ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

横須賀軍港の外国海軍艦艇〜2019年度観艦式中止に伴う艦艇公開

2019-10-17 | 自衛隊

昨日の一般公開ブログをアップしたところ、フリートウィークの写真を
拝借させていただいたKさんから、船越に並んでいるところ写真をいただきました。

人の影でかろうじて写っていませんが、Kさんとわたし、
至近距離で並んでいたことが判明しました。

この日の公開は9時から4時までと長い間行われたので
朝イチで来る必要性というのは全くないわけですが、そこはそれ、
やはりこの日観艦式にあさ6時7時から乗艦するつもりだった人たちは、
こうやって並んでしまうわけですよ。

さて、1番に見学した「あけぼの」と「しまかぜ」とは斜めに位置する岸壁に、

「さみだれ」「ふゆづき」「ありあけ」

の駆逐艦三娘が連結した状態で公開になっていました。
この三連メザシ、一旦「さみだれ」に乗艦すると
自動的に全部見学しないと出て来ることはできませんが、
途中で出たい人は自衛官に申し出ればショートカットできます。

「さみだれ」は駆逐艦「五月雨」からその名前を継承しているので、
艦これの艦娘(’かんむす’で変換できてしまった・・・恐るべし)
五月雨ちゃんが大々的にマツリアゲ状態で鎮座していました。

わざわざ等身大のポスターをえらい人の部屋用のマットに乗せて・・。
これは「さみだれ」乗員に提督がいるな(笑)

ちなみにかつて帝国海軍で「五月雨」とは「白露型」の同型艦だった
「村雨」「春雨」「夕立」は、ご存知のように海上自衛隊で
「むらさめ」型護衛艦としてどれも名前が引き継がれています。

続いて護衛艦「ふゆづき」です。

「ふゆづき」は艦内も公開していました。
下の賞状ですが、定係港である舞鶴市で、「献血の推進に積極的に貢献」し、
なんと市長から感謝状が艦長名義で出されたようです。 

「ふゆづき」艦内神社の御祭神は豪華三社建です。

福岡の天照皇大神(あまてらすすめおおかみ・てんしょうこうだいじん)

高倉神社(全国にたくさんありますがおそらく舞鶴の神社)

石清水八幡宮(京都府八幡市)

艦内神社の御祭神はどうやって決めるのでしょうね。

機関室も公開されていたのですが、なぜか内部は写真撮影一切禁止のうえ、
物凄い混雑だったので見学は諦め、代わりといっては何ですが、
外のダメコン用木材の写真を撮っておきました。

機関室の外にあった興味深いパネル。

「海洋生物付着防止装置 制御盤」

なんと、今時の軍艦は付着を科学の力で防ぐことができるのか!
海洋生物といってもイカとかコバンザメのことではなく、
フジツボやムラサキガイなんかのことですが、どうやって防ぐのか、
と思って調べてみたところ、船殻に着いてしまうのは防げないものの、
航行に支障の出るシーチェストや海水管系統だけに特化して、

電極型銅イオン発生方式

電極型次亜塩素酸方式

その他薬液方式

で付着しにくくする、という方法が取られていることがわかりました。
このパネルからは「ふゆづき」がどの方法で付着を防いでいるのかわかりません。

非常口のシルエットもちゃんとテッパチにカポック着用。

赤い星に「八一」は人民海軍の印。
なぜ「ふゆづき」が中国海軍から盾をもらったのか、
来歴を調べたのですが不明でした。

左の「TSD」はトレーニングサブマリンディビジョン、
第1練習潜水隊のことで、呉にある「潜訓」、
潜水艦教育訓練隊が潜水艦の実習訓練を行うための練習艦、
「あさしお」と「せとしお」が所属していた潜水隊です。

「せとしお」というとさっき「しまかぜ」に横付けしていたのと
同じ名前ですが、こちらが初代で、2001年には退役しています。

 

真ん中はサイゴン・ニューポートとあります。
サイゴンニューポート社はホーチミン市の港を管理する
国防省の傘下企業で、港とコンテナターミナルの開発も行っています。

 

右側はインド海軍の「シャクティ」(A57 Shakti)の銘板。
「シャクティ」は「ティーパク」級補給艦の二番艦で、
海自でいうと「ましゅう」型と同クラスです。

日本とインドの外交が始まってちょうど60年目にあたる2012年、
「シャクティ」は

JIMEX 2012(日本-インド海事演習)

