暑くて長かった夏が、バッサリ斬られたように終わった…。今日の関東は10月並みの気温で、思わず長袖のカーディガンを引っ張りだした。“暑さ寒さも彼岸まで”は異常気象の今年も変わらない様だ。
この週末、好対照の芝居を連ちゃんで観た。どちらも3部構成という長さで言葉の洪水に溺れた…。
「ロックミュージカル騒音歌舞伎~ボクの四谷怪談~」」
作:橋本治
演出:蜷川幸雄
出演:佐藤隆太、小出恵介、勝地涼、栗山千明、麻実れい、勝村政信 他
シアターコクーン
四谷怪談の伊右衛門様と言えば、その昔、17歳の藤原竜也くんが演じた大正四谷怪談の印象が強い。極悪で狂っていた。ところが、こちらの“海猿”伊右衛門は、どっこも悪いところがない。爽やかで結構誠実、人から恨まれ、まして妻に化けて出られる理由もない。これは四谷怪談が下地にあるものの原作者橋本治氏の全くのオリジナル戯曲なのだ。36年前、作者が28歳の時に一夜で書き上げたそうだ。作家の道を歩み始めるきっかけになった作品だけあって、突き動かされるようなものすごいパワーがあった。こういう瞬発力って、才能ある人は出せるんだね。
ロックミュージカルと言えども、昭和歌謡のオンパレードで私には懐かしさも感じられた。どうして、お岩が化けて出るのかわけがわからない伊右衛門は悩み苦しんだあげく、実は自分自身と向き合っていることに気付く。生と死の境目の曖昧さ、亡霊は誰の隣にもいるのかもしれないね。
♪僕らはみんな死んでいる、死んでいるから楽しいんだ
僕らはみんな生きて行く、生きて行くから死ねるんだ♪
生きて行くから、死ねるのね。だから生きていかなきゃいかんのねって励まされた気がした。
今をときめく出演陣は確かに輝いているのだけど、彼らの回りを通り過ぎる老人達が気になって仕方なかった。今の時代を象徴している。だって、日中のスーパーなんか元気なお年寄りでいっぱいだものね。惚れた腫れた遣られたなんざ、長い年月を生きてきた老人にとってはみんな通り過ぎてきたもので“幻”の様なのかもしれない。
やっぱり勝村さん麻実さんは貫録がある。余裕の暴走ぶりが楽しい。小出くんはここのところすっかりヤクザキャラがハマっているし、勝地くんの与茂七もぴったりだった。初めて見たけど、三浦涼介くん、ダンスも歌も上手いなあと思ったら、三浦浩一さんと純アリスさんの息子さんなのね。言われてみればアリスさんにそっくりだ。演劇界にも続々と二世が進出しているんだね。
「浮標」
作:三好十郎
演出:長塚圭史
出演:田中哲司、松雪泰子、佐藤直子、平岳大、大和田美帆、木村了
世田谷パブリックシアター
四谷怪談が“動”だとすれば、こちらはひたすら静かな作品だった。浜辺を連想させるような敷きつめられた砂の上で淡々と物語が進む。病気の妻を献身的に看護する画家の夫、子をもたなかった女、妻の家族、出生する友と身ごもるその妻、それぞれの生きざまや思いが交錯していきながら、やがて“生”というテーマが浮き彫りになっていく。
「死んだらそれっきりだと思ふからこそ此の世は楽しく、悲しく、せつない位のもったい無い場所なんだよ」
図らずも、四谷怪談と繋がっている気がした。この対照的な二つの舞台のテーマは偶然にも「生と死」だったのだ。映画「I’M FLASH」のテーマもだ!!あの震災以来、みんな死を身近に感じ、生きる意味を問いただしている気がする。私も、ぼんやりと自分の老後について、その先の死について考える年になってきた。どのような幕切れが訪れるのかはわからない。だけど、その時がくるまでの一日一日を、時にがむしゃらに、時に怠惰に、時にひたむきに…、兎に角、呼吸していくのよね。
ぱっと光って消えちまう~
ぱっと光って消えちまう~
海は母親の胎内のよう、水上に浮かび上がる時の光は現世に生まれ出た時の光。
疾走するバイクが迫りくる光。その後の静寂と死。
海(胎内)への回帰と再生する生に射し込む光。
主人公ルイは、ほんとにぱっと光って消えちゃった…。
豊田作品、初めて観た。監督の色というか独特な雰囲気があるね。きれいな短編映画だった。
海の青、雲の白、血の赤、闇の黒、その中にフラッシュする光、髑髏杯もいいんでない?
