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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第17回『見捨てられた城』

2014年04月30日 23時20分38秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第17回『見捨てられた城』(2014年4月27日 演出・本木一博)


登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

小寺 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

竹中 半兵衛 重治  …… 知力59、統率力91
 (演・谷原章介)

明智 光秀      …… 知力93、統率力95
 (演・春風亭小朝)

山中 鹿之介 幸盛  …… 知力53、統率力74
 (演・別所哲也)

荒木 村重      …… 知力52、統率力83
 (演・田中哲司)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

丹羽 長秀      …… 知力82、統率力73
 (演・勝野洋)

織田 信長      …… 知力115、統率力108
 (演・江口洋介)

瀧川 一益      …… 知力66、統率力78
 (演・川野太郎)

佐久間 信盛     …… 知力57、統率力51
 (演・立川三貴)

蜂須賀 小六 正勝  …… 知力74、統率力90
 (演・ピエール瀧)

木下 小一郎 秀長  …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

吉川 元春      …… 知力58、統率力85
 (演・吉見一豊)

織田 信忠      …… 知力73、統率力69
 (演・中村倫也)

尼子 勝久      …… 知力28、統率力44
 (演・須田邦裕)

亀井 新十郎 茲矩(これのり)…… 知力83、統率力44
 尼子家家臣で、山中幸盛の娘婿にあたる。上月城籠城時には羽柴軍に属していた。(演・関貴昭)

小寺 政職      …… 知力44、統率力49
 (演・片岡鶴太郎)

宇喜多 直家     …… 知力94、統率力74
 (演・陣内孝則)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

羽柴 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)

小寺 職隆      …… 知力72、統率力55
 (演・柴田恭平)


ざっとの感想

○アバンタイトルのドあたまから兵糧ゼロで瀕死の上月城。あの、今週のタイトルがのっけから落城寸前なんですけど、そんなんで45分間もつの!? 山中幸盛の「かんべぇええ~!!」という絶叫があまりにも悲痛すぎる……
 ところで、画面上の惨状だけを観ると軽く1~2年は籠城していそうな尼子軍の上月城なのですが、毛利軍5万に完全包囲されたのは同じ天正六(1578)年の4月から。あら、たった3ヶ月だけなんですか。いやいや、3ヶ月籠城っていうのもとてつもなく過酷な話ですけどね。でもなんか……全体的にボロボロになりすぎじゃない?
 要するに、どうやら上月城は「全力で籠城戦をしたけど無理だった」というよりも、むしろ「それほど長く籠城するつもりもないのに籠城になっちゃった」という成り行きでひどい目に遭っているらしいんですな。羽柴軍の救援を来て当たり前のものと楽観視していたのか、はたまた上月城という城郭のキャパシティに限界があったのか。おそらく兵糧を満足に確保できていない状態で包囲されてしまったのでしょう。
 ともあれ、これからの羽柴 VS 毛利の中国戦線では、なにかと「籠城戦」が各地で展開されることになるのですが、これに秀吉サイドの、この上月城で味わった苦い経験が作用したものは非常に大きかったでしょう。「目には目を、籠城には籠城を!」というべき、秀吉の地獄の復讐戦のきっかけは上月城にあった! ねちっこいおひとだねぇ~。

○信長「いま大事なのは織田の信用ではない! 毛利を倒し、新たな世を創ることだ。」
 これは重いことをおっしゃいましたねぇ~。他ならぬ、織田コンツェルンの総帥である信長自身が言い切ったのだから重要です。
 要するに、長期的なプランを練って目先の損をあまんじて受けている場合ではないと。毛利軍に対して、天下人の余裕などというものは1ミクロンもないという、当時の織田政権のギリギリな窮状をはっきりカミングアウトしちゃった!
 「それで播磨国中が反織田になったらどうすんだよ……」という秀吉の危惧も十二分に勘案しつつ、それでも「兵1人も無駄にするわけにはいかんの!」という信長のかっこ悪い告白。これを言わなきゃいけなかった信長が天下人? いやいや、天下統一の道はまだまだ遠いようで。
 秀吉は理屈うんぬんよりも、そういう本音をじかに打ち明けてくれた主君・信長の自分への信頼に心打たれて折れたんじゃないだろうか。最終的な判断って、結局そういうマンツーマンのやりとりで決まるのよねぇ。ロジックじゃないのよねぇ。

●官兵衛「毛利を倒すため、織田は尼子の名をさんざん利用してきました!」「利用するだけ利用して、捨てるおつもりか!?」
 いやいや、「さんざん利用して」って、尼子の名を利用して集まったのは700人ぽっちっていう、ね……
 ここで尼子の名うんぬんを話題に上げちゃったら、かえって「利用できないから捨てたんですけど、なにか?」と逆ギレされかねない痛いポイントを、自分で言うかね、しかし!? 官兵衛はやっぱり、カッとなるといきなり頭が悪くなる!

