詠里庵ぶろぐ

詠里庵

ヴィオラ

2006-08-30 23:39:03 | 日々のこと(音楽)
という楽器、知ってますか?と言ったら失礼ですね。見た目はヴァイオリンよりわずかに大きく、調弦はヴァイオリンより5度低い、あるいはチェロより1オクターヴ高い弦楽器ですね。おそらく弦楽器と言われて普通の人がイメージする順番はヴァイオリン、チェロ、コントラバス(ジャズではベース)、ヴィオラとなりそうな、一番地味な楽器でしょう。

私は自分では弦楽器を弾けませんが、このヴィオラが結構好きなのです。そもそも中声部を受け持つヴィオラはほとんどの時間音楽の内声部を受け持つわけですが、実は音楽をやっていてこの内声部を鳴らすことこそ醍醐味ではないかと思います。合奏で聴いても、肩肘張らない甘い音色。ソロで聴いても、少し鼻にかかったような人間の声みたいな音色。ヴァイオリンやチェロはカッコいいですが、カッコよくあらねばならない宿命(ピアノもそうですが)もある感じで、ヴィオラはそれからはフリーである点が有利ですらあるように思います。五島みどりやハイフェッツである必要はない、デュプレやシュタルケルである必要もない、バシュメットや今井信子なのです。(バシュメットは少しカッコいいですが。またもちろんバイオリンやチェロにも癒し系はいますが。シェリング、パールマン、フルニエ、ビルスマなど。)

問題はヴィオラの曲が(少なくとも知られた曲が)あまりにも少ないことでしょう。ヨハン・クリスチャン・バッハのヴィオラ協奏曲やイタリアのハロルドなんかはいい曲ですね。

さてそのヴィオラのためのソナタ、大バッハが3曲書いています。やはりバッハの曲としても癒し系の朴訥な曲です。これを、あのグレン・グールドが録音を残しています。グレン・グールドが弾くバッハ、大好きです。けど、このヴィオラソナタの演奏、墨をポタ、ポタ、垂らすような、素朴といえば素朴なんですが、ちょっと意図がわからない演奏です。ヴィオラの人(覚えていない)も明らかにグールド節に巻き取られた演奏です。将来私が成長して意図がわかるときが来るかもしれませんが。

そのことを思い出し、最近ネットでこれの楽譜を買いました。見ると、バッハのバイオリンソナタなんかもそうですが、伴奏部に余計なスラーがいっぱい書いてあるので困ります。チェンバロのためでなく通奏低音でなぞるときに便利なのでしょうか。

ご存じと思いますが鍵盤楽器と弦楽器ではスラーの意味が全く違います。弦楽器のスラーは「1ボウイングで弾け」という「動作指令記号」で、メロディーや分散和音の一区切りとは関係ありません。ピアノの方はもっと感覚的なもので、基本は「スラーの範囲はレガートで弾け」なのですが必ずしもそうとは限らず、楽想のひとかたまりを表します。だから細かなスラーから何段にも渡る長大なスラーもあったり、スタッカートや休符も含むようなスラーもあり得ます。

さて、話を戻さないと何が言いたいんだかわからないブログになって来ましたが、要するに、ヴィオラは地味ですがいいですよぉ、ということかな。あとヴィオラのための曲が少なすぎるから、あまり先鋭な現代音楽でなくてもいいから作曲家はもっと書け、ということかな。
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出張でコロラド

2006-08-29 21:42:54 | サイエンス
の山岳地の町Breckenridgeにある国際会議場に行っていました。会議場に向かう途中、ちょっと忘れ物をしたのでホテルの自室に駆け戻ったところ、おや?何だか変です。心臓がパクパク、呼吸が追いつかない。・・・

そうです。かなり高度があるところなのです。あと何十mで3000mという高地なので、走ることは禁物。ちなみに気圧はというと、約700ミリバールだから平地の約7割。富士山頂のように高山病にかかってもおかしくはありません。

そういえば同じ地方のBolderという町に世界の時刻標準に一役買っている米国標準技術局の研究所(NIST)がありますが、Bolderはまたマラソン選手の練習地としても有名です。Breckenridgeより高度は低いとはいえ、自分がちょっと走っただけで呼吸困難を体験してしまうと、高地でマラソン練習をするなんてとても同じ人類とは思えません。

