どうも、みなさんこんばんは~。そうだいでございます。
まだまだ寒い日が続きますね~。続くっていうのに、なんでこんな話題の記事なのでありましょうか……?
なんでかって、まぁ好きだからなんですけど、最近ふと観たくなって DVDを買っちゃったんですよね。
まずは、作品とその周辺に関する基本的な情報をまとめてみましょう。
映画版『姑獲鳥の夏』(2005年7月公開 日本ヘラルド 123分)
京極夏彦原作の劇場公開用オリジナル作品としては、前年2004年2月公開の『嗤う伊右衛門』(監督・蜷川幸雄 東宝)に続いて2作目となる(ただし最初に劇場公開されたのは、2000年8月の TVドラマ『京極夏彦・怪 七人みさき』ブローアップバージョン)。
興行収入は5.5億円だった。
主なスタッフ
監督 …… 実相寺 昭雄(68歳 翌2006年没)
脚本 …… 猪爪 慎一(?歳)
撮影 …… 中堀 正夫(62歳)
美術 …… 池谷 仙克(いけや のりよし 64歳)
音楽 …… 池辺 晋一郎(61歳)
あらすじ
昭和二十七(1952)年の、梅雨も明ける夏のある日。小説家の関口巽は、古くからの友人である「京極堂」中禅寺秋彦に、最近耳にした久遠寺家にまつわる奇怪な噂「20ヶ月もの間妊娠し続ける女性」の真相を解き明かすことができるかと持ちかける。
問題の妊婦・久遠寺梗子の夫で、関口らの知り合いでもある牧朗の失踪、連続して発生した嬰児死亡、代々伝わる「憑き物(つきもの)筋」の呪いなど、久遠寺家にまつわる数々の事件をめぐって、私立探偵・榎木津礼二郎や京極堂の妹である雑誌記者・中禅寺敦子、東京警視庁の刑事・木場修太郎らを巻き込みながら、事態は展開していく。さらにこれらの事件の深奥は、関口自身の過去とも深く関係していた。
全ての「憑き物」を落とすため、拝み屋「京極堂」が発つ。
主な登場人物
中禅寺 秋彦(京極堂) …… 堤 真一(41歳)
拝み屋(陰陽師)であり古本屋を営む非常に博学な人物。屋号である「京極堂」があだ名となっている。
関口 巽 …… 永瀬 正敏(39歳)
小説家。中禅寺秋彦の妹である雑誌記者の敦子から久遠寺医院の噂を聞き、取材のために医院を訪れる。
久遠寺 涼子/梗子(二役)…… 原田 知世(37歳)
久遠寺 涼子
久遠寺家の長女。梗子とは年子の姉妹。生まれつき病弱。牧朗失踪事件の真相解明を薔薇十字探偵社に依頼した。
久遠寺 梗子(きょうこ)
久遠寺家の次女で、牧朗の妻。牧朗の失踪後、20ヶ月以上妊娠状態が続いている。
久遠寺 嘉親(よしちか) …… すま けい(69歳 2013年没)
涼子・梗子姉妹の父親で、久遠寺医院院長。ドイツに留学して帰国した藤野牧朗と梗子の結婚を認める。
久遠寺 菊乃 …… いしだ あゆみ(57歳)
涼子・梗子姉妹の母親で、久遠寺医院事務長。武家の妻女を思わせる気丈な夫人。
久遠寺 牧朗 …… 恵 俊彰(40歳)
梗子の夫で、久遠寺家の婿養子。旧姓は藤野。関口や中禅寺の学生時代の先輩で、当時のあだ名は藤牧(ふじまき)。
学生時代に久遠寺梗子に一目惚れし、関口を通して彼女に恋文を渡した。ドイツに留学して医師の免状を習得し、梗子と結婚したが、自宅から失踪する。
榎木津 礼二郎 …… 阿部 寛(41歳)
「薔薇十字探偵社」を運営する破天荒な私立探偵。中禅寺と関口の旧制高等学校の一期先輩で牧朗とは同期。ある特殊な能力を持っている。
安和 寅吉 …… 荒川 良々(31歳)
榎木津の助手。
木場 修太郎 …… 宮迫 博之(35歳)
東京警視庁捜査一課の刑事。軍隊時代の関口の部下であり、榎木津の幼馴染み。屈強な風貌から周囲からは「旦那」と呼ばれている。
青木 文蔵 …… 堀部 圭亮(39歳)
東京警視庁捜査一課の刑事。木場の部下。
里村 紘市 …… 阿部 能丸(45歳)
東京都警視庁の監察医。三度の飯より解剖が好きな変人だが、腕は確か。
中禅寺 敦子 …… 田中 麗奈(25歳)
中禅寺秋彦の妹で、新聞社社員。関口巽に久遠寺医院の噂を教える。
