くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

悪と無垢

2013年05月11日 | 藤原竜也

雨で遠足が延期になり、腑抜けになっている。久しぶりに家にこもってだらだらしていた。雨音を聞きながら連休に観た、映画「藁の盾」と舞台「木の上の軍隊」の対比を思い起こす。



「藁の盾」の竜也くん、その救いようのないクズっぷりが世間でも話題でファンとしては嬉しい限りだ。映像の藤原竜也しか知らない人にとっては本当にいらつく犯罪者で、殺されて同然ってとこだろう。でも舞台を知っている身としては、「俊徳」やら「オレステス」やらが見え隠れするんだよね。たぶん、清丸は生まれついての人格障害のようなもので何かが欠落している。感情の欠落といったら、「かもめ」のトレープレフにも通じるものがあるかもしれない。あの物凄い狂気や無力感をついに多くの人の前で曝け出してくれる時が来た。今までの蓄積がここに繋がっている。三池監督もそこら辺を評価しての起用だったんじゃないかな。まさに清丸ありきの映画だもんね。で、大沢たかお氏もいい。妻を亡くしてまでも仕事に一途でそんなにまでする必要は果たしてあるのかという愚直さが滲み出ている。大沢VS藤原対決、素晴らしいです。この二人、新旧ロミオ対決でもあるのよね。アホなロミオを演じられるってとこで何か通じるものがあって相性がばっちり、娯楽大作として十分見ごたえがある作品だった。願わくば、カンヌでも評価されて欲しいもんだ。

一方、無垢な新兵「木の上の軍隊」は東京公演千秋楽を迎えた。銀河劇場に行ってからまた深みが増した感じで日本の中にあって異質な「沖縄」という存在が浮き上がってくる。ここにきて、今さらって思うくらい中国から「琉球」なんてことも跳び出しているし、憲法改正の動きも出始めた。何が目的でどこへ向かおうとしているのだろう。安易な決断は危険な気がする。井上ひさしさんだったらどう考えるのかなあって思いを馳せた。

それにしても、30代を迎えた竜也くん、今年は転機になりそうだね。三池監督がある意味俳優としてのピークを迎えているなんて言ってくださっているけど、ここで終わりという意味ではなく内面で何かがぐつぐつと煮えたぎっている感じがするというの意味らしい。舞台での苦労が実を結び始めている。今の若手にとっては舞台が実力派への登竜門になっているのも興味深い。これから40代に向けて、プライベートも充実させて人間的にも大きな俳優になってほしいな。


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