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ブリス(口福)~アメリカ・アイスクリーム事情2

2011-09-06 | アメリカ

管理者でありながら、自分のブログのアクセス解析、特に検索ワードのページをある時期以降、
というかある事件以来全く見ていません。
(これを読んでいる方で事情をご存じの方、あれですよあれ)
しかし「いつの記事が読まれている」「どの記事が人気がある」ということは時折チェックします。

渾身の作が全く顧みられていなかったり、埋め草のつもりだった記事が毎日のようにヒットしていたり、
実に興味深い現象に遭遇するのもブログをする面白さだなどと実感することしきり。

その「埋め草のつもり」だった、去年の夏にアップした
「神への愛と悪魔の餌~アメリカアイスクリーム事情」
なのですが、不思議なことにほとんど毎日上位閲覧数に挙がってくる「数字のとれる記事」。
アイスクリームの情報を探す人が世の中にはいかに多いか、ってことなんでしょうか。
それともアメリカのアイスクリームについて、関心を寄せる人が多いとか。
そういえば、日本のアイスクリームにアメリカのような「乳製品、砂糖不使用」ってありませんね。

そこで!

今年はあえて「記事を書くために」アメリカ滞在中、積極的にアイスクリームを購入し、逐一写真を取り、
本日まとめて淡々とご紹介していくことにいたしました。
ただし、ハーゲンダッツやら、ベンアンドジェリーズなどの「普通のアイス」は一つもありません。

全て「砂糖を使わない」あるいは「乳製品を使わない」人用のサブスティチュート・アイスクリーム。
それではどうぞお楽しみ下さいませ。

 

などと言いながら、最初に「基本」であるところの「アメリカの普通のアイスクリーム」を。
去年紹介したボストンの「ウルマンズ」。
今年も盛況で、なんでも地域のテレビではしょっちゅう紹介されている「地元の名店」なんだとか。
一番小さい「キディ・サイズ」。これで4ドル99ですから、アメリカにしては高いのですが、
アメリカ人はこれの2スクープを基本としています。

 

右はケフィアのアイス
ヨーグルトアイスはよく見ますが、こちらはボストンのホールフーズでしか買えませんでした。
実は今回トライした中で一番美味しかったのですが。
息子は「アイスなのに口に入れてもなんか温かい気がする」
と面白い感想を言っていました。
確かに、粉雪のように口の中でほろりととろけ、かき氷のように頭がキーンとするようなことは全くなし。
実に不思議なお味でした。

左は、凍らせて食べる「フルーツシャーベット」。
端っこをハサミで切って押し出しながら頂きます。
これ、なんと日本で買えるんですよ。
ミッドタウンの中に入っているスーパーマーケットに行けば、アメリカより少量単位で箱売りしています。
名前は「スムージー」。
ヘルシーなので、ぜひ見かけたら試してみてね。
  

二つともミルクの代わりにココナッツミルクを使用しています。
「アニマルフード」つまり動物の体から出るものを食べない、というベジタリアン(ビーガン)も、
これなら安心して食べられるというわけ。
とろみ、なめらかな舌触りは、代用と思えない美味しさ。
「ココナッツ・ブリス」の方は、バニラはもちろん、このジンジャー・クッキー・キャラメル、
アメリカ人大好物のミントチョコレート、シナモン、変わったところではラベンダーなど。
実にバラエティも豊富です。
素材としてほとんどアイスクリームと同じ扱いができるからでしょう。
ただ、これココナッツの脂肪があるのでカロリーは高そうですよね。

  

ミルクの飲めない人が日本でも自然食品店で手に入れる「ライスドリーム」のシリーズ。
左はアーモンドミルク、右はお米からできています。
このほかに「ソイ・ドリーム」(豆乳)もありますが、息子がアレルギーなので買いませんでした。
今回食べたうちでもっともコクがあり、ねっとりとした舌触りだったのがこのライス・ドリームでした。

  

