どうもどうも、おばんでございます。そうだいです~。みなさま、今日も一日お疲れさまでございました!
今日もまぁ、なんだかんだ言って寒かったですね……とはいえ、さすがに雪は確実にとけ去りつつあるわけでして、いよいよ春とおからじという空気がただよってまいりました。いつからジャケットに切り替えましょうかねぇ。
さて、本日わたくしめは、いつもよりも早めに仕事場をドロンさせていただきまして、なんとこともあろうに「渋谷・青山」という恐るべきソフィスティケイテッドゾ~ンに潜入するはこびとなりました。おしゃれ! おしゃれぇええ!!
言うまでもなく、例によって目的は観劇オンリーであるわけなのですが、その観劇自体も、いつもとはちょっと毛色の違うおしゃれフレーバーが濃厚なものだったりして!?
週末、華の金曜日にこんなにおしゃれ連発な行路を歩んだところで、我がかたはらにはつれあいなど、いるよしもなし!!
これで、明日はいつもと変わりようのない仕事日だしよう……ちゃんと仕事できるかな? 明日。
パントマイムチーム CAVA(サヴァ)日本凱旋公演 『 CAVA's BARBER その床屋を待たせた客』(作&演出&振付・丸山和彰 渋谷・青山円形劇場)
うをを、パントマイムだって! そうだいの分際で、渋谷の青山でパントマイムぅ!? おしゃれさん気取りもたいがいにいたせ! そこになおれ、斬ってつかはす!!
そういった、羽前国のご先祖さま代々のお声が聞こえてきそうなうわっついた予定なのですが、それでも観るんですよ、この公演はかねてより観たかったんですよ!
この CAVAさんは、今回の作品の作&演出&振付、そして主演も担当した丸山さんをはじめとするパントマイム師(あえて古くさく)3名と、演劇出身の男優1名とダンサー出身の女優1名で構成された、5人組のグループです。
そんでもって、その5名のうちの「演劇出身の男優」である細身慎之介さんが、私も懇意にさせていただいている「劇団上田」の団員だったこともあるし、そもそも、所属サークルは違っていたものの大学の後輩に当たる方だったということもあって、今回、細身さんからじきじきに強いお誘いをいただいて、青山円形劇場まで足を運ぶこととなったわけなのです。逆に私が劇団員だった時代には、けっこう足しげく細身さんに舞台を観に来ていただくことも多かったしねぇ。まさに「実直」をヒューマノイドチックに立体化したような好青年です。まぁ、好青年っつっても、おたがい三十路に入っちゃったけどね! ガハハ!!
今回の『 CAVA's BARBER その床屋を待たせた客』という演目は、2011年に東京・浅草のアサヒ・アートスクエアで初演されたものを、昨年2013年にフランス南部の「城塞都市」カルカソンヌで開催されたカルカソンヌフェスティバルに出品するに当たって改訂し、その「凱旋公演」と銘打って、あらためて日本で上演するというものなのだそうです。
ぎゃああ、カルカソンヌ! カルカソンヌ!! 古代ローマ帝国いらいの歴史情緒あふれる、城壁と尖塔の「総構え」のまちぃいいい。
なんだか、パントマイムとはまるで関係のないポイントで興奮してしまいましたが、やっぱり青山でパントマイム公演ときましたらね、やぁ~っぱからんでくるわけですよ、「おしゃれ総本山」おフランスのかほりが!! まぁ、グループ名が「 CAVA」なんですから当たり前ですか。
さらなるダメ押しとして、この公演にはパントマイムと同等に重要なパフォーマンスとして、国際的に活躍するフランス人舞台音楽家のパトリス=ペリエラスの作曲による、ピアノ(ペリエラスさん本人の演奏)、アコーディオン、バンドネオン、コントラバスの生演奏が展開されるという、「おしゃれ」の上に「おしゃれ」をコーティングした、死角なしのアルティメットおしゃれ仕様!! う~ん、もうおなかいっぱい。しばらくはマカロンとかクレームブリュレとかは食べたくないですね。三角シベリアとべったら漬けでいいや。
仕事を早めに抜けて電車に揺られ、最後には地下鉄の銀座線に乗ることになるのですが、あの地下鉄の車両内の熱気たるや! なんとかなんないもんですかねぇ。疲れてるから速攻で眠くなる、眠くなるのに窮屈だから気持ちよく眠れない、おまけに表参道駅はすぐにやってくるから、なおさら眠ってなんかいられないと! も~ひどいもんですよ。
地上に出ると、まぁまぁそこそこ寒い風が吹き、おしゃれなスーツにコート姿の大人な方々が多く行き交う日暮れどき。
もう、ここまでおしゃれな場所に来ちゃったんだから、開演までまだ時間もあることだし、たいしておなかもすいてないんだけど食べ物でも食べちゃえ! と珍しく奮発した末に選んだのは、おしゃれな地下のマクドナルド。マックかよ……おしゃれじゃない選択だ!