に参加し、北西太平洋でインド初の日本との二国間海事演習に参加しました。
このとき海上自衛隊 (JMSDF)は、

2隻の駆逐艦、1隻の哨戒機、およびヘリコプター

が参加したとあり、その1隻が「ふゆづき」であったことになります。

このとき「シャクティ」は他の4隻とともに東京に来て3日間滞在しています。

右側の盾に書いてある第15駆逐戦隊というのは、
横須賀の第7艦隊のアーレイバーク級駆逐艦の戦隊なのです。

設立が1920年という歴史のある戦隊で、横須賀で見かける

「バリー」「カーティスウィルバー」「ジョン・S・マケイン」「ステサム」
「ベンフォールド」「ミリウス」「マッキャンべル」「マスティン」

らで構成されています。

「ふゆづき」は平成29年度派米訓練としてグアム島方面に派遣され、
米海軍と共同で洋上訓練を実施し、続くマルチセール2018では、
ミサイル巡洋艦「アンティータム」、ミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」
「ベンフォールド」、「マスティン」 とともに
対空戦、対水上戦、対潜戦、射撃訓練等を実施しています。

艦内にあるこういう記念盾からも、艦暦がわかりますね。

左はやはりインド海軍の「サヒャディ」・・・・

あれ、さっき「しまかぜ」の上から見ませんでした?

この日わたしの近くで見学しておられたらしいKさんの写真をどうぞ。

Kさん、この日は外国鑑定を求めて基地を探索された模様。

これ一体どこから撮ったの?

「サヒャディ」(右)「キルタン」(左)どちらにも艦体にはペインティングが。
インド海軍の慣習なんでしょうか。

わたしはこれ気づきませんでした。
ロイヤルネイビーの

「エコー」級海洋観測船 エンタープライズ(H-88 Enterprise)

おそらく海洋観測船は観艦式に出るつもりでここにいたのではないでしょう。

カナダ海軍、ハリファックス級フリゲート「オタワ」\(^o^)/

オーストラリア海軍「ホバート」級駆逐艦「ホバート」

冒頭写真のかっこいいのは、シンガポール海軍の
「フォーミダブル」級フリゲート「フォーミダブル」です。


ところで、今回出席予定だった中国海軍の船は台風がやってくるなり離岸して、
あっという間に帰っていってしまいました。

さて、「ふゆづき」見学に戻ります。
この日「ふゆづき」は艦橋の公開もしていました。

ふと環境の窓から見ると海保の巡視船「夕月」がパトロール中。
今回、観艦式には祝賀航行部隊兼護衛として、(たぶんね)
巡視船「いず」が外国海軍艦艇の後ろを航行することになっていました。

前の観艦式では周りを警戒のため猛スピードで航行する巡視船を見ましたが、
祝賀部隊として参加するのはわたしが見る限り初めてです。

これは、昨年度行われた海保の観閲式に、海自の「はたかぜ」が
招待されて参加したことへの答礼の意味もあるのではないでしょうか。

さて、「ふゆづき」艦橋です。
一般公開用のウェルカムボード、このフォントいいなあ。

艦橋は大盛況。
こうして写真に撮ってみるとやっぱりほとんどが男性です。

艦橋から見る横須賀港の眺め。
おそらく昔ここに係留されていた軍艦の艦橋からも
全く同じ景色が見えていたのでしょう。

見られては困ることろはさりげなく隠しつつ、お仕事紹介もしています。

艦長気分で。

艦橋内には館内の各所をモニターできる画像が常時示されています。
この時映っていたのは格納庫でした。

注意書きにこういう写真を使ってしまうセンスが羨ましい(真剣)
ボートが牽引されている部分とその近くのデッキには立ち入り禁止です。

ネザネヒネトミザミヒミトセリザチョリザヒリザ。

これらが何か全部わかった方は立派なマニアです。
「ネ」は燃料、「ミ」は水、「ザ」は在庫。
これさえわかれば全部わかる・・・かな?

ところで、この究極の略語、海軍伝統であることはご存知だと思いますが、
隠語とかではなくて、海幕のご指導によるれっきとした公用語なのです。

海上自衛隊の部内の通信において使用する略語について

いやー、これ、ここまでするかってつい呆れいや感心してしまいました。

異状なし=イナ
お願いする=オネ
関係なし=カナ
当直を撤する(せよ)=トヤ

「お願いする」というとき、海自の人は

「おね!」

と一言で済ませているんでしょうか。

「異常なしか?」

「イナ!」

(陸自とか空自の人)

「否、ってことは異常あったんだな」

やっぱりこれ一種の隠語ですよね。

 

観艦式中止に伴う艦艇一般公開における「ふゆづき」の見学、続きます。