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作:土田英生
演出:G2
出演:平岡祐太、袴田吉彦、安田顕、内田滋、西岡徳馬
シアターコクーン
相対とは…
1.向き合っていること、向かい合うこと。
2.相互に関係を有すること。対立すること。
3.他に対して在るもの。一定の関係、一定の状況においてだけ妥当するもの。
生きているもの⇔死んでいるもの
逃げられたもの⇔逃げられなかったもの
想いでしか語れないもの⇔現実をかかえているもの
この世⇔あの世
相反する存在がぐるぐるとまわりながら、いつしか本音をさらけだし人間の本質を暴きだす。本当に大切なことはなんなのか、果たしてどちらが良かったのか考えさせれる。
火事で死んでしまった弟と友だちが、生き残った自分と友だちに会いにくる。生き残った側にはどこか後ろめたさがある。友だちを残して、逃げてしまった。助けに戻らなかった。死んでしまった側には、生きているものへの恨めしさがある。当たり前のようにあるはずだった未来が突如、断ち切られてしまったことで、生への未練が残る。
初めは、ただ、会うことだけが目的だった。4人で青春時代の楽しい想い出話が出来れば良かった。しかし、生きている側は、年月を重ね、それぞれ悩みをかかえていた。自分は会社の金を横領していたし、教師である友だちは生徒に手を出していた。死んだ側は、必死に二人を救おうを奔走し、彼らの人生を丸くおさめようとするが、想い出話をするうちに、いつしか、何故、自分たちだけが死ななければならなかったのか、生きていればできたことがあったのにと悔しさをつのらせていく。
死んでいる側が姿を見せられる掟は、怨んではいけないこと、生きているものの人生を変えてはいけないこと。窮地を救ってもらった彼らは、これからも弟と友に会うために、全てを元にもどさなきゃいけない。そこで、人間の欲が出る。お前らは死んだんだ、俺らは生きていかなきゃいけない。もう会えなくてもいい…。
だが、彼らは、再度、思い直して、人生をリセットする。会社も学校も解雇され、妻にも離婚される。そんな、彼らを見届け、死んだ二人は消える。
生きることはつらい。死んでいたらこのつらさは味わうことはなかったかもしれない。だけど、死んだら、想いでしか語れない。やはり、生きているということはかけがえのないことだ。彼らが死んだ時、罪悪感しか感じなかったのに、全てを奪われて、ボロボロになってやっと本当の別れが出来た。裏切られた方も裏切った方もそれぞれの辛さがあるのだと。世の中、相反するものが、多々あって、いつも行ったり来たりしている。それは時に背中合わせでもあり、瞬時に逆転することもある。人生は、実に摩訶不思議になものだ。やっぱり、神様が操っているのかなあとも思う。
若手イケメン、勢ぞろい。平岡くんは初舞台らしい。まだ、未知数かなあ…。内田くん、安田くんは経験豊富で、ひとくせある役どころを上手くこなしていたが、それにも増して“はかまだっち”の存在感がなかなか光っていた。声が太くてよく響く。ミュージカルもいけそうだ。彼も、もう30代半ばなんだね。貫禄がでてくるわけだ。是非、舞台にどんどん出てほしいわ~。
西岡さんは、死んだ側にいるけど、彼らが暴走しないように、優しくコントロールしてあげる。コミカルで軽い役柄だが、なんか、本当の“お父さん”のようだった。
地味~だけど、心に残る舞台、こういうの結構好きだな。