そこでいただいたのは、期間限定新作の「アメリカンファンキーバーベキューバーガー・ビーフ」。単品価格390円(東京での価格らしいです)。
……おしゃれじゃない味だ……たっけぇ……私にとってはマックなんて「旅行気分ついで」以外の何者でもないんで、別に高くてもおいしくなくてもいいんですが、これだったら、普通は別のものにお金つかっちゃいますよね。
その後、これまたおしゃれな青山ブックセンターに顔を出して、「う~ん、確かにおしゃれだけど、買いたい本は置いてないね!」と勝手に納得して、いよいよ青山円形劇場へと向かいました。
くだんの青山円形劇場はビルの3階に位置しているのですが、チケット受付は1階ロビーにあったということで、そうとう久しぶりの青山円形劇場だったために、そのことをすっかり忘れていた私は、受付を完全に素通りして3階にのぼり、また1階におりてチケットを入手するという二度手間をやらかしてしまいました。つくづくおしゃれじゃない!! 自分で自分が嫌になる「お約束」の大失態ですな。
会場は、円形を半分に切って舞台と客席を対面式にするオーソドックスな形式だったのですが、すでに200名くらいのお客さんで座席は満員になり、予約客の到着待ちと思われる15分程度の遅れをへて、公演はついに始まりました。多少待たされても、ざわざわひとつしないで泰然自若とする客席! お客さんも、やっぱりおしゃれだ……
そんでま、本編は始まったわけなのですが……おしゃれ、だったねぇ。
生演奏とパントマイムなんだもんねぇ。日本凱旋公演なんだもんねぇ。
内容も、演奏とパントマイムが生で展開されるわけなので、上演時間70分という非常に濃密な枠に、タイトな真剣勝負がぎっしりとつまったものになっていました。演者の体力的な限界もあってのことなのでしょうが、観る側にしても、このくらいがちょうどいいですよね。
ある床屋を訪れる、いわくありげな女性がひとり。彼女は床屋の若主人とのあいだになにがしかの「過去」があるらしいのだが、今はなぜか婚約者に追われる身となっており……といったストーリーラインなのですが、とにかくお話は、それだけ! シンプルきわまりないロマンスコメディ、といった感じですね。
いやはやともかく、この公演はセリフによって物語がつむがれていく演劇ではないものですから、パントマイムと音楽の味わいをここで文字にしてあらわせない以上、細かい内容うんぬんについて字数を弄してもいたしかたなし!