鳥口 守彦 …… マギー(33歳)
関口巽が別名義で執筆している不定期発刊のカストリ雑誌『実録犯罪』の編集記者。関口を通じて知り合った同業の中禅寺敦子の取材にカメラマンとして同行することもある。
内藤 赳夫 …… 松尾 スズキ(42歳)
久遠寺医院の住み込みの医師見習い。久遠寺菊乃から目をかけられていたが、陰険な性格のためにそれ以外の人間からはあまり良い評価を得ていない。
戸田 澄江 …… 三輪 ひとみ(26歳)
久遠寺医院に勤めていた元看護婦。自宅アパートで変死する。
沢田 富子 …… 原 知佐子(69歳 実相寺昭雄夫人)
久遠寺家の元使用人。
菅野 博行 …… 堀内 正美(55歳)
久遠寺医院で小児科を担当していた医師。涼子によれば、戦災で死んだという。「開かずの間」の鍵を所有していたらしい。
原沢 伍一 …… 寺島 進(41歳)
久遠寺医院で死産として処理された赤ん坊の父親。その件で医院を訴えていたが、突然、その訴えを取り下げる。
中禅寺 千鶴子 …… 清水 美砂(34歳)
中禅寺秋彦の妻。
関口 雪絵 …… 篠原 涼子(31歳)
関口巽の妻。
傷痍軍人(水木 しげる) …… 京極 夏彦(42歳)
原作者・京極夏彦(きょうごく なつひこ)とは
日本の小説家、妖怪研究家、アートディレクター。代表作に「百鬼夜行シリーズ」、「巷説百物語シリーズ」など。
1963年3月26日に北海道小樽市に生まれる。アートディレクターとして桑沢デザイン研究所を経て広告代理店に勤務したのち、独立してデザイン会社を設立した。
1994年のゴールデンウィークに「小説書いちゃったからもったいない」という軽い気持ちで、講談社ノベルスの編集部に電話をかけた。当初、編集者は返事には数ヶ月から半年かかると伝えたが、『姑獲鳥の夏』の原稿を1日で読み終え、「著名な作家が編集部のリテラシーを試しているイタズラでは」と感じたと言い、また、原稿を送ってわずか2日後に返事をもらった京極もドッキリではないかと疑ったという。この作品は仕事の合間に書かれたもので、小説の執筆は京極にとって生涯初めての試みであった。
原稿を読んだ編集者により、すぐに講談社ノベルスからの発売が決定した。京極本人によると、この『姑獲鳥の夏』の構想は10年前に考えたマンガのネタが元だったという。第3作『狂骨の夢』の発売日(1995年5月)にプロフィール等が解禁され、たちまち多くの大手出版社から執筆依頼が舞い込む人気作家となった。
デビュー作から続く、京極夏彦の代表作とも言える「百鬼夜行シリーズ」には、事件の推理と憑物落し(つきものおとし)とを合体させた、新しいスタイルの探偵が活躍する。装飾部分やサブストーリーに様々な伝承、オカルティズムをふんだんに用いながらも、その骨格は論理的な謎解きに徹しているため、推理小説の王道を歩むと同時に「妖怪小説」とも呼び得るという特異なシリーズとなっている。京極作品のオカルティズムは、本筋のミステリー部分とは別に独立した掘り下げが行われるため、本格推理小説ファン以外の読者も多い。また、同シリーズ以外の推理小説をうたっていない作品の中にも、怪奇現象が実はすべて人為的トリックであったり、古典的怪談に合理的解釈が提示されたり(ただし、それが真実として確定されるわけではない)するものが多い。
特に「百鬼夜行シリーズ」は、各作品のページ数が極めて多いことも特徴であり、『鉄鼠の檻』で826ページ、『絡新婦の理』で829ページ、『塗仏の宴 宴の支度』と『塗仏の宴 宴の始末』は合計で1248ページという厚さに達している。そのため、「百鬼夜行シリーズ」作品は「レンガ本」や「サイコロ本」と呼ばれることもある。
