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これから読もうと思ってんだけどさぁ9  ~前勉強をつらつら~

2014年02月11日 23時47分11秒 | すきな小説
『創雅都市 S.F 』

 『創雅都市 S.F(そうがとしサンフランシスコ)』は、小説家・川上稔の「都市シリーズ」の第6作。川上と、イラストレイターのさとやすによる共著である。
 異世界の大都市サンフランシスコを舞台に描くイラストノベルで、文章を川上稔が、イラストをさとやすが担当している。
 メディアワークスのライトノベル雑誌『電撃 hp 』(季刊から隔月刊になり、2007年に休刊)で、1999年9月~2002年8月に全9回連載された。2001年2月から隔月刊化した『電撃 hp 』では、「都市シリーズ」第7作『矛盾都市 TOKYO 』の連載もスタートし、本作と交互に掲載されることとなる。
 実際には、本作の連載が始まった後に、シリーズ作『閉鎖都市 巴里』が刊行されたが、読者の混乱を避ける意味もあってか、完結が遅れた本作が第6作とされている。
 川上とさとやすの所属するゲーム制作会社「 TENKY(テンキー)」のホームページ内の「テンキーストア」で販売されている単行本には、書き下ろし短編も2話収録されている。

あらすじ
 なにごとも「描き」創られていく都市、サンフランシスコ。この街は、かつて人々が入植する以前から、大神祭(だいしんさい)との戦いが続いていた。
 時は現代、1999年。サンフランシスコ市役所衛生課のエースとして活躍するサラは、ペットの狐鬼ベレッタとともに、自動人形のベンドゥーターと仲良くなったり、風雷神サンダーバードに尻をつつかれてみたりと大騒ぎ!
 そんな人外の者たちの日常の裏側では、次なる大神祭が刻々と近づいており、世界各地ではサンフランシスコ援護の準備が始まっていた。
 世界各国の代表が各種準備を整えてサンフランシスコに集結する。果たして、サラの運命は!?


創雅都市(Image City)サンフランシスコとは……
 サンフランシスコは、アメリカ合衆国西海岸カリフォルニア州の大都市である。
 同じカリフォルニア州の大都市ロサンゼルスと並ぶ西海岸主要都市のひとつで、その名は、紀元前3000年からの先住民族時代を経て、1769年にスペイン帝国の植民地となった時点から世界史に登場する。アメリカ合衆国の領土となったのは1846年からである。
 気候は温暖で自然環境も申し分ないが、サンタクルーズ山脈のふもとに位置するために土地の起伏が激しく、狭い平野部や丘陵地帯の下部に主要機能が集中する原因となっている。
 一部に商業地域が集中している点や、湾の出入り口に位置するために国内と国外の中継地点であるという点が、風水街都・香港やソウ楽都市・大阪と共通している。
 サンフランシスコの名物のひとつは、その土地環境から生まれた世界初のケーブルカーで、1873年に開業した路線はいまだに運行している。

 また、1896年にイギリス帝国から贈られた時詠(ときよみ)式自動人形(ザインフラウ)も、2000年4月に大改修を受けて稼働中である。
 サンフランシスコがかかえる最大の問題は、この都市を気まぐれに襲う大神祭である。地下からドラゴンが復活しようとして発生するこの神祭を、次回はどのように抑えるべきなのか、世界各国が懸念している。

 市街地の南部には、大神祭への対抗策として、地盤を強化する目的でアメリカ合衆国の首都ワシントンDC から送られた世界最大級の大桜がそびえ立っており、その周辺には巨大な溜め池をそなえた森林公園がある。また、サンフランシスコの歴史をおさめる郷土資料館も根本部分にある。
 大桜内の時計台は、台風などの災害時には住民の緊急避難所にもなり、市内放送の臨時中央放送局の役目も果たせる。
 都市の人口はおよそ80万人であるが、純粋な人間の割合は低い。


主な登場人物
サラ
 使堕天使と人間との間に生まれた匪堕天(ディスデモン)の女性。1976年生まれ。金髪碧眼。
 サンフランシスコ市役所衛生課(クリアード)のエースで、狐鬼のベレッタをペットに西へ東へ活躍中。性格は大雑把で適当。酒と飲み会が大好き。
 衛生課で担当している業務は「空を夜から朝に描き変えること」で、仕事には使い捨ての空間固定具(グリッドシーカー)と、日本の IZUMO 社製の珠座神形具(マウスデヴァイス)である「白帝(ハリハクス)」を使用する。
 背中に3枚ずつの羽根のある2枚の翼を持っている。翼の色はやや黒みがかった金色。
 1995年に、出身地である風水街都・香港からサンフランシスコに移住してきた。サンフランシスコ市役所には1998年から勤務している。

ベレッタ
 三尾の狐鬼(スリーテイル)のオス。1995年に生まれた直後からサラのペットとなる。「都市シリーズ」第5作『閉鎖都市 巴里』に登場する同名の狐鬼とはパラレルな存在。本編中では7歳だが、まだ成体にはなっていない(狐鬼の寿命は約20歳)。