なにはなくとも「おしゃれだった」。これだけは確かに、記憶しておきたい事実として厳に存在していました。
おしゃれだったなぁ……もう、お話についてうんぬん言うのが野暮なくらいにあっさりしたあらすじなのですが、それを一分の隙も無い洗練された身体と音楽が舞台化すれば、70分なんてホントにもう、あっという間。
笑いのとり方も、さすがは海外公演の洗礼を受けてきた凱旋公演って感じで、間違いなく大多数の人にウケるしぐさがいちいちヒットするわけなんですよね。当然ながら、意味のつかみかねる動作なんてものはひとっつもありません。見えないドアは確かにそこにあり、見えないロマンスの思い出は確かにそこに再現されるのです。
お話の流れは、ある床屋に思わぬ闖入者が現れて、あれこれあった末にまた帰っていくというだけのものなのですが、目と目が合った瞬間だとか、古い写真を見た瞬間に、パッと過去のシーンに入っていき、思い出の回想がスッと始まるという感じも、いかにもフランス受けしそうな『失われた時を求めて』的といいますか、時間軸がインターネット上のウィンドウのようにパパッと増えたり減ったりするスピード感が、観る者を飽きさせないんですよねぇ。そして、それらの時間の転換をしっかりと曲調の変化というかたちでフォローしてくれる生演奏。
もう、エンタテインメントとしてひとつの完成を見ているわけなんですよね。
う~む、なんらひっかかることのない、おもしろくて当たり前のプロの仕事。
良かった。良かったんですが、ふだん私が観たいと思っている「異様さとの出会い」や、「完璧さを犠牲にしてでもさらなる次元に挑戦する心意気」といったものとは全く別の世界で成立している作品なわけなんですよね。その堅固さは、もはや古典芸能に近いようなものがあると感じました。そこにあぐらをかいてラクしようとしていない、っていうかラクできないレベルのテクニックが出演者全員に課されていることは無論間違いないわけなんですが。パントマイムはやっぱりね~、段取りを間違えたとか、手がすべったとかいう些細なミスも許されない厳しさがありますからね! セリフをかむみたいに、お客さんが見逃してくれるようなミスが入り込む隙間はないんですよね。本当にストイック。
全然おしゃれじゃない地道で汗まみれな努力に裏打ちされたおしゃれ、それこそが真のおしゃれ、「伊達」なりけり! 満場の大喝采でした。
いつでも観たい、というわけでもないのですが、たま~にゃあ、こういった批評すること自体がバカらしくなるソフィスティケイテッドな空気を体感することも大事なんだなぁ、と思いながら、私はおしゃれな夜の青山をあとにしたのでありました~。
でもやっぱ、バンドネオンの音色はいいねぇ。ミーハーまるだしでアストル=ピアソラにどハマリした高校生時代をしみじみ思い出してしまいました……なにを若造が。
そして、千葉の幕張本郷駅で JR総武線から乗り換えた京成線で電車を待ち、けっこう味のある私鉄特有ののろのろ運転な車両に乗って座り、
「おしゃれ……じゃないほうが気楽でいいやね。」
と再認識したのでありましたとさ。しばらくのあいだは、おしゃれはもう、おなかいっぱいですわいな~。
今日もまぁ、なんだかんだ言って寒かったですね……とはいえ、さすがに雪は確実にとけ去りつつあるわけでして、いよいよ春とおからじという空気がただよってまいりました。いつからジャケットに切り替えましょうかねぇ。
さて、本日わたくしめは、いつもよりも早めに仕事場をドロンさせていただきまして、なんとこともあろうに「渋谷・青山」という恐るべきソフィスティケイテッドゾ~ンに潜入するはこびとなりました。おしゃれ! おしゃれぇええ!!
言うまでもなく、例によって目的は観劇オンリーであるわけなのですが、その観劇自体も、いつもとはちょっと毛色の違うおしゃれフレーバーが濃厚なものだったりして!?
週末、華の金曜日にこんなにおしゃれ連発な行路を歩んだところで、我がかたはらにはつれあいなど、いるよしもなし!!
これで、明日はいつもと変わりようのない仕事日だしよう……ちゃんと仕事できるかな? 明日。
パントマイムチーム CAVA(サヴァ)日本凱旋公演 『 CAVA's BARBER その床屋を待たせた客』(作&演出&振付・丸山和彰 渋谷・青山円形劇場)
うをを、パントマイムだって! そうだいの分際で、渋谷の青山でパントマイムぅ!? おしゃれさん気取りもたいがいにいたせ! そこになおれ、斬ってつかはす!!
そういった、羽前国のご先祖さま代々のお声が聞こえてきそうなうわっついた予定なのですが、それでも観るんですよ、この公演はかねてより観たかったんですよ!
この CAVAさんは、今回の作品の作&演出&振付、そして主演も担当した丸山さんをはじめとするパントマイム師(あえて古くさく)3名と、演劇出身の男優1名とダンサー出身の女優1名で構成された、5人組のグループです。
そんでもって、その5名のうちの「演劇出身の男優」である細身慎之介さんが、私も懇意にさせていただいている「劇団上田」の団員だったこともあるし、そもそも、所属サークルは違っていたものの大学の後輩に当たる方だったということもあって、今回、細身さんからじきじきに強いお誘いをいただいて、青山円形劇場まで足を運ぶこととなったわけなのです。逆に私が劇団員だった時代には、けっこう足しげく細身さんに舞台を観に来ていただくことも多かったしねぇ。まさに「実直」をヒューマノイドチックに立体化したような好青年です。まぁ、好青年っつっても、おたがい三十路に入っちゃったけどね! ガハハ!!