○鹿之介「貴公とは短い縁であったが……実に、たのしかった……」
 尼子家再興の夢をありがとう! ってことなんですかねぇ。話が違うと激高してもおかしくないこのシーンでの、尼子勝久・鹿之介主従のみごとな応対! さすがは名族・尼子の最期よ。大感動のお別れシーンでした。別所哲也はやっぱりいい俳優さんだねぇ!
 ……とはいいつつも、実はそのころ、尼子の本家筋(尼子義久)は、毛利家本国の安芸国で厚遇をもって保護されているという事実は、ここでは禁句だ!
 「尼子の名をさんざん利用して」いるのは、羽柴じゃなくて毛利のほうだったりして……やっぱり策謀にかけては、毛利のほうが数段格上よね!! だから尼子傍系の勝久サイドには700しか集まらなかったわけなのよ。

○あれだけてこずらされてきた鹿之介の首級に、静かに手を合わせる小早川隆景。名将かくあるべし! 敵味方を超えた想いがあるんだろうねぇ。こういうライヴァルがいるってことは、すばらしいことですね。ドラマだな~。

○「軍師には、ときに非情な決断も必要である。」という竹中半兵衛の言葉に苦悩する官兵衛。結局、「私なりのやり方で、やるべきことはやる……」と言葉をにごして辞去しますが、残された半兵衛のやつれた顔には、伝えるべきことは伝えたという、満足の笑みが。
 ついに軍師の心得が、半兵衛から官兵衛に伝承されたか? 近い日に訪れる自らの死をすでに冷静に受け止めている半兵衛ですが、その表情に陰をおとす本物の書写山円教寺本堂でのロケが、また意義深い名シーンを印象的に形作っていますね。谷原さんはいつの間にこんなに厚みのある俳優さんになったんだ!? ブランチは人を育てるねぇ~。

●うわ~ん、神吉頼定の神吉城攻防戦が、映像ぜんぜんなしのナレーション処理でスルーされちゃったよう!! せっかく俳優さんのボディを借りて頼定が登場してきたっていうのに、そのあつかいはひどすぎる……安らかに眠れ、ち~ん。
 おいおいタッキー一益、神吉城攻めくらいでそんなケガしてんの!? しっかりしろや、元ニンジャスレイヤー!!

○単なる「信長の刀持ち」とか「同じ信長家臣団のひとり」というモブなあつかいじゃなくて、「信長への密告者」という家臣団にとっては極めてイヤ~な役回りで万見仙千代重元(演・田中幸太朗)がちゃんとキャラクター立ちしてるのって、この『軍師官兵衛』が初めてなんじゃないですか? 神吉城攻め終了後の軍議で見せた仙千代のコワ~い存在感を映像化したのは、ものすごく素晴らしいことですね。
 なぜ「信長の小姓といえば」で真っ先にその名が出てくる森蘭丸成利じゃなくて、この仙千代さんがこんなにクローズアップされているのかといいますと、仙千代さんは荒木村重の謀反とかなり因縁の深いお方なのだからでありまして……
 今回の軍議シーンも、それに向けてのかなり効果的な伏線となることでしょう。ムラムラはかなり根に持つタイプだ! こわ~。

○荒木村重と明智光秀のサシ呑みという、戦国裏切り者ファンにとってはよだれじゅるじゅるな夢の饗宴が実現! うっひゃ~。
 回をおうごとに顔面蒼白でうつむきかげんになり、神経質におかしなニヤニヤ笑いを浮かべるようになってきたダーク村重を、「これからがんばって成果をあげれば大丈夫だよ! いっしょにがんばろっ☆」と、恋愛シミュレーションゲームの運動部のマネージャー女子(絶対にポニーテール)みたいな完熟あまあまな未来展望をもって励ます、ひたすら楽観的な光秀。
 やっと光秀の個性がドラマで語られるようになってきたかと思ったら、なんだ、この鈍感でうらおもてのない朗らかなキャラクターは……
 う~ん、常に既成概念の斜め上を行く造形だな、『軍師官兵衛』の明智光秀は! こっからどうやって本能寺の変にいくのかが、とにかく楽しみになってきました!

