長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

池脇千鶴はやっぱり、いい!!  映画『凶悪』

2013年10月15日 22時04分50秒 | ふつうじゃない映画
 アイヤー! どうもこんばんは、そうだいでございます~。みなさま、今日も一日お疲れさまでした。
 千葉はもう、お昼前後から降りだした雨がどんどん強くなっていく一方でありありまして。台風26号? 怖いね~。明日も電車を使って通勤するつもりなんですが……大丈夫、じゃないよね。

 相変わらず近況は忙しい、忙しいの一辺倒でありまして。ほんでも、稼がなきゃいかんのですから文句は言いませんけど!
 どのくらい忙しいのかっていいますと、2週間前に購入したアルバム『ザ・ベスト! アップデイテッド・モーニング娘。』が、いまっだに聴けていない!!
 1~2時間もあったら聴けるだろうそんなもん、という声もあろうかと思います。でもねェ、あたしゃあきっちり腰をすえて、1曲1秒も聴きもらさずにその新世界を堪能したいわけなんですよ。そしてそのためには、仕事帰りで疲れた身でははなはだ心もとないし、なんといってもモーニング娘。とそのスタッフのみなみなさまに失礼にあたると!!
 そんなわけで、もろもろの喧騒をとっぱらい、沐浴うがいなど精進潔斎した上で再生ボタンを押すつもりなので、まだまだ落ち着ける状態にはありません。さすがに今月中にはなんとかするつもりではありまするが……

 さて、そんな毎日ではあるのですが、先日、予定よりも早くお仕事が終わったので、慌てて家にすっ飛んで帰り、自転車で繰り出して映画館のレイトショー上映を観てきました。
 今年の秋のラインナップの中でも、この映画ばっかりはなんとかして観ておきたかったんですが、上映から1ヶ月近くたって近所での上映スケジュールもレイトショーで1回きりっていう状況になってたんですよね。いや~、私は運がいい!


映画『凶悪』(2013年9月21日公開 128分)

 『凶悪』(きょうあく)は2013年の日本映画。ノンフィクションベストセラー小説『凶悪 ある死刑囚の告発』(『新潮45』編集部・編 新潮社)を原作とする社会派サスペンス映画である。
 原作は、実際に発生した凶悪な殺人事件を基に、獄中の死刑囚が告発した事件の真相を『新潮45』編集部が暴き、首謀者逮捕に至るまでを描いた犯罪ドキュメントであり、2009年の文庫化で10万部を超えるベストセラーとなった。

あらすじ
 スクープ雑誌『明潮24』に、東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から一通の手紙が届く。記者の藤井は、編集長の芝川から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいと頼み込む須藤の告白に当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知り、やがて取り憑かれたように取材に没頭していく。

主なキャスティング
藤井 修一  …… 山田 孝之(29歳)
 スクープ雑誌『明潮24』の記者。
須藤 純次  …… ピエール瀧(46歳)
 元暴力団組長の死刑囚。
木村 孝雄  …… リリー・フランキー(49歳)
 須藤に「先生」と呼ばれている不動産ブローカー。
藤井 洋子  …… 池脇 千鶴(31歳)
 藤井の妻。認知症の姑の介護に疲れ果てている。
藤井 和子  …… 吉村 実子(70歳)
 藤井の実母。認知症を患っている。
五十嵐 邦之 …… 小林 且弥(31歳)
 須藤の舎弟。須藤に心酔している。
日野 佳政  …… 斉藤 悠(29歳)
 木村から須藤に託された新参の舎弟。
田中 順子  …… 範田 紗々(ささ 28歳)
 日野の交際相手。日野の裏切りを疑って逆上した須藤により惨殺される。
佐々木 賢一 …… 米村 亮太朗(36歳)
 須藤の刑務所時代からの仲間。須藤を裏切って殺される。
新島     …… 粟野 史浩(39歳)
 暴力団・新島組の組長。手下の佐々木の策略に乗った須藤に襲撃される。
遠野 静江  …… 松岡 依都美(いづみ 33歳)
 須藤の内縁の妻。須藤との間に娘の星姫(せいら)がいる。
福森 孝   …… 九十九 一(60歳)
 木村の共犯者。身寄りのない老人を探して木村に紹介していた。
森田 幸司  …… 外波山 文明(66歳)
 森田土建の社長。木村の共犯者。現在は原因不明の事故に遭い植物状態になっている。
森田 道江  …… 竜 のり子(69歳)
 幸司の妻。植物状態になった夫を介護している。
牛場 悟   …… ジジ・ぶぅ(56歳)
 牛場電機設備の社長。借金まみれの呑んだくれ。
牛場 百合枝 …… 白川 和子(66歳)
 牛場悟の妻。夫の殺害を木村たちに依頼する。
牛場 恵美子 …… 原 扶貴子(41歳)
 牛場悟と百合枝の娘。母と共に、実父の殺害を木村たちに依頼する。
牛場 利明  …… 広末 哲万(ひろまさ 35歳)
 恵美子の夫。姑や妻と共に、舅の殺害を木村たちに依頼する。
菅原     …… 伊藤 紘(こう 67歳)
 第一の事件の被害者。借金のトラブルで木村に殺害される。
島神 剛志  …… 五頭 岳夫(ごづ たけお 65歳)
 第二の事件の被害者。福森に紹介されて木村と接触する。
木村 幸恵  …… 山田 彩(17歳)
 木村孝雄の娘。藤井が事件を取材した時点では高校3年生。
遠野 星姫  …… 森田 眞生(まお 16歳)
 須藤と静江の娘。藤井が事件を取材した時点では中学3年生。
芝川 理恵  …… 村岡 希美(43歳)
 『明潮24』編集長、藤井の上司。
池田 太一  …… ウダ タカキ(35歳)
 『明潮24』の記者、藤井の同僚。