「舞台で芝居をする藤原竜也を映画で使えないのは、はなからわかっていました」
って、監督、バッサリと決めつけてくれてます。
でも、舞台で培ったもんはしっかり活かされてますよ、ナレーションで。声の奥行きが全然違うもんね~。それが心地良く響いてくる。
「今まで観たことがない藤原竜也」を出したかったら、まずは芝居でしゃべらせなきゃいい。だって、竜也くんはしっかり身体表現が出来る役者さんだからね。しゃべらなくても、伝えることが出来る。孤独な教祖様、不思議と何度か会いたくなる。
前売りチケットはあと1枚。終わらない前に行かなくっちゃ。
田沢湖駅からローカルな新幹線に乗って盛岡へ到着!この日は大曲の花火大会があり、臨時列車がたくさん出ていた。人口3万人足らずの街に80万人もの人が押し寄せるそうだ。銀座のオリンピックパレードより凄い。秋田近辺の宿はいっぱいだから、岩手の方にも泊る人がいるそうだ。本日のお宿の愛真館にもツアー団体が何組か入っていた。
そうとは知らず、私たちは岩手三大麺のひとつ、じゃじゃ麺を食すべく、駅前からタクシーで白龍本店を目指した。
お店は満席で、途中でテイクアウトのお客さんもたくさんやってくる。こちらが噂のじゃじゃ麺だ。お味噌と絡めて頂く。食べ終わった後は、お皿に卵を入れると特性スープで割ってくれる。病みつきになるのがわかるようなお味だった。ぴょんぴょん舎の冷麺も食べたかったのだがこれでお腹がいっぱいになり諦めた。みんなでシェアして食べれば、両方食べれたかもね。
迎えのバスに乗り宿に到着!今度はつなぎ温泉のお湯を浴びた。秋田のお湯とは違って軽い感じがしてさっぱり感がまた気持ちが良かった。
夕食はじゃじゃ麺が効いて、お腹がきつかったけど、なんとか完食。部屋にもどってローカル番組でやっていた大曲の花火大会を鑑賞した。全国からこの大会を目指して花火師さんたちが集まってきているのね。花火の良し悪しはどこを基準に見ればよいのかよくわからないけど、どれも力が入っているのがわかる作品でしばし見入ってしまった。オリンピックの開会式の中国製花火より全然、いいじゃんって思ってしまったよ。ホテルの人の話によると、花火のお客さんは夜中の一時頃に到着するらしい。これから深夜勤務のスタッフさんと交替するそうで忙しそうだった。翌朝、駐車場には4台の観光バスが止まっていた。広い旅館だから深夜にこんなにたくさん人が出入りしたなんて全然わからなかった。
最終日はバスツアーで遠野と中尊寺めぐりをする。大曲花火大会ツアーも中尊寺を兼ねているところが多く混みあいそうだとのことだ。まずは民話の里でお昼ご飯を頂いた。
ここはホップの産地だそうで、地ビールもつけちゃった。ボリューム満点でお腹がぽんぽんだよ~。やっぱり東北は食材の宝庫だね。
ふるさと村は、TVや映画の撮影にもいろいろ使われているそうだ。広々とした原野に昔ながらの民家が立ち並ぶ。関東とは違った雪国の農村といった佇まいがあった。圧倒された大きな藁人形、恐いというより勇ましい。台風から人々を守ってくれるそうだ。
午後は世界遺産になった中尊寺をめぐる。中学の頃、修学旅行で行ったのだが金色堂がやけにきらきらしていたという記憶しかない。それもいつだか火事になっちゃったんだよね。だけど、世界遺産に認定されたのはこの時代に4代にわたる遺骨が一緒に埋葬されているのが貴重だからだそうだ。鎌倉時代にこんな豪華絢爛たる文化が東北に合ったんだね…。なんか幕府があった鎌倉より強大な権力を感じたわ~。
現地ガイドさんと駆け足でめぐり、毛越寺に着くころはすでに人もがらがらになっていた。