○いや~、いつ観てもホンットにおもしろいな、陣内直家の絵に描いたような悪役演技は! マンガみたいな外道ですね~。黒い甲冑姿が異常に似合いますね~。陣内さん、そうやってまじめな主要キャラたちをいいように振り回す奔放なキャラクターが、『太平記』(1991年)とまるでおんなじじゃないですか! なにがいいって、陣内さんはその直家のキャラとは正反対に、瞳の色が淡くて妙に澄んでいるのがいいんですよね。見るからに常人と違っている異貌なわけです。絵になるわぁ~。こういう生き方してみたいわぁ~。
 にしても、そんな卑劣きわまる梟雄に完全に急所をおさえられている毛利軍の両川兄弟も、なさけないにもほどがある! 「三道並進」だなんだとブチ上げつつも、内情は所詮そんなものなわけです。さっさと吉田郡山城に帰って親父の位牌に頭さげなさい。

●左京進「われらは播磨武士! 意地を貫け……よいか!!」
 ……の雄叫びの次が切腹シーンって……いくらなんでも、あっさりしすぎじゃね!?
 まぁ、金子ノブアキさんの顔面プルプル演技は前から大キライだったので、さっさと退場していただいて特に異存はないのですが、も~ちょっと志方城の攻防くらいは映像化してもよかったかと思いつつ。だって、ず~っとレギュラー扱いの方だったんですもんねぇ。
 ま、いっか。そのぶん三木城と有岡城で、城攻めアクションは存分に堪能できるでしょう! 合掌。

○まだまだ、「天下統一はいくさのない平和な世の中をつくりだすため!」とクリーンな夢を捨てずにいる、若き日の羽柴秀吉42歳。
 本能寺の変にいたる小朝光秀の変貌も楽しみですけど、ああいう「アレな」晩年にいたる竹中秀吉の、『秀吉』(1996年)ではついに語られることのなかった「その後」の物語も、ものすっご~く! 楽しみですね……


結論、「第18回がとてもたのしみです。」

 山中幸盛・尼子勝久の無念の死に続いて、ほぼ初回からのレギュラー陣だった櫛橋左京進とお紺の方が退場し、ついにヤング官兵衛にとって最大の事件となる荒木村重の謀反が近づいてくるという、非常に重要な回となりました。今回も、初登場する有名武将はエリック亀造ただひとりという激シブなキャスティングだったものの、織田方は上月城を失い、毛利方は志方城を失って痛み分けのような小康状態に落ち着くという、一進一退の攻防戦が楽しめる緊迫のエピソードでしたね。タイトルの「見捨てられた城」っていうのは、前半は上月城で、後半は志方城のことをさしてたんですねぇ。地方小名はつらいよ……

 それにつけても、宇喜多直家のチョロチョロと駆け回って大物をかく乱させる異様な存在感がたまんないですね! 直家みたいなはっちゃけたキャラクターがいないと、みんなギチギチに緊張してばっかりでつまんなくなっちゃいますもんね、こういう長期戦は。

 でも、こういう経緯をたどって秀吉のもとについた亀井茲矩といういち地方武将が、あれよあれよという間に、当時の日本でも有数の国際通の政治家・実業家になっちゃうんですもんねぇ。人生というものは本当にわかんないもんですねぇ。亀井茲矩と石田三成がもうちょっと手を結んでいたら、秀吉没後の豊臣政権もどうにかなっていたかも知れないってくらいの超重要な逸材でしたよね、国際外交的には。
 そういえば、たぶん『軍師官兵衛』でそこまで語られる可能性は低いのかもしれませんが、同じくドラマ出演つながりというところでいいますと、尼子家中出身の亀井茲矩と、放送第9回に登場した播磨国龍野城主・赤松広秀(斎村政広)とのあいだには、のちの関ヶ原合戦においてものすごい因縁がありまして……地方出身の武将・大名たちにも、いろいろあるんでしょうねぇ。おもしろいねぇ~、こういう運命の変転って。

 ところで最近、『軍師官兵衛』の放送開始時にはもうけられていなかった、櫛橋左京進の Wikipedia記事がついに作成されたようです。おめでとー、左京進! まぁ、これは確実に『軍師官兵衛』効果でしょうね。関係ないこたないだろう。
 その結果、ドラマで金子ノブアキさんが演じていた櫛橋左京進が「櫛橋政伊(まさただ ?~1578年?)」のことであり、その政伊とお力・お光姉妹の父親にあたり、益岡徹さんが演じていた櫛橋左京亮(さきょうのすけ)が「櫛橋伊定(たださだ ?~?年)」なんじゃなかろうか、という推測が提示されつつも、それぞれの名前はまだまだ別の説も多く、政伊は志方城落城時に自害せずに降伏しただけだったという説もあり、そもそも、政伊と伊定は父子の関係にあるのではなくて同一人物なんじゃなかろうかという説もあり……

 要するに、Wikipedia で独立した項目が持てるほど確とした情報はなにひとつありませんでした!! ズコ~。
 まぁ、日本の「負け組」の歴史なんて、そんなものですよね。

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