シングルホーン
 魔界出身の魔神族(ディスロード)。サンフランシスコ市役所の衛生課課長で、サラの上司。年齢は500歳以上。
 100年前の19世紀末にはすでにサンフランシスコの市政に携わっており、1896年から始まったベンドゥーターの設置にも関わっていた。衛生課の業務全般の他に、常時大神祭対策にも携わっており、大神祭の発生前後には国際規模の人員派遣団の団長も兼任する。

ベンドゥーター
 時詠式自動人形。サンフランシスコの南部にある大桜の幹部分をくりぬいて建造した世界最大級の時計台(ハイパーベン)で、平常時は毎日、正午と15時に300万詞階(オクターブ)を超える時報を唄う。おっとり気質で、サラとはつきあいの長い親友。
 イギリス帝国の首都である架空都市(エアリアルシティ)ロンドンのウェストミンスター宮殿の大時計台「ビッグベン」で時を詠む三姉妹と同型で、その半身は超重琴神形具(ハープデヴァイス)「爪弾女神(リ・アルテミス)」と合体していた。
 他の三姉妹と同じく、ビッグベンが完成した1859年生まれで、もともとはビッグベンの北方を守る目的で製作されたが、組み立てが放棄されていた。その後、1896年にアメリカ合衆国独立120周年を記念してイギリス帝国からサンフランシスコに寄贈され、1902年に組み立てが完成した。
 当初は感情のない中期アイラム式自動人形だったが、2000年4月に感情の豊かなアイレポーク式に完全改修され、「爪弾女神」から分離して活動することも可能になった。
 アイレポーク式になってからは、日本文化趣味に強く傾倒している。時計台への設置当初は裸眼だったが、暗所で歌集を詠むことによって両目の機能が劣化してしまい、現在は大改修後もメガネをかけている。

藤浦 鉄
 人間。機密都市・呉(広島県南西部)の技師で、繰運時計店の28代目店長。1974年生まれ。和服を好み、ふだんは作務衣を着ている。
 曽祖父も、100年前のベンドゥーター設置に関わっていた優秀な技師だった。サンフランシスコには2000年12月から、ベンドゥーターのメンテナンスと技術研究のために留学している。

オババ
 人間。1920年代生まれ。アメリカ先住民族の衣装を常に着ているラテン系女性で、サンフランシスコ在住の先住民族の代表。サンフランシスコ市役所の直下に位置する地下遺跡で発掘作業をしている。必要以上に元気。少なくとも1937年からサンフランシスコに住み続けており、そのころに負傷したサンダーバードを救ったことから、現在にいたるまでサンダーバードに守護されている。日本語の読み書きが堪能。

サンダーバード
 鳥型ドラゴンである神鳥「風雷神」の化身で、本来は全長8メートルを超える巨体だが、ふだんは中型の鳥の姿をしている。かつてはアメリカ先住民族の守護神だったが、現在はオババのペットになっている。オス。人間の言葉の意味を理解することはできる。サラと違って酒を呑む人間が嫌い。本来の姿に戻れば、大神祭を引き起こすドラゴン「大地竜」と互角に闘えるほどの実力を発揮する。

サラの同僚たち
 サラの同期、同年齢の同僚で、主にツッコミやフォロー専門。本名は言及されていないが、作者は便宜的に「義腕子」と「地味子」と呼称している。義腕子は左腕の義腕を密閉防水加工しているらしく、夏には3人でいっしょに海水浴に行くこともある。地味子は人間。
 サンフランシスコ市役所衛生課内では、地味子が事務、義腕子が整備を担当している。義腕子は2002年の大神祭に向けてのベンドゥーター改造チームにも参加していた。

エルフ子
 長寿族の女性で、1900年生まれ。本名は言及されていないが、作者は便宜的に「エルフ子」と呼称している。サラの近所に住む友人。

サラの母親
 サラと同じ匪堕天。1952年生まれ。茶髪碧眼。風水街都・香港の新界地区に住んでいる。夫(サラの父)は1990年代前半に死去している。かつては香港市役所の住民課課長補佐だったが、1997年の香港大崩壊を期に退職し、現在は風水師として活躍しながら新界地区の相談役的存在になっている。

ゲストキャラクター
ベレッタ=マクワイルド
 人間の重騎師。「都市シリーズ」第5作『閉鎖都市 巴里』の主人公ベレッタの「もうひとり」の存在。サンフランシスコの沿岸で自動人形の整備工房を経営していた。1915年生まれ。白髪だが、背筋も伸びて闊達とした老婆。
 1995年6月に、サラに生まれたばかりの狐鬼のベレッタを託し、整備工房を引き払って母親の生まれた国であるフランスに去っていった。

ロゼッタ=バルロワ
 「都市シリーズ」第3作『閉鎖都市 巴里』に登場した、アティゾール式自動人形の重騎師。1915年の製作で、金髪の長髪に碧眼の女性の姿をしている。
 ヨーロッパの重騎師界では知らぬ者がいない伝説的存在で、現在はアメリカ製の専用重騎を所有している。かつてフランス王宮の御用守護騎師だった名門バルロワ家の現当主で、「自由フランス守護騎師」の称号を得ている。フォレット=ミゼールの師匠。
 1995年にサンフランシスコにあるベレッタ=マクワイルドの整備工房でサラと出会ったのち、2002年にも風水街都・香港で再会する。狐鬼のベレッタになつかれている。

