◎無国籍のスーパー階級
(2020-11-01)
『誰かがこのことをよく考えるべきだ。ああいう会社人間はいまに無国籍のスーパー階級をつくることになる。取引とゴルフの約束を生きがいにし、生まれ育った国よりもMBAをとった国を大事にする連中だ。中世がそっくり再現されるようなもので、どの大国にも属さない小さい公国や封土がそれぞれに旗を掲げ、その領土のために命を捧げると誓う者ならば誰でも、喜んで封臣に加える。共産主義が崩壊したことで自画自賛している連中は、いまに、コカ・コーラ社が国連の議席を求めるようになれば、得をしたのは誰だったのだろうかと思いめぐらすことになる。
『スコット・トゥロー、有罪答弁』』
(グローバル・スーパーリッチ 超格差の時代 クリスティア・フリーランド/著 早川書房P67から引用)
これは、1992年以降に書かれた小説だが、2020年現在、コカ・コーラ社でなく、GAFAが『実質的な国連の議席』を求め、中国共産党株式会社が国連を傘下に置こうとする時代になった。
この30年最も優秀な人材は、IT系と軍事系に流れ、内務官僚は、かつてほど優秀な人材を集めたとはいえないのではないか。その結果が、GAFAのグローバル情報支配と、中国の経済と軍事の躍進と戦狼外交となった。
つまり1990年代にソ連は崩壊したけれど、国民に対し貧富の格差を容認し言論信教を情報操作やマインド・コントロールで巧妙に加減し続ければ、大多数の貧困層に支えられた富裕貴族層による支配体制は、民主主義でも共産主義でも持続可能であることが発見されたのだ。また米国一強の国際政治の30年は、プルトクラート(世界でも最も裕福な0.1%の上位富裕層)がさらにリッチになる結果をも招いた。
かくして、貧困層の固定化は、QAnonなどの陰謀論を裏付けたものと感じる人が増える。というのは、人はパンや金のみに生きるものに非ずと真面目に考えている人がいる一方で、「スーパーリッチは賞賛すべきものであって、大衆の貧困の根源として非難することはタブーである」というマインド・コントロールが広汎に頻繁に為されていることに次第に気がつく人が増えているからである。
貧困が自分の世代、子の世代、孫の世代と続く可能性が高いならば、この政治経済体制で、一体得をするのは誰なのだろうと考えるのは自然の流れ。
以上は、この世的価値観で、何かやり残している人たちの話。
一方宗教界では1990年代前半までにOSHOバグワン、クリシュナムルティ、ダンテス・ダイジらの大物覚者は世を去り、混沌の時代が続いている。後継者を作らないことを宣言したダライラマ14世は存命。また、マラキ予言では最後のローマ教皇であろうフランシスコは、同性愛者の婚姻関係の権利は法律で保護されるべきだと語ったり、中国側が司教候補を選び、教皇が最終的に任命する枠組みを2年延長し、中国国内の地下教会信者を圧迫することを事実上容認したりと妙な動きをしている。
アクアリン・エイジとは平民、万民が神知る時代。その必要条件は、動機、つまりこの世的価値観で、何かやり残していることがないこと。そしてメソッドとしての冥想手法。そして神知る正師。外に求めるのではなくまず自分が坐ることから。