主なスタッフ
監督    …… 白石 和彌(39歳)
脚本    …… 高橋 泉(39歳)、白石和彌
原作    …… 『凶悪 ある死刑囚の告発』(月刊『新潮45』編集部編 2007年)
音楽    …… 安川 午朗(48歳)
製作・配給 …… 日活
企画協力  …… 新潮社

原作『凶悪 ある死刑囚の告発』の内容
 雑誌『新潮45』の記者・宮本の元に一通の手紙が送られて来た。送り主は、当時2件の殺人事件で死刑判決を受けていた元暴力団組長の後藤良次という男だった。
 手紙の内容は、自らが関わった新たな3件の殺人事件の告白だった。さらに事件には他に首謀者がおり、その男は今も一般社会で普通に生活しているという。 後藤はその男への復讐のために事件を告白する手紙を送ってきたのだった。
 宮本は面会や手紙のやり取りを重ね、取材を続けた。さらに、後藤が語る事件の首謀者に関しても独自に調査を開始した。その人物は、茨城県で不動産取引をしている地元の名士だった。
 しかし、3件のうち2件は明確な証拠をつかむことはできず、事件を立証できる可能性があるのは残る1件だけだった。その事件は、借金を苦にした自殺と処理されていたが、後藤によると、実はこれが家族も承知した上での保険金殺人だったのだという。後藤は自殺したとされる男性の保険金の金額を記憶しており、それが重要な証拠になった。
 こうして2005年10月、首謀者と目される「先生」が関与したとされる3件の殺人事件の取材記事を載せた雑誌『新潮45』が刊行された。そしてこの記事がきっかけとなり、「先生」や共犯者、殺人を依頼した家族が逮捕された。裁判の結果、2009年1月に「先生」には無期懲役の刑が下り、一方、後藤は控訴が棄却され死刑が確定した。


 いつものように、前情報が長くなってしまい、あいすみません! 私の大大大好物な、実録犯罪もの映画の最新作であります。

 このへんの「実際にあった事件を元にしたサスペンス映画」というジャンルでいいますと、最近の作品で私の頭にパッと浮かぶのはデイヴィッド=フィンチャー監督の『ゾディアック』(2007年)とポン=ジュノ監督の『殺人の追憶』(2003年)、そして、なにはなくとも園子温監督の『冷たい熱帯魚』(2010年)といったあたりですね。

 『冷たい熱帯魚』なんかが極端な例になると思いますが、実録犯罪ものは「実録」といいつつも、フィクション作品になる上で、必ずどこかに実際に発生した事件とは違う設定や展開が入り込んでひとつの作品になるものがほとんどだと思います。それは、実際の事件に関する裁判がまだ途中であるとか事件に関係した人物が存命しているとか、2~3時間という上映時間におさめるために事件の複雑な経緯をショートカットしなければいけなかった、などといった制作上の事情もあるだろうし、事件を観客に近い視点から俯瞰する主人公を作らなければならないとか、展開をもっとドラマティックにしたいという物語上の意図もあったりするわけです。