今回の『 CAVA's BARBER その床屋を待たせた客』という演目は、2011年に東京・浅草のアサヒ・アートスクエアで初演されたものを、昨年2013年にフランス南部の「城塞都市」カルカソンヌで開催されたカルカソンヌフェスティバルに出品するに当たって改訂し、その「凱旋公演」と銘打って、あらためて日本で上演するというものなのだそうです。
ぎゃああ、カルカソンヌ! カルカソンヌ!! 古代ローマ帝国いらいの歴史情緒あふれる、城壁と尖塔の「総構え」のまちぃいいい。
なんだか、パントマイムとはまるで関係のないポイントで興奮してしまいましたが、やっぱり青山でパントマイム公演ときましたらね、やぁ~っぱからんでくるわけですよ、「おしゃれ総本山」おフランスのかほりが!! まぁ、グループ名が「 CAVA」なんですから当たり前ですか。
さらなるダメ押しとして、この公演にはパントマイムと同等に重要なパフォーマンスとして、国際的に活躍するフランス人舞台音楽家のパトリス=ペリエラスの作曲による、ピアノ(ペリエラスさん本人の演奏)、アコーディオン、バンドネオン、コントラバスの生演奏が展開されるという、「おしゃれ」の上に「おしゃれ」をコーティングした、死角なしのアルティメットおしゃれ仕様!! う~ん、もうおなかいっぱい。しばらくはマカロンとかクレームブリュレとかは食べたくないですね。三角シベリアとべったら漬けでいいや。
仕事を早めに抜けて電車に揺られ、最後には地下鉄の銀座線に乗ることになるのですが、あの地下鉄の車両内の熱気たるや! なんとかなんないもんですかねぇ。疲れてるから速攻で眠くなる、眠くなるのに窮屈だから気持ちよく眠れない、おまけに表参道駅はすぐにやってくるから、なおさら眠ってなんかいられないと! も~ひどいもんですよ。
地上に出ると、まぁまぁそこそこ寒い風が吹き、おしゃれなスーツにコート姿の大人な方々が多く行き交う日暮れどき。
もう、ここまでおしゃれな場所に来ちゃったんだから、開演までまだ時間もあることだし、たいしておなかもすいてないんだけど食べ物でも食べちゃえ! と珍しく奮発した末に選んだのは、おしゃれな地下のマクドナルド。マックかよ……おしゃれじゃない選択だ!
そこでいただいたのは、期間限定新作の「アメリカンファンキーバーベキューバーガー・ビーフ」。単品価格390円(東京での価格らしいです)。
……おしゃれじゃない味だ……たっけぇ……私にとってはマックなんて「旅行気分ついで」以外の何者でもないんで、別に高くてもおいしくなくてもいいんですが、これだったら、普通は別のものにお金つかっちゃいますよね。
その後、これまたおしゃれな青山ブックセンターに顔を出して、「う~ん、確かにおしゃれだけど、買いたい本は置いてないね!」と勝手に納得して、いよいよ青山円形劇場へと向かいました。
くだんの青山円形劇場はビルの3階に位置しているのですが、チケット受付は1階ロビーにあったということで、そうとう久しぶりの青山円形劇場だったために、そのことをすっかり忘れていた私は、受付を完全に素通りして3階にのぼり、また1階におりてチケットを入手するという二度手間をやらかしてしまいました。つくづくおしゃれじゃない!! 自分で自分が嫌になる「お約束」の大失態ですな。
会場は、円形を半分に切って舞台と客席を対面式にするオーソドックスな形式だったのですが、すでに200名くらいのお客さんで座席は満員になり、予約客の到着待ちと思われる15分程度の遅れをへて、公演はついに始まりました。多少待たされても、ざわざわひとつしないで泰然自若とする客席! お客さんも、やっぱりおしゃれだ……
そんでま、本編は始まったわけなのですが……おしゃれ、だったねぇ。
生演奏とパントマイムなんだもんねぇ。日本凱旋公演なんだもんねぇ。
内容も、演奏とパントマイムが生で展開されるわけなので、上演時間70分という非常に濃密な枠に、タイトな真剣勝負がぎっしりとつまったものになっていました。演者の体力的な限界もあってのことなのでしょうが、観る側にしても、このくらいがちょうどいいですよね。
ある床屋を訪れる、いわくありげな女性がひとり。彼女は床屋の若主人とのあいだになにがしかの「過去」があるらしいのだが、今はなぜか婚約者に追われる身となっており……といったストーリーラインなのですが、とにかくお話は、それだけ! シンプルきわまりないロマンスコメディ、といった感じですね。
いやはやともかく、この公演はセリフによって物語がつむがれていく演劇ではないものですから、パントマイムと音楽の味わいをここで文字にしてあらわせない以上、細かい内容うんぬんについて字数を弄してもいたしかたなし!