ところで大気圧が700mbということは、酸素の分圧は平地の酸素濃度に換算して約15%になります(21%×700mb/1013mb)。これって大丈夫なんでしょうか? というのは、酸欠が恐ろしいことはよく知られています。通常酸素濃度が18%を切ると危険と言われます。ではBreckenridgeにいてもなぜ平気なのでしょう? 疑問に思ったのでちょっとWikipediaで調べると

・酸素濃度16%: 呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
・酸素濃度12%: 筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
・酸素濃度10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ
・酸素濃度 8%: 昏睡
・酸素濃度 6%: けいれん、呼吸停止

とあります。これだと確かに15%はまだ致命的とはいえません。しかし18%で危険だぞと言われる一方、15%のこの町にホテルなどが林立しているんですね。

それにしてもエヴェレストに酸素マスクなしで登った人達がいるそうですが、こうなると本当に循環器系が通常人とは違うのではと思ってしまいます。
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今週の一曲

2006-08-27 01:10:05 | 詠里庵・新着案内
は、いま海外出張中のため、帰国してからアップします。

先週の一曲はショパン前奏曲集作品28から第16番でした。今週の一曲ではこま切れにアップしていますが、もとよりこの曲集は24曲通して弾くべきものと思います。1989年の音楽会ではさすがに自分一人に35分も充ててもらう力量はなかったので長い何曲かを抜きましたが、人前で2時間のリサイタルをやる力があればどんなにすばらしいことかと思います。
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ううむ、UA

2006-08-25 18:21:30 | 日々のこと(一般)
は二度と乗りたくないなぁ。12時間ほど前のことですが、ロスからデンバーへのドメスティックフライトのチェックイン、長蛇の列で待つこと1時間15分。まさかと思いましたが、それで予約便を逃し、1本遅れてしまいました。幸いその次の予定にかなり余裕を見ていたので事なきを得ましたが、まかり間違うと大事な仕事に間に合わないところでした。またチェックインの前の入管と後のセキュリティチェックに時間のかかること。旅行会社の設計では乗り継ぎに2時間半みてくれましたが、それで足りないなんて異常ですよね。

これだけなら「そんなこともあるでしょう」と思うかもしれませんが、UAのスタッフの態度がひどい。大体カウンターは20以上あるのに、スタッフが対応しているのは半分ちょっと。それもぬらりくらりと遅いこと。日本のテキパキに慣れていると信じがたい。しかもですよ、目の前に客がギッシリ並んでいるのに、平気な顔で「closed」と看板だして休憩に向かうのです。かなり経って戻って来たので、すぐやるかと思ったら、仲間とひとしきり談笑して席に着く。みなイライラしてブツブツ。やっと自分の番が来たので「1時間以上待ったけどいつもこうなのか?いつもこうなら体制を強化すべきでは?」と言ったら、ぬけぬけと「1時間?そんなの何でもないよ。普通3時間だよ」これが接客業スタッフの吐くセリフでしょうか?

飛行機に乗ったら乗ったでスチュワーデスがあくびしている。日本では考えられない。私だって職場であくびなんかしません。(と思います)
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妻の実家

2006-08-24 06:43:38 | 詠里庵・新着案内
からいただく野菜はスーパーで買うものとはひと味違うコクと甘みがあります。調理の味付けは最低限にとどめないともったいない。ものによっては味付けなしでもいいくらい。シシトウは辛いのに当たることがありますが、それもクジに当たったようで楽しみ。

先頃、数日間一人暮らしをするので、まだ収穫は早いのを承知で小さめの(サッカーボールより一皮小さい)スイカをいただきました。持ち帰って二つに割ると、やはり皮が厚い。というか、赤い部分より皮の方が厚いくらい。さすがに早すぎたと思いましたが、ここでガッカリしませんでした。何を考えたかわかるでしょうか?