 そういった中で、今回観た『凶悪』は比較的、原作となったルポ小説に忠実な内容に仕上がっているように前半は見受けられたのですが、物語がどんどん進んでいくうちに、原作を夢中になって読んだ身としては、「あれ……こんな感じだったっけ?」と不思議な違和感にとらわれるようになっていきました。

 例えば、『冷たい熱帯魚』の後半からの「アッと驚く急展開」は、作品が「よくできた実録犯罪もの」から一気に「まごうことなき園子温ワールド」に跳躍していくという、監督の作家性がさらけ出された結果の改変だったと解釈しました。まぁ、個人的には前半のほう(でんでんパート)がむちゃくちゃおもしろかったので、はっきり言っちゃえば監督の個性でも実際の事件における真犯人の狂気にはまるで歯が立たなかった、と私は見たんですけど。

 それとほぼ同じくらいの配分で、実は『凶悪』にも、原作にはなかったオリジナルな部分、つまりは監督・白石和彌の作家性というものがかなり濃厚に混入していたと感じました。『冷たい熱帯魚』ほどわかりやすく熱いスパークはありませんが、よっぽど『凶悪』のほうが巧妙でよくできた「編み込み」だったと私は思ったので、そのチャレンジはすごく良かったですね。


 映画の『凶悪』は、物語が進んでいくうちに、主人公である雑誌記者の藤井が入り込んでいく、死刑囚・須藤と不動産ブローカーの「先生」を中心として黒々と渦巻く殺人の連鎖と並行して、その世界の取材を終えた藤井が帰宅した先、つまりは他ならぬ藤井自身の家庭でリアルタイムに発生している、「認知症の姑の世話にノイローゼ状態に陥っている妻」という大問題もクローズアップされていくようになります。もちろんこの、藤井の個人的な話は原作にはまったくありませんでしたし、映画のパンフレットでも、藤井のモデルとなった原作者自身が「あのくだりは完全に監督のオリジナリティ」と断った上で絶賛しています。

 映画で語られる藤井家の問題は実に深刻なもので、丸一日取材のために家をあけている夫のために妻が姑の面倒を見ているのですが、いよいよ行動がおかしくなってきた姑とのコミュニケーションもまったくとれなくなり、「言うことを聞いてくれない意地悪な女」と認識する姑は妻に手を上げる始末。その一方で、実の母であることもあってか、夫(主人公)は施設に入れるべきだという妻の懇願を、「仕事で疲れてるからまたあとにしてくれ。」と、まったく聞き入れてくれません。孤立無援となり、披露困憊した妻はついに夫婦生活そのものを続けることにも意味を見いだせなくなり……

 こういった非常に重だるい問題が、猟奇的な連続殺人事件の取材と並行して描写されていくわけなのですが、普通ならば「なんでまた、こんな話題をいっしょに織り込んでいくんだ?」と感じてしまうくらいに、いかにもサイズが小さくホームドラマ的なこの問題は、『凶悪』の扱う異常にも程のある大事件とは乖離した距離感があるように思えます。

 でもねぇ、これがまた、終盤に行くにつれて実に効果的に藤井の取材する事件のあらわす「凶悪」の本質にからんできて、作品の奥行きの深さを生み出してくるんですよねぇ!

 まず第一に、藤井家の介護問題と木村&須藤の巻き起こした連続殺人事件は、高齢化して家庭の中心にいられなくなった人物を周囲がどう扱うのか、という問題の結果としてそれぞれの現在がある、という共通項があります。つまり、まだ若く現役バリバリの藤井記者の家庭ではまだ「老いた身内と同居するか、施設に入所させるか?」という選択肢にとどまっていますが、物語の中で木村の哀れな餌食となった牛場家では、「木村に老いた身内の殺害を依頼して保険金をせしめるか、破産するか?」という、どっちに転んでも地獄しか見えない状況になっていました。深刻さの度合いはまるで違いますが、問題の中心に「老いた身内」がいるという点では同じなんですね。

 これらの話題の並立によって、映画『凶悪』は、原作を読んだだけでは「へぇ~、世の中にはそんな悪魔もいるのか。かかわり合いにならないように気をつけないとなぁ。」という程度だった大事件との距離感が、「もしかしたら自分自身がその悪魔になるのかも知れない。」というまでにググッと迫ってくる効果があったと思うんです。