作品の読ませ方についても、一つの文章がページをまたがることのないように、ページ・見開きの末文で改行するよう構成する(文庫化などで字数が変わると、それに合わせて適宜改行位置を操作する)など、独特のルールを遵守している。デザイナーとしての判断とも言われるが、読者がページを開いたときの第一印象までをも作家の制御下に置こうとする試みといえる。そのこだわりは、みずから DTPソフト「 Adobe InDesign 」を駆使し、全ページのレイアウトをこなして印刷所に入稿するまでに至っているが、本人は、リーダビリティを考慮した読者サービスの一環であると語っている。
長編小説『姑獲鳥の夏』(1994年9月刊行 講談社)
『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』は、京極夏彦の長編推理小説。「百鬼夜行シリーズ」の第1作である。
本作を講談社に持ち込んだことがメフィスト賞創設のきっかけにもなった、京極夏彦の小説家デビュー作。講談社からは、ノベルス版・全一巻文庫版・ハードカバー愛蔵版・上下分冊文庫版の各種が発売されている。志水アキによるコミカライズ版(角川書店)も存在する。
……とまぁ、こんなわけなんですけれども。
もう10年近く前の映画になるのかぁ。いやはや、時が経つのは早いといいますか。実相寺監督も、遠行されてだいぶ経つんだな。
実相寺監督の当時の作品をひもといてみますと、2005年の夏に公開されたこの映画『姑獲鳥の夏』は、昨年秋におけるテレビシリーズ『ウルトラQ dark fantasy』中の2エピソード監督と、その約1年後の2005年秋の『ウルトラマンマックス』中の2エピソード監督とのちょうど間に位置する時期になっていまして、全国の特撮ファン、そして実相寺昭雄ファンを狂喜乱舞させるスッペシャルな1年間になっていたと思います。少なくとも、わたくしは喜んでましたよ!
素直にうれしかったですね~。『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』での、もはや伝説となりつつある実相寺監督の手になる珠玉のエピソード群は、1980年代生まれの私にとっては当然ながらリアルタイムのものではなく、ビデオレンタルでない形で最新の実相寺作品を、しかもこんなにポンポンと観られるのは僥倖としか言いようのない活況だったわけです。
そしてなんと、30分サイズのテレビ作品だけではなく、『姑獲鳥の夏』は堂々たる全国公開規模の長編劇場作品なのよ!? さらに京極夏彦の「百鬼夜行シリーズ」の映像化ときたもんだ!!
こりゃあなた、実相寺昭雄ファンでミステリー小説ファンでおまけに妖怪ファンの私にとって、映画『姑獲鳥の夏』の爆誕はとんでもない期待値のるつぼと化したわけなのです。ワクワクしないわけがねぇ!!
もうひとつ言いますと、実相寺昭雄監督がメガホンをとった長編映画として、この『姑獲鳥の夏』は1998年の『 D坂の殺人事件』以来のものであり、その後オムニバス映画の一作として短編を3作監督したのちに物故なされたため、まさに映画『姑獲鳥の夏』は、実相寺昭雄監督最後の長編映画ということになるわけなのです。
なのに……ねぇ。評判よくないんだよなぁ~、映画『姑獲鳥の夏』。
私が生まれて最初に実相寺作品をリアルタイムで体感したのは、長編映画としての前作にあたる『 D坂の殺人事件』でした。その前の『ウルトラマンティガ』や『ウルトラマンダイナ』はビデオレンタルだったんだよなぁ。
いや~、『 D坂の殺人事件』は大好きだった! シビれましたねぇ~。当時、大学生だった私は新宿の映画館で観たのですが、前にもどこかの記事で書いたかもしれませんが、「この映画、終わってほしくないよ~!!」っていう一心で腕時計をチラッチラ見ちゃいましたからね。携帯電話だとまぶしくなっちゃうから迷惑だろうけど、腕時計だから問題ないですよね?
最高でしたね~。真田広之さん演じる主人公の狂気と美学、吉行由実さん演じる古本屋店主の妖艶さ、そして名探偵・明智小五郎を演じる嶋田久作さんの迫りくる正義の鉄槌!! そしてそして、画面に出てくるだけでそれまでの全てをかっさらってしまう、小林芳雄少年を演じた当時19歳の三輪ひとみさんが醸し出す、あからさますぎるあやしさ!!
