久々に新選組本を読んだ。「碧血碑」の発送飲み会に15年ぶりに参加してから、新選組熱が上がり気味~。
この本の作者、
秋山香乃さんは、私と同世代。(私の方がちと年上だが…。)プロフィールに短大卒業後、司馬遼太郎を研究ってある。ってことは入口は私と同じ「燃えよ剣」?なんか一気に身近に感じてしまう。
彼女の描く総司も人間臭い。大河総司に近いかも。土方との関係も似ている。勇はちょっとおやじだが、お互いの師弟関係における愛情の深さが感じられる。養子周平へ天然理心流の流儀を伝えていこうとする使命感。それに対する周平の総司への嫉妬なんかもうなづける。お互い看病しあう平助との友情もいい。平助の生育歴やひととなりなんかもよく描かれているので平助の潔さが際立つ。油小路の決闘におもむく前に、平助がまだ見ぬ父へ「逆縁をお許しください。」と書き残したものを、平助の死後、発見する総司。平助の孤独を知って涙する。なんでこんな花の無い時期に死んだんだって…。
これは「土方」ではなく「とし」へ書いたと言って、山南さんが総司にたくした最後の手紙。総司への手紙には当たり障りのないことしか書いてないのに、「とし」への手紙に中には「そろそろ養生するように言ってやってくれ。」みたいなことが書かれている。病気のことをわざと触れないでいながらも、総司の身を心配する山南さんの優しさが伝わってくる。そんな山南の気持ちを総司もまた受け入れて介錯を務める。“何も言わない間柄が一番深いんだ…”って大河沖田も言ってたっけ。お互いを理解しあう深い友情に目頭が熱くなった。
剣士として成長しながら、自分の運命をも受け入れていく青年沖田総司。思わず、藤原総司の姿がだぶる。どきどきわくわくしながら一気に読み終えた。剣士として自決をえらばず、病気で見苦しい体になっても最後の最後まで命を燃焼させてみることに生きることの価値を見出す姿がいじらしい。最後の瞬間に向けて必死に端座しようとするところは、草刈沖田の「畳の上では死ねない…」という叫びを思い出した。
ページ数の問題なのか油小路以降、話が急展開して江戸まできてしまうのが残念。
源さんや山崎の死についてももう少し、書いて欲しかったなあ…。
新選組を書く作家の中にも、新たな世代が生まれてきているんだなあ。こういう人たちによって新たに新選組ファンが生まれていく。若い人へと受け継がれていく。新選組の魅力ってやっぱり自分が信じるもののために精一杯生きてるっていう青春群像なんだと思う。何でもいい。一生懸命になれるものが欲しい。一生懸命な姿ってかっこいいんだよ。それは、どの時代にも、どの世代にも共感できること。
最後に一言。新選組は不滅です!