 そして、精力的に取材を進め、木村と須藤という稀代の犯罪者コンビが持つ狂気の深奥を見つめていくにつれて、明らかに眼の光り方が一般人から離れていく藤井記者の異様さのあらわす意味も、山田孝之さんの的確な演技によって非常にわかりやすく提示されていたと思います。
 最初は、いまだに発覚していない卑劣な事件を世に明らかにするという正義から始まったのに、真相に近づけば近づくほど、その正義の執行人が狂気にとらわれていく恐ろしさ……まさにニーチェですねぇ。

 もちろん、原作から垣間見える実際の原作者は映画の藤井よりももっとプロフェッショナルでドライなジャーナリストですし、藤井がこの事件の取材の後に頭がおかしくなって犯罪者になってしまう、という単純な話でもありません。
 しかし、原作になかった「木村との面会シーン」というクライマックスにおいて、「お前も同類なんだよ。」というメッセージを刻み付けられてしまった藤井の顔の怖さといったら、もう……とにかくものすごいラストシーンでしたね。実は、まともに TVも観ない私にとって、山田孝之さんの演技を観るのはほんとに遅ればせながら今回が初めてだったのですが、まだまだ若いのに、危険な味わいをこんなに意識的に演じきることができるお人がいらっしゃったとは。おじさん感心してしまいました。

 山田さんもものすごく良かったのですが、映画『凶悪』はいろんな面でキャスティングが功を奏している部分が大きかったと思います。

 まぁ、何はなくとも事件の真犯人である木村&須藤ペアを演じきったリリー・フランキー&ピエール瀧ペア!! ここが実に良かったですねぇ~。
 名前の字ヅラを改めて見てもおわかりのように、どちらも実にふざけたスタイルで時代の最先端を駆け抜けてきた「おふざけのプロフェッショナル」です。そしてこれはつまり、実際の事件の真犯人である北関東のやくざ崩れと悪質不動産ブローカーの2人組とはまったく異質ながらも、「現代日本の生み出した流浪の民」という点では非常に似通ったところのある浮遊感があったのではないのでしょうか。
 リリーさんもピエールさんも、ちょっとモデルに忠実だとは言えない独自色がありすぎですし、そこをなんとか似せようとする演技的努力もきれいさっぱり捨ててしまっている潔さがあります。それなのに! それぞれの存在感がミョ~に設定にフィットしているんですよね。ムリが生じていないんです。
 そこに関しては、セリフを標準語で統一して、「だっぺ」的な方言を取り入れる再現演出を避けたという監督の選択がうまくいったと思います。なにはなくともリリー&ピエールのナチュラルな「フワフワした」不気味さが生きるようにしたということだったのでしょう。

 特にピエールさんの身体を張った熱演が随所に観られましたが、どこからもにじみ出てしまう須藤というアウトローの「あぶれ者」感。やくざ社会にも居場所のなかった狂犬がたどり着いた最終の地が木村の片腕だったという哀しみがごくごく自然に出ていたと思います。

 あと、上にヅラヅラと20名以上ものキャスト表をならべてしまったのですが、この映画において全員が見逃せない重要人物である、という意味ではありません。中にはまともなセリフさえ無かった人もいますし、1シーンにしか登場しなかった人もいっぱいいます。
 でも、そういう脇役中の脇役の味わいがいいんだ、この映画は! それぞれのキャラクターが、他のキャラクターの隠れた一面を如実にあらわす役割を担ったり、異常な事件の広大なネットワークを構成する欠かせない一角になっているんですね。

 たとえば、満を持して真犯人・木村への直撃取材を敢行した藤井に木村本人は居留守を決めこみますが、彼の代わりに制服姿の娘(演・山田彩)が玄関先に現れて、決然とした表情で藤井に帰れと通告します。娘さんにとっては、藤井は父の名誉と家庭の平穏をおびやかすハイエナ記者にしか見えないんですね。
 このシーンからは、あれほどまでに残忍無比な悪行を繰り返している木村が、その反面で娘をこれほどまでに立派に育て上げ、娘に尊敬される家庭人であった、ということが見て取れます。それ以前にも、他人の血にまみれた大金を得た木村&須藤がそれぞれの家族を集めてクリスマスパーティを盛大に開くという象徴的なシーンがあるのですが、他人の不幸の上に成り立つ自分たちの幸福、そしてその幸福を得るためならば何でもするのが人間、親を見殺しにするのも人間(牛場一家)という世の中の哲理を、この映画『凶悪』はあの手この手を使って描いているんですね。
 そういう意味でも、この映画はどんなに小さな役割のキャラクターにも見逃すことができない人生が込められていると思うんです。個人的には、主要でないキャラクターの中では牛場一家の娘婿役の広末さんの演技が印象的でした。「あ、俺たち、確実にやっちゃいけないことをしてる! もう後戻りできねぇ……」という絶望感がにじみ出るたたずまいが最高でした。そしてその一方で、自分の夫や実父にあたる人物の殺害を依頼する女たちの、悟りきったようなドライな対応も実に良かった。そこらへんの演者のバランスが本当にいいんですよね。

