある。みんなどうなっているんだろう。

それにしても、こう同窓会が続くのはやっぱり震災の影響があるんだろうね。ちょうど子育てもひと段落する頃だけど仕事の方はまだもうひと頑張り残っている世代、老親の介護や自分の老後の問題もある。震災はそんな個人の問題などお構いなしに非情にも全てを飲み尽くしてしまった。今まで必死に生きて、築いたものが無になった。そんな時、人と人はより一層つながりを求める。一人では崩れてしまうから、せめてみんなで手を繋ごう。絆について気付かせてくれたのも震災だった。

放課後の体育倉庫でキャンディーズを歌い、広場へ通って、“基地”を作ったあの時代。淡い初恋の想い出、吊スカートをはいてぐるぐる回ってばたんと倒れたら天井がゆっくり回っていたっけ。「下谷万年町物語」の文ちゃんではないけれど…、あの頃の私に会いにいってみよう。


 


節分

2012年02月03日 | 日常あれこれ

寒い日が続く。毎朝、部屋の最低温度が更新中で今朝はついに5度になった。下の台所は4度だった。昔は毎年、このくらい寒かった筈だ。小さい頃、水道管が凍って、つららになっているのを何度か見たことがある。でも暖冬に慣れてしまうとこの寒さが骨身にしみるもんだ…。だからしっかり防寒をして出勤している。そのままスキーにも行けそうな格好だよ。寒い冬はダウンコートに勝るものはないね。羽毛の暖かさは凄い。提供してくれた鳥さんに感謝しなくちゃね。

さて、今日は、節分。保育園でも鬼の面を制作し、節分の集会をした。手遊びをしたり節分の由来についての話を聞いたりして会も終わりに近づいた頃…、突然、廊下から赤鬼と青鬼が出現した~!扮しているのは男性職員の2名。あまりの迫力に、子どもたちは思わず絶句したり、壁の隅に隠れたり、保育士にしがみついたり、はたまたじ~っと見つめたりと千差万別の反応で大混乱だ。「鬼は外」の掛け声とともに、新聞紙で作った豆をぶつけ必死で抵抗していた。やっと鬼が、退散したところで半ば放心状態…、しばらくの間、なんとな~くいつもより静かだった。

あまりトラウマの様になってはいけないけど、時には恐い想いをするのも必要かなって思う。世の中で畏れを抱く存在…、なまはげも、夜中のトイレも、その仮面や暗闇の中に想像をかきたてるような恐さがあるけれど、いつしか乗り越えることで大人になっていく。お昼寝から起きるころには、またいつも通り賑やかな子どもたちになり、おやつで福豆を年の数だけポリポリと食べていた。

暦の上では明日から春。間もなく進級の季節がめぐってくる。