まず、私はスイカの皮をみそ汁の具にするのが好きです。味噌は、これも実家製の、もろみが少し残っている感じのもの。夏らしいさわやかな味と香りが楽しめます。最近のスイカは皮が薄くて困ります。しかしこのもらったスイカはいかにも分厚い皮で、朝晩みそ汁で消費しようと思っても一人ではいつまでかかることやら。さすがに飽きて捨てることになりそうです。

そこで思いだしたのが、ふろふき大根やトウガンの挽肉そぼろあんかけ。スイカの皮でもモドキが作れるのではないか。大きめにざっくり切って(これは通常不可能ですね)昆布と鰹節の出汁が染みこむようしばらく煮てこれをやったところ、一口食べた瞬間、ン?となりました。旨い!中に繊維の筋が見える半透明の塊を味噌あん味の肉と一緒にほおばると、出汁がしみ出ていつの間にか口の中で消えて行きます。モドキどころではありません。大量に作りましたが、他に大した献立をつくらずそればかり2回で食べ切ってしまいました。

他の使い方ないでしょうか? 瓜の一種なんだから漬け物なんかにできるような気がしますが。
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一昨日まで文科省系の

2006-08-22 02:02:52 | サイエンス
とあるサマーセミナーで3日間の集中講義をしていました。2時間ずつ3回という短時間なので、また聴講する院生も少々広い分野から来ているので、自分の大学で行う講義ほど詳しい話はできません。それでも、出てくる質問にはいつも感心します。実際学生の質問によってこちらが磨かれる、とよく言われますが、それは本当ですね。質問でなく単なる感想であっても、実に参考になります。

その感想ですが、まじめな感想に混じって奇想天外なものもあります。本人達は別に奇をてらっているわけではなくごく自然に言っているようなのですが、それが一層新鮮さを引き立てます。

講義では量子力学と情報理論が結びついて生まれた新奇な研究分野の話をしたのですが、導入として、量子力学を信じる必要は本当にあるのか?徹底的に古典論に固執したとして、それでは絶対信じられない現象というのはあるのか?それがあったとして、古典論でも量子論でもない理論で説明することもできないのかという話から始めました。答を言っておきますと、そういう現象は実は珍しいけどあって、それは実際に実験されており、したがって古典論は本当に捨てなければなりません。しかし新たな理論としていわゆる正当派量子論以外も可能です。ただ、最も使いやすい正当派量子力学が普及しているだけです。教科書はまず学び、しかしそれには常に疑いを留保した上で、学んだ技術を使うことが肝要です。

次はそれを聴いた院生の感想です。

「量子力学を初めて習ったときは、バーでお酒を呑む経験を初めてしたみたいな、子供の世界を卒業した気分だったけど、今回の話はさらにきわどい話というか、冒険しないとわからない世界、裏の世界をかいま見たような感じですね。何か女の人がはべるクラブに足を踏み入れた、てゆーか」
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今週の一曲

2006-08-20 00:17:46 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック。これも1989年、渡英前のお別れ音楽会でのライブ録音です。

先週の一曲はドビュッシー前奏曲集第一巻より「沈める寺」でした。1973年録音。

この曲はブルターニュ地方に伝わるケルト伝説に基づいています。昔、イスと呼ばれる街が繁栄を謳歌していました。しかし堕落したイスの街は神の怒りを買い、海中に没しました(この辺、ソドムとゴモラ的ですね)。月日は流れ、ある日、街の象徴であった寺院が海から出現し、中から聖歌の合唱が聴こえて来ました。そして再び海中に沈んで行きました。

このような内容を管弦楽や合唱でなく、なぜドビュッシーはピアノ1台の曲にしたのでしょうか? 私はなんとなく、この曲をあまり色彩豊かにしたくなかったのではないかという気がします。言い方を変えると、写実的でカラフルな古典絵画のように本物の合唱で表現したのではストレート過ぎると思ったのではないでしょうか。あえてピアノで間接的・水墨画的に表現したかったのではないかと。

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台風

2006-08-19 06:16:02 | サイエンス
もノロノロや居座り方は大迷惑ですね。九州の方々は大変でしょう。ザーッと襲って来てあっという間に去って晴れ上がってこそ気っぷのいい、台風らしい台風と思いますが。

アメリカ海軍の台風予報センター台風10号の進路予測がありますが、凡例にあるようなarea of uncertaintyが示されていません。ノロノロだと予想に自信が持てるのか、あるいはどっちに進むかかえって予測がつきにくいのでしょうかねえ。一度このページと気象庁の予報を比べてみたいものです。
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シュワルツコップ

