ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

横須賀軍港めぐりツアー~リムパック参加艦(?)

2013-04-12 | 自衛隊

「日本で一番危険な島」、吾妻島の新井堀割水路を抜けると、
ツアーが出港した港がまた見えてきます。



この図でいうと、左下で自衛官が敬礼している、
その上に自衛艦が二隻、そこに差し掛かっていきます。



まず右手岸壁に係留しているのは

すま型 海洋観測船 すま AGS-5013

「にちなん」「わかさ」そしてこの「すま」、と
ここには海洋観測艦が勢ぞろい。

音響観測用のアンテナが立っていますね、
中央部と後部にあるのは電波収集用のESMアンテナです。

残念ながらこちらからは見えないのですが、「すま」は
右舷側に観測用のデッキがあるのです。

そして、



艦の一部をクローズアしました。
ボートを二艘搭載していますが、これは作業艇。
アームがググーっと海上にせり出し、
簡単にボートが出動可能になるというわけ。

そして、艦体にほかの護衛艦にはない舷窓があります。
海洋観測艦は基本長期行動が原則だからということですが、
やっぱり、これって
「長いことフネにいて外が見えないと気が塞ぐから」
という理由なんでしょうか。

この舷窓は海洋観測艦にはどれにも設けられています。



すこし変わった艦体のこのフネ、

水中処分母船 YDT-03

機雷や不発弾、爆発物の水中処理をする部隊のことを

水中処分隊

といいます。
横須賀のサマーフェスタに行くと、この処分隊の訓練展示を
見ることができるようですし、このツアーでも運が良ければ
訓練行動中の彼らに遭遇することもあるようです。

自衛艦旗も鮮やかな小さいゴムボートに乗る
真っ黒に日焼けした精悍な隊員は、全身鋼のように鍛えられ、
まさに「海の男」そのもの。
youtubeで見た勇姿にはため息が出るほどでした。


そのダイバーたちの業務支援を行うのがこの母船です。
居住区を備えているのは勿論のこと、水中処分具をはじめ、
潜水用機材、処分艇、揚収用クレーンなどを搭載しています。

そして、ダイバーたちが母船から出動できるような昇降機を
艦尾に備えているそうです。



艦尾をアップにしてみました。
ゲートみたいに見えるのが昇降機かもしれませんね。



はつゆき型護衛艦「さわゆき」DD125

つい最近就役を終え、今廃棄処分を待つ状態だそうです。
「わかしお」を見ても感じますが、引退の決まったフネというのは
見ていてどうしてこう、もの悲しいのでしょうか。



甲板のいたるところにはブルーシートが掛けられています。
気のせいか、何か魂の抜けかけたような雰囲気が・・。



それはこんなところにも。
おそらく名札であったと思われるプレートからは、
名前が消され、わずかに字の痕跡が覗えるだけ。



2012 Sawayuki Final Year

艦橋上部分に書かれていました。
最後の年であることを刻んで去年一年を過ごしたのですね。



そしてなんといってももの悲しいのはこの喫水線。
艦内の再利用機材をほとんど搬出してしまった結果、
これだけ喫水線が下がってしまったということがわかる画像。
武器類だけでも物凄い重量になりますからね。


ところで、ガイドの方がこの「さわゆき」を説明する際、

「リムパックで最優秀艦に選ばれたこともある」

と確かにおっしゃったわけです。
そのときは「ふーん」と思って聞いていたのですが、
帰ってから調べると、この「さわゆき」が記録の上では

リムパックに参加したことは一度もない

ということがわかってしまったのです。
しかも、おっしゃるところの「最優秀艦」ですが、
昔一度「あまつかぜ」という艦を調べたときにこの艦が


「あまつかぜ」

演習中4回の艦対空交戦をすべて成功させたほか
仮設敵である豪海軍「メルボルン」の航空攻撃により大破した
「コンステレーション」への再攻撃を企図して接近してきた
米原潜「サーゴ」と接敵、これを「撃破」したことにより
本演習における最優秀艦として高く評価された

(ウィキペディア)

であることを知り、驚いたことがあります。
もしかしたらこのガイドさんは「さわゆき」を
「あまつかぜ」と取り違えているのかと言う疑いが・・・。



しかもですね。

この「さわゆき」では、2008年に放火事件が起っているんですね。

21歳の海士長が
「仕事がきつく時間が無いので訓練をするのが嫌になった」
という理由で放火してしまった、という事故だったのですが、
非常に不運なことに、このときに取材に出たヘリコプターが墜落し、
報道の人間が4人亡くなってしまいました。

たとえ任務遂行中の自衛隊員が事故で死亡しても、片隅の三行記事で
簡単に報じるだけで済ませるマスコミは、その事故を大々的に報じました。
そして「自衛官が放火しなかったら報道員は死なずに済んだ」
と因縁付けるごとくに、あの手この手で印象報道をした結果、
ついに石破防衛大臣(当時)が

「こういうことが起こらなければ痛ましいことが起こらなかった」

などとその件について陳謝してしまったのです。
「放火が起きなければヘリも出動していなかった。
出動しなければ事故も起きなかった」
いやまあ、理屈から言えば決して間違ってはいませんが、

それを陳謝するなよ(怒)


放火した海士長が放火の罪を問われるにやぶさかではないけど、
ヘリの墜落は単なる操縦ミスか整備の不調か、天候か・・・、
いずれにしてもそんなことは自衛隊とは全く無関係でしょう。

ヘリの墜落の責任までトップが認めるなっつの。

しかも回収されたビデオによると、このヘリが墜落したのは取材前で、
全く事件との因果関係はなかったらしいじゃないですか。


それはともかく。


どちらにしてもこのような事件を起こしたフネをその後
常識的に自衛隊がリムパックに参加させるものでしょうか。

「さわゆき」の経歴を調べると、リムパックではなく、
事件2年後の2010年に遠洋練習航海部隊には参加しているようですが。

「さわゆき」がリムパックに艦名は載ってないけど出て、
優秀艦になったのは本当であるという話をもしご存知の方がおられましたら、
ぜひご一報くだされば幸いに存じます。






退役が決まったフネには国旗も自衛隊旗も付けられることはありません。
波乱の多かった(らしい)その護衛艦人生を終え、
彼女は今こうして静かに最後のときを過ごしているのです。
なにはともあれ、お疲れさまでした。


「さわゆき」に敬礼。