 リリーさんも怖かったねぇ、ほんとに。逮捕されたのちの法廷で、検察側の証人として出廷するピエールさんとにらみ合うときの目つきがサイコーに怖い!! いやいや、法廷でそんな顔したら絶対に不利だからやめてください!! 発言するセリフがいちいち、プロの役者さんにはなかなか出せなさそうな軽さに満ちているのも良かったです。

「とにかく、お酒飲ませて殺しちゃうけど、それはホラ、そちらが頼み込んできたわけだから。」

 という軽い言い方の恐ろしさね。


 『冷たい熱帯魚』にも、映画館中が爆笑に包まれてしまうやりとりがあったわけなのですが、なんのなんの、こちらの『凶悪』も思わず笑い声があがってしまうシーンがいっぱいありました。そこはもう、普段から親交があるというリリー&ピエールペアの独擅場ですよね。
 「あ、これ、先生関係ねぇや。」とか「焼却炉って思ったより浅いんッスね……あっ、これ、いったん置こう!」とか、「純ちゃん、ちょっとそれ、僕にもやらせて。」とか「純ちゃんは黙っててよ、バカなんだから!」とかね。う~ん、さすがは軽さが身上の一流タレント! 役者じゃないところがいいんでしょうね。


 いろいろ言いましたが、その一方で「北関東の自然の寂寥感とか田舎の無人感をもっと深めに撮ってもよかったのでは?」とか、「編集長役の村岡さんの演技がステレオタイプでつまんない」とか、「ジジ・ぶぅさんの起用は良かったと思うが、声質と服を脱いだときの体つきが若々しすぎて残念だった」とか、言いたいことはまだまだあります。特に、原作では須藤と木村の事件解明のための最重要人物だった共犯者(映画版でいう福森)の末路が原作よりもつまらないものに変更されてしまっていたことには大いに不服でした。いくらなんでも、あのくらいの勢いの衝突事故で死ぬことはないと思うんですけど……

 ということで、映画『凶悪』の結論。


池脇千鶴さんはやっぱり、いい!!


 いや~、30すぎたのにぜんぜん変わってないんですよね、容姿も演技も。
 ヘアメイクでどんなに疲れたように見せかけても、まだまだ中学生でもいけるんじゃないかというくらいに、若い……っていうか、幼い! ここまで老けないというのは……実際、女優さんとしてはマイナスよね。

 「犯罪の魅惑から逃れられない犯罪者とジャーナリスト」を描ききった作品とはまったく違う次元で、「老けることができない女優」という恐るべき業病をさらけ出した池脇さんだったのでした……

 設定上は「家庭生活に疲れ切った主婦」という役だったのに、作中に登場した他のどの女優よりもエロいとは……濡れ場を演じた人だっていたのに、だぜ!?

 ……それでも好きだ!!(『ギャグマンガ日和』)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« とりいそぎ、日記までに | トップ | これから読もうと思ってんだ... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
31歳 (roze351)
2013-10-22 19:56:17
こんばんは。

面白そうな映画ですね。でも怖そう。夢見そう。
モー娘。じっくりレビュー気長に待ってますね。
31やそこらなら、幼い顔いっぱいいますヨ。
池脇ちーちゃんそんなに幼いのですか?
観てみよう(笑)
あ、まだ劇場公開中ですかね。
返信する
もうちょっと! (そうだい)
2013-10-26 07:22:09
 roze351 さん、いつもコメントありがとうございます!

 すみません、もうちょっと!! もうちょっとだけお待ちくださいませ。
 言いたいことはだいたい頭の中でまとまってるんですが、いかんせん体力がもたずに下調べで力尽きてしまいました……これだから、歴史のあるグループのお話はやめられませんやね!

 仕事、台風、台風、仕事~♪
返信する

コメントを投稿

ふつうじゃない映画」カテゴリの最新記事