さて、このへんで「意欲は分かるが、残念なお味」だったものを。
ヘンプってご存知ですか?
麻とか、大麻とかの植物のことなんですが・・・・どう思います?この色。
どう見ても粘土じゃありませんこと?
そう、このヘンプで作った、新聞紙束ねる紐、あるでしょう?
あの色ですよ。・・・・って、原材料は一緒なんですが。
この「何が何でもアイスクリームと呼ばせたい」という意欲は買うけど、そして、
甘味を何が何でも身体に良い「アガベ」(サボテン)にして、文句のつけようもない健康的なアイスだけど、

まずい

これは致命的でした。
本体の味よりバニラエッセンスの味しかしない。
というか、何が本体の味なのか、全く分からない、それもアイスクリームと謳っておきながら、
シャーベットをネチョっとさせたような、何とも言えない糊のような舌触りが決定的。
今回、食べたいというよりこのブログに載せたいがためだけに、粛々と代替アイスクリームを
買い続けたわけですが、食べられなかったのはこれだけでした。
こんなもの食べなきゃいけないんだったら何も食べない方がまし、ってどういう商品よ。
冒頭写真のものは、やはりこのヘンプと同じノリのものだった記憶があるのですが、なんと

原材料が何だったか忘れてしまいました <(_ _)>

パッケージ写真を拡大してみたのですが、どこにも何でできているか書いてないし。
ハートのマークやI am deserving(私にはその価値がある、みたいな)とか、
What are you grateful for?(あなたは何に感謝しますか)とか、
そう言う胡散臭い文言はじめ、ヘルシー、ナチュラル、サブスティチュート、

そんなことはこれでもかと書いていあるんですが、肝心の「何でできているか」がわからない。実に

怪しいアイスクリームさんです。

今回、わたしも息子も「これは美味しい!」と継続買いを決めたのが、
前述のフルーツシャーベットと、これ。
うふふ、日本人であることが誇らしいわ。大げさか。

  

トウフッティ。そう、豆腐アイスクリームです!
これ、言われなければミルクじゃないって全然わからないシリーズ。
クッキーサンドで、まあカロリーはそれなりですが、一口サイズ(商品名もキューティズ)で、
「分かっているぢゃないか」と思いました。
でも、さすがアメリカの商品、どのパックもこの写真のようにクリームがはみ出していました。
日本なら「汚らしい」なんてクレーム来そうですね。

このメーカーは、これ以外にも豆腐でクリームチーズ、ホイップクリームなんかを意欲的に作っています。

ところで、怪しいアイスクリームさんのパッケージ文句ではありませんが、
アメリカのアイスクリーム(代替含めて)は、やたら「ハート」「幸せ」とか「ドリーム」など、
抽象的なイメージを持ってくる傾向にあります。
去年の記事で書いた「アガベ・アイスクリーム」のパッケージが、ラファエロの天使だったり、
(今年はどこにももう売っていませんでした。美味しかったのに残念)
そう、上記の「ココナッツ・ブリス」のブリス(無上の幸福)なんて言葉ですね。
日本のアイスクリーム、シャーベットなどの商品名が「宝石箱」や「爽」「ガリガリくん」などのように
それそのものの形態を譬えて味を想像させようとするのに対し、アメリカでは
「それを食べることによって期待される精神的満足」が謳われている傾向にあるようです。
(今気づいた)

このblissですが、同じ幸福という意味でも「我を忘れるほどの喜び」といった意味のecstasyとは違い、
心の平静を保つ精神的な喜び、というニュアンスの幸福を指します。
まさに美味しいアイスクリームはこのしみじみとした精神的な幸福をもたらす作用がある、
というアメリカ人の主張には大賛成。

色々な事情で普通のアイスクリームを食べられない、あるいは健康のため控えている、
という人のためにも、ブリス(口福)アイスクリームはここアメリカではふんだんに用意されています。

はずれもふんだんにあるけど。