魅力として語るべき点は山ほどあるわけなのですが、最も素晴らしいのは、真剣もお遊びもひっくるめて、実相寺昭雄監督のありとあらゆる方法論が映画『 D坂の殺人事件』の本編90分間、最初から最後まで、しっぽの先までぎっしり詰まっているという構成の完成度だったのではないのでしょうか。ホントに最高。
なので、その次の長編映画となる『姑獲鳥の夏』なんで……期待値上がりまくりだったんですけれども、ね。
2005年の夏。『姑獲鳥の夏』を観終えたあとに私の脳裏をよぎった思いは、「おもしろかったー!」でも「こわかったー!」でもなく、私のまわりの観た人に対して「どういうふうに弁護していこうかなぁ……」という、別に誰からも頼まれもしていない余計な心配と不安でした。ファンって公言してましたもんで……テレビでコマーシャルもバンバンやってたし。
おもしろくなかったんだよなぁ。でも、確かに実相寺昭雄印のしっかり銘打たれた作品ではあったんだよなぁ。
撮影・中堀、美術・池谷、音楽・池辺! どこからどう見ても、安定の布陣ですよねぇ。
俳優陣もしっかり演技してたし、お話もかなり原作小説に忠実で、2時間ちょいの枠によくぞ文庫本上下巻2冊分のボリュームをおさめてくれた!とほめたたえたくなる仕事でした。
でも……おもしろくはなかった!
なぜ? なぜおもしろくなかったのか……今回はとりあえず関係資料をまとめるだけにしておきまして、回を改めて次の機会に、ひとつじっくりと腰をすえて、伝説的仕事のあまたある実相寺作品の中でも、ひときわ「あっれぇ~!?」と首をかしげてしまう、ぽっかりとダム穴のようにあいた映画『姑獲鳥の夏』の「なぜ?」に、自分なりにえっちらおっちら迫ってみたいと思います。さぁ、その次回は、いつの完成になるのかナ~!?
いや、私だって、別にことさら失敗作のレッテルを貼るつもりはまったくないんですけどね……調べてるうちに面白くなってきたら、それに越したことはないし。
「なんだと、そうだいコノヤロー! 映画『姑獲鳥の夏』はおもしろかったよバカヤロー!!」という熱いご意見、ありましたらどしどしコメントでお送りくださいね!
もしあったら、ね……あったら……ハハハ……
まだまだ寒い日が続きますね~。続くっていうのに、なんでこんな話題の記事なのでありましょうか……?
なんでかって、まぁ好きだからなんですけど、最近ふと観たくなって DVDを買っちゃったんですよね。
まずは、作品とその周辺に関する基本的な情報をまとめてみましょう。
映画版『姑獲鳥の夏』(2005年7月公開 日本ヘラルド 123分)
京極夏彦原作の劇場公開用オリジナル作品としては、前年2004年2月公開の『嗤う伊右衛門』(監督・蜷川幸雄 東宝)に続いて2作目となる(ただし最初に劇場公開されたのは、2000年8月の TVドラマ『京極夏彦・怪 七人みさき』ブローアップバージョン)。
興行収入は5.5億円だった。
主なスタッフ
監督 …… 実相寺 昭雄(68歳 翌2006年没)
脚本 …… 猪爪 慎一(?歳)
撮影 …… 中堀 正夫(62歳)
美術 …… 池谷 仙克(いけや のりよし 64歳)
音楽 …… 池辺 晋一郎(61歳)
あらすじ
昭和二十七(1952)年の、梅雨も明ける夏のある日。小説家の関口巽は、古くからの友人である「京極堂」中禅寺秋彦に、最近耳にした久遠寺家にまつわる奇怪な噂「20ヶ月もの間妊娠し続ける女性」の真相を解き明かすことができるかと持ちかける。
問題の妊婦・久遠寺梗子の夫で、関口らの知り合いでもある牧朗の失踪、連続して発生した嬰児死亡、代々伝わる「憑き物(つきもの)筋」の呪いなど、久遠寺家にまつわる数々の事件をめぐって、私立探偵・榎木津礼二郎や京極堂の妹である雑誌記者・中禅寺敦子、東京警視庁の刑事・木場修太郎らを巻き込みながら、事態は展開していく。さらにこれらの事件の深奥は、関口自身の過去とも深く関係していた。
全ての「憑き物」を落とすため、拝み屋「京極堂」が発つ。
主な登場人物
中禅寺 秋彦(京極堂) …… 堤 真一(41歳)
拝み屋(陰陽師)であり古本屋を営む非常に博学な人物。屋号である「京極堂」があだ名となっている。