2006-08-16 07:12:14 | 日々のこと(一般)
が亡くなりました(10日以上前の旧聞に属しますが)。マリア・カラスがオペラの女王とすればシュワルツコップは歌曲の女王でしょうか。特にシューベルトはいいですね。

で、彼女がナチスに関係していたというニュースもありました。昨日だったか、別の有名作家(名前は忘れた)がナチスの青年なんとかに属していたという告白の記事もありました。他にも最近そういう話を聞きます。昔からある話ではフルトヴェングラーのナチス関与ですね。日本版としては山根銀二による山田耕筰糾弾が有名です。

こういう話を聞いて「イメージに傷がつく」と思うでしょうか? 私は、もちろん個々については事情を知らなければなんとも言えませんが、一般論としては次のように思います。

 シンドラーのリスト(あら筋以上には見たくない映画)にしてもサウンド・オヴ・ミュージック(このすばらしい映画は歌を楽しむべきものでナチスは単なるエピソードの一つにすぎません)にしても、現代の我々(特に欧米)の感覚には、ナチスは「我々とは異質な、無関係な、根本的に邪悪なもの」というのがあると思います。つまり我々の外にある境界条件の一つという感覚ですね。
 しかし、当時ドイツ国民の何十%がナチス支持でその何%がナチス運営に関与したか知りませんが、当時ドイツに生まれていればその確率でそうなっていたということです。「私だけは絶対なっていなかった」というのは統計学に反するように思います。現代の我々が現代社会を肯定するくらいの感覚だったかもしれません。ある意味でナチスのようなものは我々一人一人の内側に隠れていて、今の世の中ではたまたまそれを殺すことができているだけとも言えます。それを描かない文芸や映画にはもの足りないものを感じます。そこまで掘り下げないと再燃を防げないような気もします。その点、まだスター・ウォーズの方がましかもしれません。
 さてその何十%や何%がたくさん現在生きていて何ら不思議ではありません。それらの人達を簡単には糾弾できないでしょう。もちろん国レベルでは「あれは今の我々と無関係な邪悪なもので我々も徹底的に排除している」というけじめが必要でしょう。ドイツはそれに成功し、日本は成功しきっていないわけですが、個人レベルでは「そういう人は私とは別世界の人」ということはできないと思います。

ま、個々については、邪悪の程度や事情がまちまちなのでいろんなものをいっしょくたにはできません。ま、将来ヒマが出来たら、悪名高いシュタルク(シュタルク効果のシュタルクです)もフレンニコフ(ショスタコーヴィチとプロコフィエフをいじめたやつです)も、実際はどうだったか、調べてみたいと思います。(が、他のことを優先するような気もします。誰か教えてくれないかな?)
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今週の一曲

2006-08-13 06:53:37 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック。この曲、私の好きな曲トップ群の一曲です。

先週の一曲はショパン前奏曲集作品28より第20番、1989年、渡英前のお別れ音楽会でのライブ録音でした。
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早実vs大阪桐蔭

2006-08-12 19:03:19 | 日々のこと(一般)
ともなると、土曜ということもあってか、まだ二回戦というのに結構お客さんが入っているんですね。といって、甲子園に行ったわけではありません。たまたまテレビで見ました。半分くらいですが。

個人的に私を知る人は「うそー。そんな趣味あったの?」と思うかも知れません。それほど入れ込んでいるわけでもないのですが、ビール片手に高校野球というのも悪くないもんですよ。ま、子供との対話の時間を兼ねて、季節感を楽しんでいるんですね。だから年中やっているプロ野球は季節感がないので、まず見ません。

ただ、大学に移籍してわかりましたが、学生が夏休みに入った8月というのは、こちらは一層土日もなく忙しくなるのですね。だから実はほとんど見ていません。1シーズンに2試合程度というところでしょうか。今日の早実vs大阪桐蔭もたまたまです。まあ、何でも欲が満たされるのでなくこのくらい欲求不満があった方がいいのかもしれません。