秋の気配…、桔梗の花が可憐に咲いていた。
一関駅から、こまちに乗って帰路につく。夕飯は牛飯弁当した。このお弁当暖められるんだよ。お弁当箱についている糸をしゅっとひくと白い煙がじわ~っと出てきて暖かくなるの。お肉がたくさんでおいしかった~。
お湯にたくさんつかって、たくさん食べて、東北の自然の恵みを感じた旅…。心身ともにリフレッシュした~
よくTVの旅行番組で出てくる乳白色の温泉に密かに憧れいた。そんな温泉郷にやっとたどり着けた。今までお湯が白いから乳頭温泉だと漠然と思っていたが、そうではなく乳頭山の山麓に点在する温泉群だからだそうだ。そういえば、妙の湯のお湯は白くなくて褐色だった。
二日目は乳頭温泉郷めぐりをする。妙の湯をチェックアウトして徒歩5分程度の蟹場温泉へ向かう。文字通り、沢に蟹がいるから蟹場温泉らしい。
ほら、入口にも蟹の置物がいっぱい~
露天風呂からスタートし、いくつかのお風呂が渡り廊下沿いに続いている。一応…、次のお風呂へ入るには着替えなくてはいけないが、そのうち面倒臭くなり…、人がいないのを確認して、Tシャツを着て、タオルを巻いてダッシュした~
温泉めぐりには上からスポッとかぶれるチェニックワンピがある便利だよ~。
こちらのお湯は澄んでいて、白い湯の花がふわふわ浮いている。温度も高めで硫黄の匂いも強く、ほんまもんって感じだった。
お次は…、超有名な鶴の湯温泉を目指す。はるばるきたからには、絶対外せない場所だ。湯めぐり帖を皆で購入して、お迎えの車を予約した。こてこてのず~ず~弁の運転手さんの、温泉話、宿話を聞いたり、絶景写真のアルバムを見せてもらったりしながら山奥の鶴の湯に到着した。
まさに“秘湯”という言葉が似合う場所だ。人気スポットだけあって、どこからともなく人がたくさんやってくる。なんだか、みんな解放的な気分でお湯につかっている。もう、ちょっとぐらい見えちゃってもなんのそのって感じだ。タオル一枚巻いて平気で風呂を渡り歩く青年にはびっくりしたけどね。
乳白色のお湯は、さらっとしているけどなんか濃いんだよね。露天風呂の下からは源泉がぽっと湧き出てきてこれぞ生きている地球なんだなって思う。
た~っぷりお湯につかり、いささか湯疲れ気味だ。それほど、乳頭温泉郷のお湯にはすご~い力があった。田沢湖駅に向かうバスに揺られしばし爆睡した~
田沢湖は竜也くんが、イ・ビョンホンさんの声をやっていた韓国ドラマ「アイリス」が撮影された場所なのね。あの雪国のラブシーンあたりまでは見ていた記憶がある。駅の2階は「アイリス」コーナーになっていていろいろ展示されていたけど何故かあまり興味が湧かず見に行かなかった。
バスは田沢湖畔を通り過ぎてどんどん山奥へと進んでいく。
約40分程でお宿の「妙の湯温泉」に到着した。
女性にも人気のお宿で予約がいっぱいらしい。お友達が奮闘してくれたおかげで泊ることができた。夕食前に早速、ひと風呂浴びて汗を流す。混浴の露天風呂は目の前の沢がライトアップされていて絶景だ。お湯に鉄分が多く含まれていてデトックス効果もあるんだって。自然の風に吹かれ、水が流れる音を聞きながら暮れゆく景色をぼけっと眺める。至福の時間だね。
さて、お待ちかね、お宿の売りでもある豪華な夕食をゆっくりと頂いた。
海の幸、山の幸、東北の豊かな食材がいっぱいでとってもおいしかった~
お食事の後は、またまた温泉につかってのんびりする。心なしかお肌もつるつるになった気がする。
日頃の慌ただしさをしばし忘れ、沢の音を聞きながら眠りに落ちた…。
翌朝もしっかりひと風呂浴びてから、豪華な朝ごはん。夜、あれだけ食べたのに、ペロッと平らげちゃった。