関口 巽 …… 永瀬 正敏(39歳)
小説家。中禅寺秋彦の妹である雑誌記者の敦子から久遠寺医院の噂を聞き、取材のために医院を訪れる。
久遠寺 涼子/梗子(二役)…… 原田 知世(37歳)
久遠寺 涼子
久遠寺家の長女。梗子とは年子の姉妹。生まれつき病弱。牧朗失踪事件の真相解明を薔薇十字探偵社に依頼した。
久遠寺 梗子(きょうこ)
久遠寺家の次女で、牧朗の妻。牧朗の失踪後、20ヶ月以上妊娠状態が続いている。
久遠寺 嘉親(よしちか) …… すま けい(69歳 2013年没)
涼子・梗子姉妹の父親で、久遠寺医院院長。ドイツに留学して帰国した藤野牧朗と梗子の結婚を認める。
久遠寺 菊乃 …… いしだ あゆみ(57歳)
涼子・梗子姉妹の母親で、久遠寺医院事務長。武家の妻女を思わせる気丈な夫人。
久遠寺 牧朗 …… 恵 俊彰(40歳)
梗子の夫で、久遠寺家の婿養子。旧姓は藤野。関口や中禅寺の学生時代の先輩で、当時のあだ名は藤牧(ふじまき)。
学生時代に久遠寺梗子に一目惚れし、関口を通して彼女に恋文を渡した。ドイツに留学して医師の免状を習得し、梗子と結婚したが、自宅から失踪する。
榎木津 礼二郎 …… 阿部 寛(41歳)
「薔薇十字探偵社」を運営する破天荒な私立探偵。中禅寺と関口の旧制高等学校の一期先輩で牧朗とは同期。ある特殊な能力を持っている。
安和 寅吉 …… 荒川 良々(31歳)
榎木津の助手。
木場 修太郎 …… 宮迫 博之(35歳)
東京警視庁捜査一課の刑事。軍隊時代の関口の部下であり、榎木津の幼馴染み。屈強な風貌から周囲からは「旦那」と呼ばれている。
青木 文蔵 …… 堀部 圭亮(39歳)
東京警視庁捜査一課の刑事。木場の部下。
里村 紘市 …… 阿部 能丸(45歳)
東京都警視庁の監察医。三度の飯より解剖が好きな変人だが、腕は確か。
中禅寺 敦子 …… 田中 麗奈(25歳)
中禅寺秋彦の妹で、新聞社社員。関口巽に久遠寺医院の噂を教える。
鳥口 守彦 …… マギー(33歳)
関口巽が別名義で執筆している不定期発刊のカストリ雑誌『実録犯罪』の編集記者。関口を通じて知り合った同業の中禅寺敦子の取材にカメラマンとして同行することもある。
内藤 赳夫 …… 松尾 スズキ(42歳)
久遠寺医院の住み込みの医師見習い。久遠寺菊乃から目をかけられていたが、陰険な性格のためにそれ以外の人間からはあまり良い評価を得ていない。
戸田 澄江 …… 三輪 ひとみ(26歳)
久遠寺医院に勤めていた元看護婦。自宅アパートで変死する。
沢田 富子 …… 原 知佐子(69歳 実相寺昭雄夫人)
久遠寺家の元使用人。
菅野 博行 …… 堀内 正美(55歳)
久遠寺医院で小児科を担当していた医師。涼子によれば、戦災で死んだという。「開かずの間」の鍵を所有していたらしい。
原沢 伍一 …… 寺島 進(41歳)
久遠寺医院で死産として処理された赤ん坊の父親。その件で医院を訴えていたが、突然、その訴えを取り下げる。
中禅寺 千鶴子 …… 清水 美砂(34歳)
中禅寺秋彦の妻。
関口 雪絵 …… 篠原 涼子(31歳)
関口巽の妻。
傷痍軍人(水木 しげる) …… 京極 夏彦(42歳)
原作者・京極夏彦(きょうごく なつひこ)とは
日本の小説家、妖怪研究家、アートディレクター。代表作に「百鬼夜行シリーズ」、「巷説百物語シリーズ」など。
1963年3月26日に北海道小樽市に生まれる。アートディレクターとして桑沢デザイン研究所を経て広告代理店に勤務したのち、独立してデザイン会社を設立した。
1994年のゴールデンウィークに「小説書いちゃったからもったいない」という軽い気持ちで、講談社ノベルスの編集部に電話をかけた。当初、編集者は返事には数ヶ月から半年かかると伝えたが、『姑獲鳥の夏』の原稿を1日で読み終え、「著名な作家が編集部のリテラシーを試しているイタズラでは」と感じたと言い、また、原稿を送ってわずか2日後に返事をもらった京極もドッキリではないかと疑ったという。この作品は仕事の合間に書かれたもので、小説の執筆は京極にとって生涯初めての試みであった。