あ、9回裏があっけなく終わってしまいました。
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科捜研

2006-08-11 09:00:09 | サイエンス
や科学警察研究所がドラマでも拉致問題でも活躍しています。実社会に存在する研究所ですが、これらはいつ頃からあるのでしょうね? というのは、学生の頃ある教官の退官記念講義を聴いたところ、有名な社会的事件があったのですが、ちょうどその教授の専門領域での実験鑑定が必要となりそれを依頼された、という話を聞いたことがあります。世の中あまりにも次々事件が起こるので、何の事件だったか結末がどうだったか忘れましたが、その教授の出す実験結果が裁判で大きな影響を持つというのは大変なプレッシャーだったろうなと思いました。今でも拉致事件のDNA鑑定は科学警察研究所がやるだけでなく外部専門家にも依頼しているようです。技術力の問題というより中立性の問題かもしれませんが。

私はもちろんそういう鑑定を頼まれた経験はありませんが(頼まれたくはないです、正直言って)、研究しているととんでもない依頼が来ることもあります。ひとつ挙げましょう。「量子非破壊測定」というのが私の研究テーマの一つですが、これは「量子力学には不確定性原理があるにもかかわらず、対象の物理量を壊さずに測る方法がある」というものです。それを聞きつけたある会社から講演の依頼がありました。講演の依頼自体は別にどうということではありませんが、そのときは普通と違って、物理・情報処理・通信・光学などとは無関係な会社だといい、しかもその中のごく限られた部署で、「講演」と銘打ってはいますが実際は「相談」に乗ってくれといいます。何か変だなと思ったのですが、電話応対に出た人は全く朴訥そうな、真面目な話しぶりの人でした。少々話がかみあわないので、結局「私の研究のどういうところが御社の役に立つとお考えなのでしょうか?何を仕事にしている会社かをお聞かせ願えませんか」と聞いたところ、「実は、缶詰の非破壊検査をしている会社です。最新の技術を導入したいのですが、ライバル会社には知られたくないので」とのこと。

そのあともちろん、如何に私の研究がその会社の役に立たなそうかを丁寧に説明してお引き取りいただきました。
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サイエンスエッセイ

2006-08-09 06:49:50 | 詠里庵・新着案内
に「機関車は客車を引っぱれるか?」を掲載しました。元ページはここ。直接読みたい場合はこれをクリック
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今週の一曲

2006-08-06 00:45:13 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック

先週の一曲はドビュッシー前奏曲集第一巻より「アナカプリの丘」でした。録音は1973年。

カプリ島はカプリの瀟洒な街とダイナミックな地形のアナカプリの丘があります。地中海の陽光ふりそそぐさまはこの曲のイメージぴったりです。一方アナカプリの丘は、これは丘というより、海に落ちる断崖絶壁の大自然ですね。
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鳥インフルエンザ

2006-08-03 07:17:27 | 日々のこと(音楽)
バトミントンに打撃なのだそうです。シャトルに使われる羽根が「中国北部の厚くて重いガチョウのもので、非常に良質なものは、1羽のガチョウから2枚とれるかどうか。代替品としてアヒルを使っているがシャトルの飛び方は『アヒルのよう』と、選手が本物との違いに戸惑い」なのだそうです。

本物との違いがこれほどはないかもしれませんが、ピアノの鍵盤に使われていた象牙のすばらしさについては書かずにいられません。ひんやりとした吸い付くような感触、適度なスベスベ感、指先に汗をかいてもアクリル鍵盤のように浮かず、湿度を自動保全してくれる、など。今ではどこかで古いピアノを見つけないと弾けません。黄色く変色するのが難点と言われていますが、私なぞ黄色い鍵盤を見つけたら「あ、弾きたい」。

象の密猟は困りますが、古ピアノの輸入時に「昔の製造品である」ことの証明手続きに何ヶ月も税関で待たされるらしい実態もヒステリックです。今後の製造は一切禁止のようですが、それでいいのでしょうか? 麻雀のパイや印鑑の象牙はダメでピアノの鍵盤はいい、というつもりはありませんが、消費(需要)量の把握は必要なのではないでしょうか? 

動物を使った楽器は三味線(猫・犬)やチャランゴ(アルマジロ)に限らず、太鼓だってそうですね。しかしこんなものよりコートやハンドバッグの方がはるかに消費量多いのでは?

(まあ、今や人工象牙も悪くない材質ですし、すばらしいピアニストがアクリルの鍵盤ではすばらしい演奏ができていない、というものでもないので、火急のSOSというわけでもありませんが)
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