なにはなくとも「おしゃれだった」。これだけは確かに、記憶しておきたい事実として厳に存在していました。
おしゃれだったなぁ……もう、お話についてうんぬん言うのが野暮なくらいにあっさりしたあらすじなのですが、それを一分の隙も無い洗練された身体と音楽が舞台化すれば、70分なんてホントにもう、あっという間。
笑いのとり方も、さすがは海外公演の洗礼を受けてきた凱旋公演って感じで、間違いなく大多数の人にウケるしぐさがいちいちヒットするわけなんですよね。当然ながら、意味のつかみかねる動作なんてものはひとっつもありません。見えないドアは確かにそこにあり、見えないロマンスの思い出は確かにそこに再現されるのです。
お話の流れは、ある床屋に思わぬ闖入者が現れて、あれこれあった末にまた帰っていくというだけのものなのですが、目と目が合った瞬間だとか、古い写真を見た瞬間に、パッと過去のシーンに入っていき、思い出の回想がスッと始まるという感じも、いかにもフランス受けしそうな『失われた時を求めて』的といいますか、時間軸がインターネット上のウィンドウのようにパパッと増えたり減ったりするスピード感が、観る者を飽きさせないんですよねぇ。そして、それらの時間の転換をしっかりと曲調の変化というかたちでフォローしてくれる生演奏。
もう、エンタテインメントとしてひとつの完成を見ているわけなんですよね。
う~む、なんらひっかかることのない、おもしろくて当たり前のプロの仕事。
良かった。良かったんですが、ふだん私が観たいと思っている「異様さとの出会い」や、「完璧さを犠牲にしてでもさらなる次元に挑戦する心意気」といったものとは全く別の世界で成立している作品なわけなんですよね。その堅固さは、もはや古典芸能に近いようなものがあると感じました。そこにあぐらをかいてラクしようとしていない、っていうかラクできないレベルのテクニックが出演者全員に課されていることは無論間違いないわけなんですが。パントマイムはやっぱりね~、段取りを間違えたとか、手がすべったとかいう些細なミスも許されない厳しさがありますからね! セリフをかむみたいに、お客さんが見逃してくれるようなミスが入り込む隙間はないんですよね。本当にストイック。
全然おしゃれじゃない地道で汗まみれな努力に裏打ちされたおしゃれ、それこそが真のおしゃれ、「伊達」なりけり! 満場の大喝采でした。
いつでも観たい、というわけでもないのですが、たま~にゃあ、こういった批評すること自体がバカらしくなるソフィスティケイテッドな空気を体感することも大事なんだなぁ、と思いながら、私はおしゃれな夜の青山をあとにしたのでありました~。
でもやっぱ、バンドネオンの音色はいいねぇ。ミーハーまるだしでアストル=ピアソラにどハマリした高校生時代をしみじみ思い出してしまいました……なにを若造が。
そして、千葉の幕張本郷駅で JR総武線から乗り換えた京成線で電車を待ち、けっこう味のある私鉄特有ののろのろ運転な車両に乗って座り、
「おしゃれ……じゃないほうが気楽でいいやね。」
と再認識したのでありましたとさ。しばらくのあいだは、おしゃれはもう、おなかいっぱいですわいな~。