原稿を読んだ編集者により、すぐに講談社ノベルスからの発売が決定した。京極本人によると、この『姑獲鳥の夏』の構想は10年前に考えたマンガのネタが元だったという。第3作『狂骨の夢』の発売日(1995年5月)にプロフィール等が解禁され、たちまち多くの大手出版社から執筆依頼が舞い込む人気作家となった。
デビュー作から続く、京極夏彦の代表作とも言える「百鬼夜行シリーズ」には、事件の推理と憑物落し(つきものおとし)とを合体させた、新しいスタイルの探偵が活躍する。装飾部分やサブストーリーに様々な伝承、オカルティズムをふんだんに用いながらも、その骨格は論理的な謎解きに徹しているため、推理小説の王道を歩むと同時に「妖怪小説」とも呼び得るという特異なシリーズとなっている。京極作品のオカルティズムは、本筋のミステリー部分とは別に独立した掘り下げが行われるため、本格推理小説ファン以外の読者も多い。また、同シリーズ以外の推理小説をうたっていない作品の中にも、怪奇現象が実はすべて人為的トリックであったり、古典的怪談に合理的解釈が提示されたり(ただし、それが真実として確定されるわけではない)するものが多い。
特に「百鬼夜行シリーズ」は、各作品のページ数が極めて多いことも特徴であり、『鉄鼠の檻』で826ページ、『絡新婦の理』で829ページ、『塗仏の宴 宴の支度』と『塗仏の宴 宴の始末』は合計で1248ページという厚さに達している。そのため、「百鬼夜行シリーズ」作品は「レンガ本」や「サイコロ本」と呼ばれることもある。
作品の読ませ方についても、一つの文章がページをまたがることのないように、ページ・見開きの末文で改行するよう構成する(文庫化などで字数が変わると、それに合わせて適宜改行位置を操作する)など、独特のルールを遵守している。デザイナーとしての判断とも言われるが、読者がページを開いたときの第一印象までをも作家の制御下に置こうとする試みといえる。そのこだわりは、みずから DTPソフト「 Adobe InDesign 」を駆使し、全ページのレイアウトをこなして印刷所に入稿するまでに至っているが、本人は、リーダビリティを考慮した読者サービスの一環であると語っている。
長編小説『姑獲鳥の夏』(1994年9月刊行 講談社)
『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』は、京極夏彦の長編推理小説。「百鬼夜行シリーズ」の第1作である。
本作を講談社に持ち込んだことがメフィスト賞創設のきっかけにもなった、京極夏彦の小説家デビュー作。講談社からは、ノベルス版・全一巻文庫版・ハードカバー愛蔵版・上下分冊文庫版の各種が発売されている。志水アキによるコミカライズ版(角川書店)も存在する。
……とまぁ、こんなわけなんですけれども。
もう10年近く前の映画になるのかぁ。いやはや、時が経つのは早いといいますか。実相寺監督も、遠行されてだいぶ経つんだな。
実相寺監督の当時の作品をひもといてみますと、2005年の夏に公開されたこの映画『姑獲鳥の夏』は、昨年秋におけるテレビシリーズ『ウルトラQ dark fantasy』中の2エピソード監督と、その約1年後の2005年秋の『ウルトラマンマックス』中の2エピソード監督とのちょうど間に位置する時期になっていまして、全国の特撮ファン、そして実相寺昭雄ファンを狂喜乱舞させるスッペシャルな1年間になっていたと思います。少なくとも、わたくしは喜んでましたよ!
素直にうれしかったですね~。『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』での、もはや伝説となりつつある実相寺監督の手になる珠玉のエピソード群は、1980年代生まれの私にとっては当然ながらリアルタイムのものではなく、ビデオレンタルでない形で最新の実相寺作品を、しかもこんなにポンポンと観られるのは僥倖としか言いようのない活況だったわけです。
そしてなんと、30分サイズのテレビ作品だけではなく、『姑獲鳥の夏』は堂々たる全国公開規模の長編劇場作品なのよ!? さらに京極夏彦の「百鬼夜行シリーズ」の映像化ときたもんだ!!