マレット=ハルキュリア
 「都市シリーズ」第3作『閉鎖都市 巴里』に登場した、ベレッタ=マクワイルドの親友で、ロゼッタとも親しい。ユダヤ人豪商で、現在はフランス王立歴史学会の OGでもあり、国内外の政財界に相当な発言力とコネクションを持っている。1915年生まれ。白髪で、常に喪服のような黒いワンピースを身にまとっている。未婚。
 実業家としての第一線を退いてからは、ロゼッタとともに世界中を悠々自適に旅している。

奉 鈴(ホウ リン)
 軽度に吸血鬼化している人間。1972年生まれ。「都市シリーズ」第3作『風水街都 香港』に登場した香港商店師団(ホンコンヤード)捜査課巡査長で、2002年現在は新ホンコンヤードの副団長。風水師。ほぼ全身が義体化している。

フェイ=ガーラント
 『風水街都 香港』に登場した、座天使(天使位階第三位)と人間との間に生まれた匪天で、2002年現在は新ホンコンヤード副団長補佐。鈴の恋人。全身を義体化している全方位義体師。新ホンコンヤードでは鈴に代わって外交・現場指揮・コンピュータ作業などをこなす、鈴の参謀的存在。

将軍
 『風水街都 香港』に登場した、ホンコンヤード特殊車両部隊大隊長。第四神罰戦の英雄と呼ばれる。やや腰の曲がった痩せぎみの老人。2002年現在は新ホンコンヤードの衛生課顧問になっている。
 新ホンコンヤードの入口でサラと挨拶を交わすが、用務員だと勘違いされていた。

山城 孔臥(コウガ)
 『風水街都 香港』に登場した、中国系ヴァンパイアと日本人のクォーター。金髪リーゼントにサングラスというチンピラのような風貌をしている。かつてはホンコンヤード捜査課巡査で鈴の直属の部下だったが、新ホンコンヤードに移行して鈴が最前線に立たなくなった後も現役捜査官を続けている。
 サラに尋ねられて新ホンコンヤード本部の場所を教えるが、サラは山城の素性に気づかなかったらしい。

グレアン=クーラーズ
 ゲーム版『奏(騒)楽都市 OSAKA 』のヒロイン。イギリス帝国の首都である架空都市ロンドン出身の猫人。神器(リズム)「凍王」を使用する遠隔神術師(エナジーガンナー)。1980年生まれ。ややウェーブがかった金髪に碧眼の女性。
 2002年現在は新・反戦独立部隊(反独隊)「 NUSIF 」中尉で、祖父も NUSIFの大佐だった。高校生時代に日本に留学していたため、対日交渉に強い。
 2000年4月にイギリスに戻って大改修を受けたベンドゥーターの運搬業務を担当していた。2002年には、サンフランシスコの大神祭対策援護のイギリス代表として活躍する。ギャンブル、特にポーカーが強い。

九条 句刻(くぎり)
 ゲーム版『奏(騒)楽都市 OSAKA 』のヒロイン。奏(騒)楽都市・大阪を擁する大阪圏守護役・九条家の次女。人間。絵を媒介とする言霊師。1984年生まれ。やや痩せ型で黒い長髪の、メガネをかけた少女。
 1999年の矛盾都市・東京の閉鎖後は、日本国臨時内閣対特殊領域部隊「 GASAS 」の臨時要員として活躍している。
 2002年のサンフランシスコ大神祭対策援護の日本代表として渡米するが、それ以前にも、2000年12月にサンフランシスコに留学した藤浦鉄の護衛のために同行していた。

フォレット=ミゼール
 フランスの首都である閉鎖都市パリ出身の重騎師。1976年生まれ。黒髪の長髪で、眼帯をした隻眼の女性。フランス王立騎師団女性隊隊長。代々、パリ守護騎師の家柄である名門ミゼール家の現当主。ロゼッタ=バルロワの教えを受けて重騎師となる。本文中での言及はないが、『閉鎖都市 巴里』に登場したベレッタ=マクワイルドの親友フィリップ=ミゼールの子孫(孫?)にあたる人物であると思われる。
 1988年の東西ドイツ統一紛争に12歳の若さで参戦し、右目を失う。現在はパリ守護騎師として活躍するが、よくロゼッタの世界旅行に護衛という名目で付きあわされている。
 2002年のサンフランシスコ大神祭対策援護のフランス代表として渡米する。

ベルマルク・アインス
 「都市シリーズ」第6作『機甲都市 伯林』に登場した、ベルマルク・フィーアやベルマルク・ナインといった「アイラム式自動人形ベルマルクシリーズ」の最初期型。1832年の製作。長身痩躯で、蒼白な肌をした白髪の初老男性の姿をしている。
 現在のドイツ連邦共和国におけるゲハイムニス機関の大将軍で、機関長グリレ=シュバイツァーの秘書を務めている。2002年のサンフランシスコ大神祭対策援護のドイツ代表として渡米する。
コメント
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