こりゃあなた、実相寺昭雄ファンでミステリー小説ファンでおまけに妖怪ファンの私にとって、映画『姑獲鳥の夏』の爆誕はとんでもない期待値のるつぼと化したわけなのです。ワクワクしないわけがねぇ!!
もうひとつ言いますと、実相寺昭雄監督がメガホンをとった長編映画として、この『姑獲鳥の夏』は1998年の『 D坂の殺人事件』以来のものであり、その後オムニバス映画の一作として短編を3作監督したのちに物故なされたため、まさに映画『姑獲鳥の夏』は、実相寺昭雄監督最後の長編映画ということになるわけなのです。
なのに……ねぇ。評判よくないんだよなぁ~、映画『姑獲鳥の夏』。
私が生まれて最初に実相寺作品をリアルタイムで体感したのは、長編映画としての前作にあたる『 D坂の殺人事件』でした。その前の『ウルトラマンティガ』や『ウルトラマンダイナ』はビデオレンタルだったんだよなぁ。
いや~、『 D坂の殺人事件』は大好きだった! シビれましたねぇ~。当時、大学生だった私は新宿の映画館で観たのですが、前にもどこかの記事で書いたかもしれませんが、「この映画、終わってほしくないよ~!!」っていう一心で腕時計をチラッチラ見ちゃいましたからね。携帯電話だとまぶしくなっちゃうから迷惑だろうけど、腕時計だから問題ないですよね?
最高でしたね~。真田広之さん演じる主人公の狂気と美学、吉行由実さん演じる古本屋店主の妖艶さ、そして名探偵・明智小五郎を演じる嶋田久作さんの迫りくる正義の鉄槌!! そしてそして、画面に出てくるだけでそれまでの全てをかっさらってしまう、小林芳雄少年を演じた当時19歳の三輪ひとみさんが醸し出す、あからさますぎるあやしさ!!
魅力として語るべき点は山ほどあるわけなのですが、最も素晴らしいのは、真剣もお遊びもひっくるめて、実相寺昭雄監督のありとあらゆる方法論が映画『 D坂の殺人事件』の本編90分間、最初から最後まで、しっぽの先までぎっしり詰まっているという構成の完成度だったのではないのでしょうか。ホントに最高。
なので、その次の長編映画となる『姑獲鳥の夏』なんで……期待値上がりまくりだったんですけれども、ね。
2005年の夏。『姑獲鳥の夏』を観終えたあとに私の脳裏をよぎった思いは、「おもしろかったー!」でも「こわかったー!」でもなく、私のまわりの観た人に対して「どういうふうに弁護していこうかなぁ……」という、別に誰からも頼まれもしていない余計な心配と不安でした。ファンって公言してましたもんで……テレビでコマーシャルもバンバンやってたし。
おもしろくなかったんだよなぁ。でも、確かに実相寺昭雄印のしっかり銘打たれた作品ではあったんだよなぁ。
撮影・中堀、美術・池谷、音楽・池辺! どこからどう見ても、安定の布陣ですよねぇ。
俳優陣もしっかり演技してたし、お話もかなり原作小説に忠実で、2時間ちょいの枠によくぞ文庫本上下巻2冊分のボリュームをおさめてくれた!とほめたたえたくなる仕事でした。
でも……おもしろくはなかった!
なぜ? なぜおもしろくなかったのか……今回はとりあえず関係資料をまとめるだけにしておきまして、回を改めて次の機会に、ひとつじっくりと腰をすえて、伝説的仕事のあまたある実相寺作品の中でも、ひときわ「あっれぇ~!?」と首をかしげてしまう、ぽっかりとダム穴のようにあいた映画『姑獲鳥の夏』の「なぜ?」に、自分なりにえっちらおっちら迫ってみたいと思います。さぁ、その次回は、いつの完成になるのかナ~!?
いや、私だって、別にことさら失敗作のレッテルを貼るつもりはまったくないんですけどね……調べてるうちに面白くなってきたら、それに越したことはないし。
「なんだと、そうだいコノヤロー! 映画『姑獲鳥の夏』はおもしろかったよバカヤロー!!」という熱いご意見、ありましたらどしどしコメントでお送りくださいね!
もしあったら、ね……あったら……ハハハ……